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HARIBOさんの愛欲姉妹ロリータの長文感想

ユーザー
HARIBO
ゲーム
愛欲姉妹ロリータ
ブランド
夜のひつじ
得点
77
参照数
74

一言コメント

愛を満たせていない少女と、肉欲という鎖でつながるお話。救済ではなく、主人公が欲によって肯定されたように感じた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

使いきれないほどの財産はあれど愛を満たせていない少女と、肉欲という鎖でつながるお話。

主人公からしてみれば棚から牡丹餅である。都合よく金と女が降ってきたのだから。
少女側から見てみると、精神的に消耗しているときに偶然出会った優しい男に絆されてすべてを託してしまう。
誰でもよかった、というわけではないのだろう。文章の端々に、ある程度相手を見定めたと思われる節があるからだ。

例を一つあげると、ちあきが自分をウサギになぞらえて、自らを食べてくださいというシーン。
これはインドの神話にある「ウサギの布施」から引用されているのだろうが、その中で炎に飛び込んだウサギは死なず、その自己犠牲と献身を称えられる。
ちあきがこれを認知していたとするのならば、「貴方の炎は私を焼かず、殺さないでしょう?」と問いかけているようにも思えるのだ。
幼女に手を出している事実だとかで、社会的な目があるという鎖を関係性のお題目にする一幕もあるが、それは言い訳に過ぎないのだろうと私は思う。

そもそも本作の主人公は、他に少しプレイしたロリータシリーズに見られる心理面での闇があまりない。現在の仕事に対する不満というかギャップは感じているが、そこから逃げ出したいというほどの追い詰められ方はしていない。むしろ少女らを自分の手元に置くためにその力を使っているし、最終的に仕事を転じたとしても、それはおそらく後ろ向きなものではないのだろう。

少女に癒される、というよりは欲を満たされることにより肯定感を得ているというのが適切だろうか。プレイに嗜虐的なものが多少あるのもそれを感じさせる。
「愛と欲」というタイトルはそういうことなのかなと、なんとなく思う。


あとりが初潮前というのは良かった。せっかくロリを用いるのならば、わかりやすい身体的特徴としてこれ以上のものはない。
それに関しての描写でとても気に入ったものが次の一幕だ。

「穢れた血の赤で汚れる前に精液の白で汚してやろう」

生理の血を穢れた、と形容するのは古来から一般的である。それに対して精液はどちらかといえばプラスの意味合いを持つし、色で考えても白はリセットの意味合いがあると思うのだが、ここでは「汚す」と表現している。
作中で自問もしくは他問をして少女性愛の関係性を正当化してはいるのだが、究極のところでは自分が負の存在であることを否定しきれてはいない、倒錯した様子が感じ取れる面白いシーンだった。