続編というよりもFD、強くなった二人による活劇は安心感がある代わりに危機感やホラーは弱い。 変わらずアンネはエロ可愛いし、気安い会話は聞いていて楽しくなる。
〇ストーリーについて
良くも悪くも、とても安心感のある構成に思えた。
失った片腕は強い義手に変わり、鬼として新たに能力を得たアンネはそれを駆使して柔軟に対応できる。激務を強いられる組織での不安定な立場もあるにはあるが、葉子という強い後ろ盾によりほぼチャラというか余りある安心感を感じるほどである。
そして刀により異界へ出入り自由なのも大きい、リレミトか。
正直こうまで不自由なく活躍されると、禁忌の代償として失った片腕の価値が軽く見える。極端なことをいえばこの先両腕両足無くしても何とかるんじゃないか、みたいな。
まぁ言ってしまえば強すぎるのである。その結果、前作にあったような主人公に迫る危機感はほとんどなくなり、ホラー的な面白さは低下しているように感じる。
そもそもが本作の舞台は彼らにとっては“必須”ではないと思うのだ。前作のマンションは彼らの出会いに必須であり、あれが為されなければアンネは葉子により倒されて二人の物語はそこで終了していた。BADENDのいくつかの先がそれだろう。
本作の舞台は直接的に彼らの物語ではなく、いわばサブクエストのような位置づけだろうか。陰陽寮のお偉いさんの弱みを握ったことにより今後何かが変わるのかもしれないが、今の段階では彼らの行く末に与える影響はあまり大きくないように思える。
敵、ラスボスは力こそあれど存在は概念的な神様であるため主人公と対決する思想や意見はなく、彼に与えるものが乏しい。
またBADENDのバリエーションが乏しいこともその先に続く可能性がないことを感じさせる。死亡ENDはともかく、未解決ENDだとしても彼らの直近の未来はおそらく変わらないだろう。
と、マイナスの要素を列挙しているのだが、つまらないと言っているわけではない。前作のホラー要素を要とした探索推理ADVのそれとは違うのだなというのである。
危機感こそないが、強くなった彼らの余裕を持った戦いはそれはそれで面白い。
また二人のコミカルな掛け合いは常に余裕を感じさせているおかげか違和感がない。
たまに残り数分だ!みたいな危機的状況なのに下ネタやギャグなどしょうもない会話をしていて違和感を覚えることがあるのだ。本作にそこまでの状況は無いが、多少のピンチでも軽口を叩いて解決している様子は見ていて気持ちが良い。
設定も重厚ではないが興味をそそる内容だし、伏線的な要素も十分楽しめる。ボリュームこそ少ないが綺麗にまとまった構成はライターの力量だろう、面白かった。
ただ美代と千代のエピソードはとても良かったのだが、彼女らに接する時間が少なすぎて思い入れが抱けなかったのが少し残念。
敵に人間味がない分、彼女らの成仏は感情的なプラスの要素として大きいと思うのでもう少し掘り下げてほしかった。
〇エロについて
通常のエロシーンにE-moteがないのは残念であるが、質・量ともに申し分ない。多数のシーンは衣装・差分を含めてアンネの魅力をよく引き出している。
個人的には露出控えめの衣装によるものも見てみたいと思うのだが、本作のセールスポイントやアンネの性格を考えるとそういうわけにもいかないのだろう。
E-moteを採用した触れるエロシーンは試みとしては良い。
バイブなど入手したアイテムを使用しできるのも面白いし、服装や翼など外見を変えられるのも良い。またストーリーの進行を優先する方であればセックスせず終了してしまっても特に進行に問題はないはず。裏を返せば、このシステムに意味がないともいえるのだが…。
マイナス点は自由度と発展性が乏しいこと。
基本的に舐めていじって挿入しての流れに留まり、どれだけ感じさせたかなどで変化する要素はないように思う。ゲームとして単調なのである。
加えて、アナルに干渉できないことが非常に、非常に残念である。私はアナルセックスが特別好みではないがやはりあるならそれに越したことはないし、せっかくノーモザイクで鮮明に綺麗なアナルが描かれているのに触れないのは片手落ちではないだろうか。
なにもアナル専用の描写を入れずとも良い、選択可能にして他と同じリアクションでもよいのだ。
例えるなら旅館の夕食で出された料理の中で、なぜか料理が盛られていない見事な器だけが用意されていた気分だ。目で楽しめというというならまぁ…と思わないでないはないが、どうせなら一緒に食べたいじゃあないか。