■百合会へようこそ!?
スール制ではなくて、チューター制。
姉の呼び方は「お姉様」ではなくて、「姉様」。
生徒会長に称号は無く、人数は一人だけ。
気弱な主人公『かぐら』は、このような女学園で、ぬるい試練を乗り越え、
愛!?を成就させることができるのか? ・・・
プロローグ。 これが曲者です。
幼少期からのフォルテール(架空の鍵盤楽器です)の縁により、
中等部入学時に、『かぐら』のチューターとなった『すくね』。
一年後『かぐら』は、父親の転勤に伴い、外国へと行ってしまう。
それでも、高等部入学時に、学園へと戻ってくる。
『すくね』と再び、時を過ごすために。
しかし、『すくね』は『かぐら』のことを、覚えていないのであった。
ここから、三つのルートに分かれます。
『すくね』ルート。
周りに助けられながら、障害を乗り越え『すくね』との関係を取り戻す。
本道ですが、いささか平坦過ぎなのでは。
最後の『すくね』が審査員?でありながら、コンクールに出場する場面。
問題が出ないわけがないでしょう。
だいたい、名手『すくね』がフォルテールを弾けないなんて、
狭い世界のことだから、誰も知らないわけがないでしょう。
エピローグの甘い時も、もっと描いて欲しかったですね。
『ちほ』ルート。
親友との関係。
無くてはならないものなのでしょうが、定番だから入れたって感じもします。
『すくね』の謎を放っておくことへの、納得するシチュエーションが見あたりません。
身近な所にある幸せも大切に、ってことなんでしょうか?
『まり』ルート。
これが一番おもしろい。
強さと弱さが同居する、理解しづらい『まり先輩』。
ツンデレっぽくて『かぐら』とのやりとりに、ほのぼのします。
他人を理解することの難しさ。それを乗り越えた時の新しい関係。
実践するのは、たぁいへんなんでしょうけどね。
でも、コンクールで逃避する場面は、いただけない。
これといった伏線が無く、唐突過ぎます。
最後の卒業する『すくね』との別れのシーン。
『まり先輩』との甘い生活に溺れたのか、何も解決していない。
いいのか!それで!!
乙女同士の複雑怪奇な関係を描いた、コンサート付きの短編集。
貴重な百合系の一品です。
※歌は、それなりにいい曲ばかりなのですが、全て同じ曲のように聞こえます。
ルートにより、違った感じが出せなかったものでしょうか?
また、音に合わせてキーボードを叩いても、おもしろくありません。
※フォルテールを演奏する時の『まり先輩』のデフォルメ、とってもかわいいです。
※『まり』ルート、割と見つけづらいてす。