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Henri_Peroperoさんの紅神楽の長文感想

ユーザー
Henri_Peropero
ゲーム
紅神楽
ブランド
でぼの巣製作所
得点
65
参照数
2727

一言コメント

SRPG 部分は面白かった。が、それ以外はエロも含めて正直ガッカリ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

でぼの巣製作所神楽シリーズ第四弾。
昔懐かしシミュレーション RPG 。
 
 
●シナリオ
 
毒にも薬にもならず、といった感じ。
予想の斜め下をスッと滑空していく。
とりたてて悪いところがあるわけでもないのはそうなのだが……。
 
一番割を食っているのは、おそらくヒロイン。
シナリオが淡白過ぎて、ヒロインに魅力を感じられない。
それでも記号だけでブヒれればまだ良かったのだが、如何せん今作のヒロインはやや変化球気味。
脇役に徹してる祈の方がまだ魅力的なくらいである(いやルートあるけど)。
 
 
●ゲームシステム
 
属性相性を強く出したシミュレーション RPG 。
 
属性自体はエゴ時代の神楽シリーズからあったものだが、今作は主人公やヒロインにも属性がついており、気を抜いて前に出て相性の悪い妖怪に出くわそうものなら、あっという間に気絶、襲われることになる。そんな今まで以上の属性ゲーになっている。
 
基本的には相性のいい妖怪を召喚して戦わせることになる。
味方の妖怪は、敵妖怪を捕縛して増やしていくこともできるが、
ステージをクリアすると勝手に仲間になるものもおり、
体力を削って捕縛という作業が面倒な人は彼らだけでも(多分)十分という優しい仕様。
 
また、味方妖怪を合体させ、能力や技を引き継がせたりしてより強く、という機能もついてはいるが、
引き継げるものが少ない上に、恩恵の割に厳選が面倒な仕様であり、あまりやりこむ気が起きなかった。
この辺りはでぼ製恒例の粗さと言えなくもない。
 
アップデートによりオン対戦機能が実装されたが、結局一度も潜らなかったので割愛。
 
SRPG としては、クリア後の追加ステージも含め、やりごたえを感じられて面白かったのだが、
ここばかり良くても、エロゲとしては、シーン回収が面倒になるだけの要素なので困り物。
純粋に SRPG を楽しみたいのなら、非エロも含めて、他にいくらでもあるわけだし……。
 
 
●エロ
 
上述したが、ヒロインに魅力が足りないので、エロの評価も半減というもの。
 
巫女が妖怪に敗れて襲われ、様々なシチュエーションで犯され、最後にはアンアンと喘ぐのは、いつもの神楽である。
 
山本和枝原画の美麗グラフィック、というのはここのメーカーのセールスポイントだと思うが、
今作は、整ったものと、崩れたもの、半々だった印象。
 
また、でぼ製に限った話ではないのだが、ワイドに対応して、横長でも映えるように描こうとした結果、構図の幅が昔に比べて狭まっている……気がする。
エロスが失われていると感じるのは、自分が時代についていけていないだけなのだろうか……。
 
そして、今作で一番不満なのは。
神楽シリーズの陵辱劇に余計なドラマ性なんぞ要らねーという点。
経凛々とか。骸骨武者とか。サトリとか。
陵辱の最中に、その妖怪個体の身の上話に突っ込んだ遣り取りなぞされても、その、何だ、困る。
 
妖怪に種付けされる恐怖、というシリーズの魅力を今一度考えなおして頂きたい。
 
油すましはまだエロいので許していたが、正直あの路線ばかりになるのは否定的にならざるを得ない。
経凛々とか、元となった女の子に思いを馳せ始めたりしなければ、良い題材だったろうに……。
その点では、今作では山地乳や野槌は良かった。
 
 
●総評
 
SRPG としては、エゴ時代の神楽シリーズから順当に進化した感じ。
やりごたえもあるし、でぼ製のゲームらしさもあって、面白かった。
 
が、他の要素の劣化具合はちょっと閉口せざるを得ない。
道中記は再出発への些かの不安を吹き飛ばしてくれるデキだったのになぁ……。
 
正直、次の神楽シリーズは、前作とネタが被っても構わないので、スタッフには鬼神楽を作った時の心持ちで作って欲しいと思う。
それで駄目だったら……シリーズも潮時かも知れんね。
とりあえず、追加シナリオはもう買ってあるので、そっちをやってこようと思います。
 
 
 
●そういえば
 
他の方の感想を読んで初めて気づいたが、そういえば姉妹丼がなかった!!
護ルートのラスボス戦敗北時だとか、護妖怪化エンドだとか、入れようと思えば入れられるタイミングはあったはず……(別に BAD である必要はないけど)。
これはエロゲメーカーにあるまじき怠慢ですね!!