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I_dreamed_a_dreamさんのダイヤミック・デイズの長文感想

ユーザー
I_dreamed_a_dream
ゲーム
ダイヤミック・デイズ
ブランド
Lump of Sugar
得点
85
参照数
2204

一言コメント

(GiveUp) 幼馴染シナリオの完成形の一つ。希沙√のみクリア。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

希沙√のみの評価でコンプするかどうかは悩んでいますが、
今以上の評価になることはないと思いますので投下します。

文句の付け所がほとんどないですね。
幼馴染との関係を楽しむエロゲで、ヒロインが幼馴染じゃないとシナリオがなりたたないエロゲのシナリオとしてはトップクラスです。
幼馴染シナリオの中では、超変化球シナリオのさくらッセ\(>ヮ<)/きゃっほぉ♪√と双璧を成すというのが私の評価です。
ダメっ子がいける人でコンチェルトノートのりっとんが好きって人は気に入るはずです。

高評価した点としては、
・お互いの信頼関係の書き方がほぼ完璧
・告白シーン前後でグダグダがない
・最後の最後まで幼馴染してる
の3点が挙げられます。

希沙は間違いなく主人公に依存していて、頼りにしています。
そして主人公もなんだかんだ言いながら、希沙の良い点を把握していて信頼しています。
そのお互いの信頼関係が上手く描写できているために日常パートを読んでいて楽しいです。
もちろんダメっ子が嫌いな人はこの日常パートで心が折れると思いますが。
この距離感が本当に絶妙で、作中でも何度もお互いに恋愛感情がないと書かれているのも頷ける距離です。
りっとんがダメっ子だったらこんな感じなんだろうなと何となく思ってしまいます。
で、エロゲのメインヒロインなのでそんな二人の間にも恋愛感情が当然芽生えるわけですが、
個別ルートから告白するまでの間に関係が必要以上にギクシャクすることやグダグダすることがないのがまた好印象です。
よくあるパターンだと、主人公が鈍感で、○○が俺のことを好き・・・、まさかな・・・、とか、
○○君に私なんか釣り合わないよ・・・とかいう訳のわからない展開があって、
さらに二人の間で喧嘩やなんらかのトラブルが起こってグダグダになったのち、
もしかして俺は○○が好きなのか・・・とかいう本当に訳のわからない展開があって告白するという展開が多い気がします。
本当に誰が得するんだよマジで。
これはあまりお互いの関係に割ってくるようなトラブルがないために、
距離が一瞬遠くなることがなくなるのですっきりとプレイできます。
そして告白シーンで主人公がスパッと男らしく決めて、付き合うことになります。
ここでの告白シーンもヒロインの好意からなし崩し的に告白したわけでなく、
未だに友達以上恋人未満の距離から動こうとしない希沙に対して、
その距離を主人公が確固たる意志のもとに詰めていくので好印象です。
というかヒロインが迫ってきてようやく告白する主人公は駆逐されろ。誰が得するんだよマジで。
さらに付き合ってからラストに向けてのシリアスパートもお互いの距離が崩れることなく、
常にお互いに信頼しあって問題を解決します。
終盤のシリアスパートでもお互いがカップルとしてというより幼馴染として問題を解決するエロゲは珍しいと思いました。

欠点としては、何度か述べましたがキャラ自体に好き嫌いが分かれるということですね。
このあたりはさくらッセ\(>ヮ<)/きゃっほぉ♪と同じ匂いを感じます。
もう一つは付き合ってからのイチャラブ描写が短かったことですが、
親友型幼馴染は付き合う前が本番のようなものなので仕方がないでしょう。

幼馴染というよりは悪友キャラのようなポジションの気もしないでもないですが、
幼馴染でないと決してできないシナリオ構成であり、
希沙の基本的な性格を除けばユーザーが不快と感じる設定を限りなく排除して、
さらに幼馴染スキーな人が楽しめる要素をしっかりと描いたからこそたどり着いた境地だと思います。
まだ1/3が残っていますが、私の中ではまず間違いなく今年最高の幼馴染になりそうです。
原画家買いではっきり言って全く期待してなかったので嬉しい誤算になりました。


(備考)
・幼馴染シナリオの限界について
完璧型の幼馴染で最初から主人公に好意がある幼馴染というのはおそらくエロゲにおいては王道のパターンだと思います。
ですが、このパターンはエロゲの√構成上、主人公を鈍感にしないとまず間違いなく上手く機能しません。
好意に気づいてるのに他√に行くのは純愛エロゲは幼馴染に限らずごくわずかしかない上に、
普段から主人公に好意を寄せていて、いろいろ主人公の世話をしてる幼馴染を、好意を理解した上で足蹴にするのはまず不可能ですから。
めちゃくちゃ上手くシナリオ作れたら可能なのかもしれませんが、ユーザーの反感を買うような賭けをするには分が悪いと思います。
ということで完璧型幼馴染+鈍感主人公というのはある種、鉄板ともいえる構成となっています。
しかし、鉄板ということはつまり量産されているわけで、もうほとんど出尽くした感が否めないと思います。
そのため、今後も量産されていくと思いますが、シナリオ構成が似たようなものになる以上、
多くの人から極めて高い評価をされる幼馴染というのを創りだすのは難しいのではないかと思います。
このタイプは_summerやはにはに、3daysといった過去の偉人の劣化コピーと取られる可能性が高いので、
万人受けするが記憶には残らないというのが私の仮説です。
実際に、近年の幼馴染で高評価されている幼馴染は、コンチェ、WLO、天神、星メモ、キサラギ(沙弥、翼)、あまつみ(神奈、千紗)あたりがぱっと浮かんできますが、
どれも上記のテンプレには該当しないと思います。
上記テンプレに該当してて評価されている幼馴染ゲーを私がプレイしていないだけかもしれませんが・・・。
ライターが書きやすいということもあって今後も量産されていくと思いますが、
ユーザーサイドの需要は確実に変則型にシフトしていっていると感じます。
できるならば、安易な設定の幼馴染が量産されるよりも、オンリーワンの質の優れた幼馴染が量産されることを願います。