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JJJさんのリトルバスターズ!エクスタシーの長文感想

ユーザー
JJJ
ゲーム
リトルバスターズ!エクスタシー
ブランド
Key
得点
60
参照数
2475

一言コメント

(GiveUp) 期待はずれ。実在感の薄い登場人物と、これでもかと奇跡を連発する大味なシナリオには閉口した。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

筆者にとっては、初めてプレイするKey作品。
事前にかなり期待をしていただけに、この出来ばえには、がっかりしました。

驚いたのは、数多く配置された主要な登場人物のうち、誰一人として、
「ああ、自分もときどき、こういう考え方をするなあ」
「このキャラの特徴は、友人の○○さんに似ている」
などと思えるキャラがいないことです。非常に人工的、人造人間的なキャラ設定だと感じました。

現実にはいないような奇人変人が、アクセントとして登場する作品自体は珍しくありません。
ところが、本作の登場人物は、ほとんどがそういうキャラばかり…。
個別ルートは、それぞれのライターさんの意図を表現するためだけに造られた
ロボットによる寸劇のように見えてしまい、楽しめませんでした。

ようやくRefrainまでたどり着き、世界の秘密を知ったわけですが、これがまたなんとも…。
ファンタジー世界ならともかく、本作はここまで、普通の学園ものの体裁をとってきました。
そこで一介の学生が、こんな神業のような現象を引き起こしたと言われても、不自然すぎて納得できないです。
本作はリトバスEXなので、追加シナリオもあります。が、このライターさんのシナリオでは
自分には楽しめそうにないと判断し、ここでプレイ続行を断念しました。

本作は、友情をテーマにすえた物語であると言われています。が、筆者は、それにも疑問を持ちます。
友情とは相互的な関係であり、ある程度、対等な者同士でなければ成立しないものだと思うからです。
理樹は恭介たちを友達だと思っていたかもしれませんが、客観的に見れば、恭介たちと理樹の関係は
常に保護者と被保護者であり、この世界の秘密に従えば、神と人の関係に近い間柄であったわけです。
神と人の間に、友情が成立し得るものでしょうか?

結局、この長い作品を通してライターさんが表現したかったことは、筆者にはよく分かりませんでした。
奇跡が大盤振る舞いされたシナリオ群を振り返ると、
「ピンチになっても、がむしゃらに頑張れば、なんとかなるさ!」
というような、表面的なメッセージが伝わってくるのですが、まさかそんなはずはないでしょう…。

筆者はKeyについてほとんど予備知識もなく、白紙の状態で臨んだので、こういう感想を抱くのは予想外でした。
本当に残念です。