質的にも量的にも物足りなさは否めないのだけれど、相応には楽しめた残念ヒロインズによるハーレムラブコメ(ハーレムルートないけど)。リイナを見て興味を覚えたなら買って損なし。
このゲームに登場する女の子は「お姫様病」を患っており、
それぞれ物語をモチーフにした「お姫様」を抱え、モチーフとなった物語に沿った「望奏」を起こす。
しかし、「お姫様」や「望奏」がちょっと独自解釈過ぎて、モチーフがあるなんて設定要らなかったのではと思ってしまう……。
ラプンツェルはまだいいけど、織姫とかかぐや姫とか酷過ぎやろ……。
シナリオは、キャラクター達が話を動かして/作っていっているという感じはせず、レールに沿って進んでいくような印象を少し受けた。
ただ、それでキャラクターが活きていないかというと、そんなことはなく、そこは残念ヒロインズ魅力爆発の日常シーンでカバーできている感じ。
今までやった渦巻作品の中では一番雰囲気が肌にあって楽しめたかも知れない。
ただ……。
●栗宮みかん
饅頭先輩。おっぱいネタでイジられ過ぎやろ。
ちょっとだけ前述した「織姫」が彼女。物語の解釈の方はともかく、「望奏」が酷い。
「お姫様」を起こす回数が多いという説明があった割にはそうでもないし。
イロモノ「望奏」ならそれを活かす場面なりエッチなり欲しかったが、そういうシーンも特になし。
シナリオは、細かい点に目を瞑れば、共感もできて楽しめた。
ただ、今思い返すと、このルートだけ謎らしい謎に何も触れておらず、若干浮いている感……。
龍堂院先輩みたいなキャラは好きなので、もうちょっと舞台装置として上手く使えなかったかなぁという不満もなくはない。
●有須星子
残念ヒロインが並ぶこの作品の中でも、ダントツの残念さを誇る妹。
彼女の「望奏」は誰もが突っ込んだはず。
一応中盤にフォロー入ってなくもないけど、納得いかないよなぁ。
その中盤の展開はかなり好き嫌い分かれそう、というか、こういう展開は許せない人いそう。
終盤の失速は正直擁護しかねる。最後の最後にもう一山欲しかった。
まぁでも星子が可愛かったのでオールオッケー。
共通ルートから期待するところを裏切らない内容だったのは評価に値するのでは。
●恋ノ河リイナ
無表情系かと思いきや、共通でも言動の端々に見えた内面は普通の女の子分が、ルートに入ってから可愛さ爆発する、本作最強ヒロイン。
泉の「お姫様」を見て、 S 級とは……となったガッカリ感を取り戻してくれる、 S 級に相応しい「望奏」持ち。
リイナと付き合い始め、問題が発生、徐々に深刻化し、そしてクライマックスまで、シナリオは寝る間を惜しむ程度には楽しめた。
そして何より全編通してリイナがくっそ可愛い。
このルートだけでこのゲームを買った価値はあったと思った。
●月丘泉
メインヒロイン的ポジション。
なのだが、ヒロインズで唯一特に好きになる要素がない……。
2 人しかいない S 級としては非常に地味な「望奏」。
いやまぁ別に能力バトルモノじゃないんだけどさ……。
ルートのクライマックスで SS 級になると、さすがの格を見せてはくれるが、今度はラプンツェルもう関係なくね?と突っ込まざるをえない。
シナリオは、非難轟々の鈍感ぶりを主人公が見せつける序盤、ひたすらイチャイチャし続けて「お姫様」もあまり出番のない中盤、と基本的に退屈。
据えられたテーマは嫌いじゃないけど、それが物語的面白さに直接繋がるわけでもなし……。
まぁ終盤はそれなりに楽しめる内容になっていたのは救いか。
エピローグも、何だかなぁ、今嘘をついているそこが一番の問題点じゃないの? という感は否めない。
●トゥルー
なんてなかった。
いや、ネタではなく、本作は全 4 ルートである。
えー……物足りない……。
確かに、お姫様症候群と王子の発祥についてくらいしか、謎らしい謎は残ってないけども……。
明らかに王子の掘り下げが足りない。主人公の抱く問題について、字面以上の深刻感が伝わってこなかったというか。
トゥルーがない構成自体を責めるわけではないが、それならそれでもっと各ルートでそれぞれの要素を丁寧に掘り下げて欲しかった。
質的にも量的にも、トゥルーというべきルートが欲しかったゲーム。
ひさびさに雰囲気が肌に合う作品だっただけに、あると思っていたものがなかったのも残念。
大きく減点。