神の国の魔法使いのサイドストーリーを数本とスカーレットのミニアフター。あとおまけ。 全てプレイして1時間程度。 ボリューム不足は否めないが、密度の高いストーリー詰め合わせで満足。
各コンテンツの感想を少し。
〇APEND STORY ~ただの魔法使い~
小梅が現代に置き去りにしたランとの決着を付けに行く物語。
多少わだかまりもあるだろうし、シリアスな場面もあるのかなと思ったら全然違う。もうひたすら友情の物語。お前達、そんなに学校で仲良くなかったよねと言いたくなるほどに青臭く「親友、友情」のお話。
でもそれでいいというか、これが見たかった。
本編のネガティブな部分の7割(偏見)ぐらいは彼女たちが引き受けていたのだから、アペンドでは「ありえたかもしれない」幸せな話でいい。
気になるところでは、小梅たちの元居た世界は放置でいいのかなということ。
シャー・ホイらとは違って彼女らは家族と不仲というわけではなかったはず、「帰りたい」という気持ちは多少あったのではないか。
小梅は長い時間の中で諦めがつくのもわかるのだが、ランはよく状況を受け入れられたなと。過去世界であること、時間の経過と小梅の苦しみなどにすぐに気がつける様子も察しが良すぎる感がある。
メインストーリーはサツキの決断なのだから、そちらに寄せるためには仕方のないことなのではあるが少し違和感が残った感じ。
とはいえ二人の仲の良いやり取りは見ていて微笑ましい。
特に気に入っているのはランの過去の苦労に気づいて「これからの100年は、私も一緒だから……」と述べるシーン。
小梅の長年の苦悩を解放した、その一言を告げたあの瞬間のランは、小梅にとってまさしく「勇者」であったといえるだろう。
あと魔法陣から帰還する18秒のやり取りも好きだ。
加速度とか言い出して小難しいシリアス展開からどんな手を考え出すのかと思ったら100%力技ジャンプ。実にねこねこらしい、コミカルで、暖かいシーンだった。
〇アイスクリーム
村に伝わるアイスについての小話。
特に驚きのない展開ではあるが、こういう受け継がれていく想いはやはり良い。もう出会えない相手にどうしたら気持ちを伝えられるのか、試行錯誤したアイスの製法、A子B子の名前を残して「繋がり」を残していくのである。
人にとっての真の意味での死は「存在を忘れられること」という、本編で語られる言葉に対する立ち向かい方が見て取れた、少し切なく、暖かいエピソードだった。
アイス2は、そんなしんみりした展開を吹き飛ばすようなコミカルなIFストーリー。
理屈じゃないお祭りストーリーで、自然と口角が緩む暖かいお話。
しかし、こねこソフトの「ねこまっしぐら」から立ち絵(金髪のネコミミ付けた姉妹)を使ったのには驚いた、こういうのも含めて「存在を忘れられない」ためにFDを作っているのかと思えてくる。
〇妹の夢
過去のFDやおまけでよく使われていたジョジョネタにベルセルクネタをプラス。
こういうの大好き。大丈夫か…と思ってしまうが、まぁ大丈夫なんだろう、きっと。
〇大野観光
ねこねこ20周年記念ディスクに収録されていた「スカーレット しずかエピローグ」の続きに位置するものと思われる。
スカーレットは大好きな作品なので続きを見られることは素直にうれしいのだが、袂を分かったはずの彼らが、これから偶然を装って邂逅をしていくことを示唆するシナリオを見ると「境界線」の価値が低く見えてしまう気もする。
尤も境界線などあってないようなものだし、それを何度も越えて価値を見出すことこそが「スカーレット」の本質だと思ってはいるのだが。
まぁ他の収録エピソードが前向きなお話なのだから、これも前向きで良いのだろう。
変わったように見えて、変わらない、変えられない関係性。優柔不断な九郎には懐かしさを覚え嬉しく思えたのも事実である。
〇野望
今回の野望はヤバイ。何はヤバイかって、ネタがもうヤバイ。
「妹の夢」がかわいく思えるほどにキレッキレである。ねこねこ過去作や佐藤ひろみさんネタはまだ内輪だが、それ以外がブレーキぶっ壊れているレベル。
詳細は君の目で確かめてくれ!
あ、進藤さん出てきたのは嬉しかったです。