elfは重大なミスを犯しました。『本当に危ないの…生理が終わって…二週間目なの…』って、安全日ですから。
7月12日。凌辱劇は最高潮に達します。その時、ひかりは危険日でした。凌辱劇に、妊娠の恐怖が加わっています。
しかし、そんな凌辱劇のスパイスをぶち壊してしまう一言があるのです。凌辱劇から数年後、ひかりは彼氏とSEXします。
その彼氏が膣内射精を強行するのですが、「ほ、本当に危ないの…生理が終わって…二週間目なの…」と言うのです。
「生理が二週間前に来た」と言うのなら分かります。しかし、生理が終わって二週間目は、ギリギリ安全日なのです。
私は、目を白黒させました。ひかりは危険日を勘違いしている?それとも生理は32日周期?彼氏も危険日と思ってます。
もし、ひかりが勘違いしているのなら、受胎への絶望は茶番だったということです。全シーンの3割もあるのに残念です。
ひかりの生理周期が32日なら、標準的な周期が28日なのですから、そこはテキストで明確にフォローして欲しいです。
【余談】
エロシーン中でもシナリオが進んでいくという意味では、ヌキゲーとは違うのでしょう。シーンも少ないですから。
ストーリーは、催眠ネタが批判されていますね。非現実的で、「何でもできる小物」という感じがするからだと思います。
私はそれより、空が唐突に捕まる方が不自然に感じました。物語序盤のように、空なら窮地を脱出するはずだからです。
それと、「寝取られ作品」と思っている方が多いようですね。趣味が「手を洗う」ですから、精神異常の話と想像できます。
【空の精神異常と、テーマとしての愛】
主人公の趣味が「手を洗う」という点から、「この作品は、精神異常を扱っているな!」と感じ取ったわけですが、
物語冒頭から、主人公の精神異常ぶりが見られました。明らかに主人公の言動が異常で、操られていると分かります。
そんな主人公に対して、その主人公を護ろうとする両ヒロインは、正常な感じがしますね。でも、違うのです。
エロゲーに登場するヒロインは、多くが「精神問題」を抱えています。代表的なものに、「極度の精神依存」があります。
「主人公に従順で、主人公なしでは生きられない」とか、「主人公が生活の中心になっていて、振り回されている」とかです。
そんな女の子(女性)ばかりが、エロゲーには登場しているのですね。現実の女性はもっと芯があり、自分を主張します。
(彼女たちが、どうして精神依存しなければ生きられない状態になったかは、「エロゲーだから」なのでしょうが……)
空は、ツンデレぽいですが、そんなテンプレに染まらず、芯を持った大人の女性として描かれています。
けれど、「罰して欲しい」という言葉を聞いたとき、この女性もまた精神を病んでいるのだなと思いました。
空は「ドM」だと言われます。言葉攻めを望み、罰を与えて欲しいと訴えます。これは一種の精神問題なのです。
「妹に対する引け目」は、彼女自身が抱える劣等感から来ています。「妹の方が相応しい」も言い訳です。
どういうわけか、世の中には恵まれた家庭環境に育っていても、劣等感から望みを放棄してしまう方がいます。
彼女は、そういう精神問題を抱えている方を、モデルにしているようなのです。
不器用な恋と言ってしまうのは簡単ですが、彼女がどういう心境で諦めたか、罰を望んでいるかを考えたなら、
心の奥にある、ドロドロとした闇が見えてくると思います。劣等感は、自分を罰っするという心境につながり、
「恋の諦め」から始まって、「他の男と交わる」へと発展していきます。
この問題を解決するには、「自分自身を許す」ことが必要なのですが、本作はそこまで描かれていません。
本作のテーマは、間違いなく、「空の愛」だと思います。家族愛で接してきた空が、女としての一歩を踏み出す。
主人公は別にいますが、その主人公に魅力は感じられず、空という人間を描いている感じを受けた作品でした。
「陳腐な催眠ネタ」と「黒幕の行動原理がガキ臭い」という批判がありますが、私は催眠ネタは必要と感じてます。
切羽詰まった緊張状態を作り出すには、非現実的な手段の方が有効な場合があります。本作の場合、それが「催眠」だった。
精神問題との相性の良さも合わせて、それが選ばれただけでしょう。また行動原理についても、屑に相応しかったと思います。
もし本作のコンセプトについて不満を挙げるとするなら、BADENDでは空が弱くなり、解決編で黒幕が弱くなる点です。
空なら、物語序盤で見せた迫力で、どんな逆境でも打破できるはずです。BADENDにするため、ご都合主義的に弱くなった。
そうとしか思えないのですよ。解決編でも黒幕は催眠術を使えたはずです。そうなったら、空はどう行動したでしょうか?
たぶん、主人公が飛び降りる前に黒幕を瞬殺し、催眠術を解いたでしょうね。
本作は催眠ネタそのものに問題があるというより、ご都合主義な展開にあるように思えます。
単なるBADENDではなくて、「黒幕を捕まえたけれど犠牲は出た」とか、もっと後味が悪いENDがあってもよかったと思います。
得点95点の内訳
【デッサン及び構図】:25/40点
【演技力及び悲壮感】:5/5点
【シチュの分類】:B2(35%) 35/100点
【危険日の有無】:ひかりに四つあり 15/15点
【妊娠への不安】:イベントなし 0/15点
【妊娠条件】:ENDの一つで妊婦描写あり 5/40点
【妊娠報告の有無】:妊娠過程の描写なし 0/5点
【アニメの有無】:ALLアニメで、膣内射精時は静止画です 10/20点
【事後ピルの服用等】:なし 0/5点
注意
・全体に占めるA2・B2シーン(受胎嫌悪)の割合は、下記集計を用いています。
・腹ボテの数、シナリオ、BGM、システム面については評価対象としていません。
・危険日の数は、A2・B2シーン(受胎嫌悪)のみのカウントです。
●「な、中には出さないでっ!赤ちゃんできちゃうぅっ!」など、受胎嫌悪:5シーン
●「中はいやぁ!お、お願い…それだけは許してぇ!」など、中出し嫌悪:2シーン
●「もぅ、こんなに出して…できちゃっても知らないから…」など、受胎不安:0シーン
●「イヤぁ!」など、他(絶叫・快楽嫌悪・描写の弱い中出し嫌悪)の嫌悪:3シーン
●「だ、出してっ!あなたのザーメンミルクで孕ませてぇ!」など、受胎肯定:0シーン
●中出しに抵抗が無い(相手を受け入れている、抵抗を諦めている)SEX:6シーン
●妊娠の可能性が無い(卵の植え付け、アナル、外出し、ゴム使用)SEX:1シーン
●妊娠中(あくまでも妊娠発覚後であり、腹ボテは要件ではない)のSEX:0シーン
受胎嫌悪率:6/17=35%(全体) 6/16=38%(外出し・アナル・ゴム使用を除く)
【生理周期について】
平均的な生理周期は28日です。特に指示がない限り、ズレは考えなくてよいでしょう。
排卵は、周期に拘わらず、次の月経予定日からさかのぼり、14日目前後(12~16日目)です。
(生理周期が28日で固定の場合、「生理開始日から数えて13~17日目が排卵日」になります)
以上から、卵子の生存期間1日と、精子の生存期間3日を勘案すると、
生理開始日から数えて、10日目~18日目の9日間が危険日となります。