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HARIBOさんのコイバナ恋愛 ミニファンディスク アフターフェスティバルの長文感想

ユーザー
HARIBO
ゲーム
コイバナ恋愛 ミニファンディスク アフターフェスティバル
ブランド
ASa Project
得点
73
参照数
77

一言コメント

カップルが定まってようやくコイバナを始めたな、という印象。 サブ、とくにいのりと光生のお話が良かった。 ただメインシナリオがこころルート準拠のため、他ヒロイン好きには何とも言えない後味が残りそう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

メインシナリオ、アフターフェスティバルは彼氏:叶太と彼女:こころのイチャラブアフターストーリー、学園祭の準備を通して友人たちの恋路も徐々に火が付き燃え上がっていくお話。
楓美と大河は既に付き合っているため、男グループの半分は既に恋愛に染まっています。そして本作の舞台はフェスティバル、お祭りですからね。古来、祭りは男女の出会いの場としての意義も大きかったのですから、シングル勢がカップリングしていくのは自然といえるでしょう。

また、テーマであるコイバナという行為は男女双方の好意がなければ成り立たないのですから、それが進展するのもまた自然。
そのコイバナも前作より内容がありましたし、彼らのやり取りも面白かったです。特に頭の中お花畑のこころはナチュラルに可愛かったです。



〇サブキャラカップルについて


特に気に入っているのは、怜を落とそうと粘った未来の空回りが実を結んだところ。
急に胸を揉まれて恥ずかしがる様子だったりと、普段と違い受け手に回った未来の弱さが見えて可愛かったです。

あと、光生のひたすらのアタックがようやくみのりに届いたところも良かったですね。
正直叶太よりよほど主人公然としていた光生でしたから、彼らの恋愛模様は正統派なラブストーリーとして楽しめました。メインヒロインらが奇抜なキャラ付けをしている分彼女の魅力は相対的に輝いていました。お姫様姿とか、ザ・王道。

アフターフェスティバルシナリオを分解して考えてみても光生いのりカップルについてかなりの分量を割いていましたから、第二の主人公といっても差し支えないんじゃないのかなというレベルでした。



〇全体の分量と叶太の彼女について


さて、サブカップルに分量が割かれる、それは本編から予期されていたことですから良いのです。
ただ意外だったのは、そのベースとなる叶太の恋愛対象にこころのみが据えられていたことですね。
もちろんそれぞれのヒロインのアフターストーリーはありますよ、しかし本当に少しでした。ミニエピソードとエロ少々。こころの10分の1にも満たない。

コイバナ恋愛本編を思い返してみるとこころは他ヒロインの倍近いボリュームを与えられていましたから、まぁ…こころがメインヒロインであるということなのでしょうね。

私はこころが好きなのでこの設定は嬉しいのですが、他ヒロインが好きな方は切ないんじゃないかなぁ、と少し思うのですよね。
実際私はこころの次にチーが好きなのですが、基本的にコイバナに加わることの無い彼女を見ているとなんとも言えない気分になります。

だからと言って、じゃあ誰のシナリオをベースにするの、なんて言われても困るのですけどね。こころが無難で、次にチーか…先輩とトコちゃんはちょっと扱いづらいんですよ、コイバナをする仲間内の男女がすべて同級生なので。
若しくは叶太が誰ともくっつかなかったパターンか、これからくっつく段階に留めるかですかね。うーん、やはりこころが無難な気がする……。

そう考えるとやはりこの設定は最初から織り込み済みなのでしょうね、本編の階段式ルート構成も踏まえて見ても。



〇おわりに


コイバナ本編から懸念していたメインヒロイン(こころ除く)についてのシナリオ不足については変わらず、むしろ強まり。
反面、FDで掘り下げると明言されていたサブキャラカップルについては申し分のない出来栄えだと感じました。

いろんな意味で“期待通り・予想通り”のコイバナFDでした。