絵、システム、豊富なエロシーン、同人とは思えないクオリティの完成度には驚いた。 妹の性格が変わるシステムも面白く、声優の小波すずさんの演技により一段上の作品に仕上がっているように感じた。
同人と思えないほどに高クオリティな素材で構成されている作品。
原画と塗りは素晴らしい。声優は小波すずさんを起用しており、ちえによく合っている。演じ分けは驚異的というわけではないが、違和感なく表現しており見事である。
システムは非常に快適で非の付け所がない。下手をしたら商業ブランドより使いやすいんじゃないだろうか。
エロシーンは尺は短めだが回数は非常に多い。フェラシーンが少なめなのは個人的に残念であるが……。
ストーリーについて、幼少期の選択によって変わる性格と外見は面白い。シナリオもおおむね共通ではあるが、性格ごとに展開が異なるところも用意されておりひねりがある。
ただ、ギャルに関してはちょっと差別化が不十分。せっかくギャルの言動を盛り込むのにナマイキ、ヒネクレと同じスタイルだと魅力を引き出せていないように思えるのだ。反論をいただくかもしれないが、髪の色ぐらいは変える選択肢があっても良いのではないだろうか。
あと最初のエロシーンは導入がおざなりかなと思う。二人きりの夜が彼らに決断をさせたということは伝わるが、そこに至るまでの積み上げが感じられなかった。
さて、本作の興味深いところは自由選択式エロシーンだ。
家中の至る所で致すわけだが、テラス、納屋、両親の部屋では行えない。
納屋は汚さそうという理由だが、テラスでは「外から見られるリスクが高い」ことを理由にしている。近親相姦という異常な関係性に踏み込んでいながらも対外的な良識を一応維持しているということが伝わる一幕だ。
加えて両親の部屋というのも、最低限の良識、踏み越えてはならないラインを意識していることが見て取れる。
本作では兄妹の関係性を公にしようということはせず、この後にどうするのかも明らかにしていない。もろもろの決断を棚に上げているのである。いつかは正さなければいけない関係であっても、今この時だけは刹那的な恋に溺れていられる、むしろ今だからこそ何も考えず溺れるべきなのである。
このエロシーンは、そのつかの間のモラトリアムと将来の不安がごちゃ混ぜになったところを感じさせてくれた一幕だった。