これをプレイした人には是非原作もプレイして欲しい、原作をプレイした人はこれもやって損はない、そんな全年齢版。ただし AFTER STORY は完全に蛇足。
Xbox360 を買うことになったので、前から気になっていた CROSS†CHANNEL の移植版も一緒に購入。
~ To all people ~はプレイしたことがない為、全年齢版は初プレイとなる。
よって以下のレビューは PC 版との比較になることを留意されたし。
● CROSS†CHANNEL
もはや語る必要を感じさせない本編。色褪せぬ名作である。
全年齢版ということで、当然エロシーンはカット。
ただ、コンシューマ移植というと普通は、差し障りのないイチャラブシーンに差し替えられる場合が多いと思うのだが、
本作は、どう見ても事前と事後の場面であり、エロシーンをカットしただけのような演出になっている。
(そういう演出というだけで、本当にエロシーンをカットしただけというわけではないのだが)
勿論、設定上、差し障りのないイチャラブシーンなど有り得ないのだが、
他に何とかすることは出来なかったのか……とは思わなくもない。
下ネタや版権ネタも、多くが修正された。
ただし、自主規制を逆手に取って新たなネタに昇華しているシーンも。ロミオ節である。
新規シーンがチラホラと追加。
必見というほどのものはないが、 CROSS†CHANNEL という世界観を補完してくれており、良かった。
その他、誤字脱字の修正の他に、
原作では幾度か読まされるシーンが、二度目は簡略化されていたりしている。
新規グラフィックも、けっこうな数が追加されている。
原作で絵がないことに納得がいかなかったあのシーンこのシーンにも追加、
ギャグパートなどで使われた小さなスチルも新規に追加、
エロシーンと差し替えられた全年齢版のイベントにも追加、 etc 。
一部、グロ描写のあるスチルには修正が入った。
OP はクレジットの修正のみ、ED は演出が強化されたが曲の変更はなし。
この点は高く評価したい。
やはり CROSS†CHANNEL は、あの OP で始まって、 CROSSING で終わってくれなくては。
桜庭の声優変更。
大人の事情があったのだろうが、これは十文字隼人氏の方が良かった……。
山崎たくみ氏が、全く新しいラバの像を創り上げてくれたならば、それでも良かったのだが、
氏の演技が前任のラバを意識し過ぎているように感じてしまうのは、気のせいだろうか?
いずれにせよ、自分の中では、氏は PC 版の桜庭像を払拭することは出来なかった。
あらゆる意味で残念の一言。
というわけで本編を、笑い泣き感動し、何周でも出来る名作だと再確認し、楽しんだわけだが、
PC 版のときの掛け合いを知っていることが前提の全年齢版の掛け合い、
エロシーンをカットしただけのような演出、
凄惨な過去の設定について一部描写が緩和されていること、
などなど、やはり PC 版をプレイしていなければ本当に楽しむことは出来ないという感覚は拭えなかった。
全年齢版しかプレイしたことのない方は、是非とも原作である PC 版もプレイして頂きたい。
逆に、 PC 版はプレイしたが全年齢版をプレイしたことがない方も、
上述の変更点や補完点を楽しむことが出来るので、全年齢版をやることに損はないと言っておく。
● ANOTHER STORY
俗に「トモダチの塔」と呼ばれているシナリオ。
PC 版のボツシナリオであったが、 ANOTHER STORY という形で収録されている。
こちらも今更に内容について語りたいことはない。
田中ロミオすげぇ、の一言である。
少ないが新規スチルもあり。
全年齢版なので、描写は非常にマイルド。
美希のスチルは、マイルド過ぎて、無かった方が雰囲気が出たのではないか? とも思ったり。
● AFTER STORY
完全な蛇足。
これを目当てにして~ In memory of all people ~に手を出したならば、失望するであろうことを保証する。
まずシナリオが酷い。
太一のセクハラが周囲に伝染したかのような、雰囲気ブチ壊しの陳腐なエロコメディ、
明確な矛盾とまではいかないが、合点のいかない設定のほころび、
何より単純にギャグがつまらないのが苦痛だった。
非礼は百も承知で言わせて頂くが、本当にこれを執筆したのは田中ロミオ氏なのだろうか。
悪い意味で本編と全く異なる雰囲気は、とても同じライターが書いたものとは思えない。
解釈の分かれていた本編のラストシーンについて、より明確に示した点は、別途評価してもいいか。
新規 CG も、それなりの数が描き下ろされているのだが、
言い難いのだが、クオリティが酷い。
線画も崩れているし、塗りもどこかチープ。本編のスチルと比べると、一目瞭然である。
OP は論外。 CROSS†CHANNNEL の雰囲気に全く合っていない。
尤も、前述の通り、 AFTER STORY からして本編とは全く異なった雰囲気で話が進むので、
そういう意味では AFTER STORY を端的に象徴した曲になってはいるのかも知れないが。
ED は逆に悪くなかった。
随所のシリアスシーンや ED など、褒めるところが全くないわけではないといえ、
CROSS†CHANNNEL の AFTER STORY とするには、あまりにも役者不足。
この AFTER STORY で大きく減点しようかとも考えるほどであったが、
飽くまでクリア後のオマケシナリオということも踏まえ、減点は抑え目に留めた。
●その他
特典の小型電動マッサージ器ストラップは地味によく出来ている。
サウンドトラックも同梱されているので、せっかくならば限定版をオススメしたい。