FD、アフターストーリーとしてこれ以上書きようがないくらいの出来栄え。 ”アマカノ”のファンに対して非常に誠実で期待を裏切らない作品と評価できる。 ハート目の使い方はサービス精神が溢れすぎたのか、いささか過剰に思えるのが少し残念。
基本的な展開はヒロインごとに代わり映えがしない。旅行に行ってお祭り、海、川床を楽しむ。未来編では結婚、出産の流れ。多少前後したり、関わり合う人々によって違いはあるが大筋としては予想から外れない流れだ。
山無し、谷無し。手に汗握るシーンなどどこにもない。
だが、これでいいのだと思う。
例えば大学生活でのすれ違いとか、親族の反対とか、流産とか、シリアスかつ劇的な展開を入れ込むことはできるのだろう。
だが本作は前作”アマカノ”、イケメンと美女のイチャイチャを懇切丁寧に描写した、冗長の極みともいえる作品のFDである。アマカノにシリアスはほとんど無い。
であれば本作にもそんなものは必要ない。まったりのんびりと育む愛の物語である。もしかしたら見えないところで喧嘩しているのかもしれない、うまくいかないこともあるのかもしれない。だが、そんなものは見せる必要はないのだ。”アマカノ”の世界においては。
〇内容について少し
旅先ではヒロインそれぞれの特色に合わせて和菓子であったり、神社であったりとイベントを挟み込み、細かな魅力を演出している。
この旅行編では基本的に主人公とヒロイン二人の「箱庭」的な描写があるが、それを堪能しつつもやんわりと否定している。
対して未来編では結婚式、披露宴や子育てに際しての協力など、周囲との関わりがぐっと増えてくる。
その結果、二人を取り巻く世界は急激に色めいていく。つまり「箱庭」の否定がここに繋がるということだ。
また、周りの登場人物が過剰にでしゃばらないのもうまい。サブはあくまでサブに徹することで二人のイチャラブを盛り立たせているのは地味だが良い。
特にSSのヒロインたちがそれとなく関わってくるのはサービス精神豊かだ。
〇ハート目について
巨乳、潮吹き、大量射精、巨根。エロゲの誇張された描写は多々あるが、これらは現実の延長線上にあり”あり得るかもしれない表現”だ。
対してハート目は”あり得ない表現”である。その結果純愛モノでは違和感を産むのだが、それを押してまでハート目で何を表現したいのだろうか。
気持ち良すぎてイキすぎた表現だろうか、運命のセックスで感極まったのだろうか。どちらにせよ私には必要性が理解できなかった。
セックスの終盤であれば意識朦朧、気持ち良すぎてハート目はわかる。前作ではそのように使われていたように記憶している。
今回はフェラの最中にハート目になったかと思えば普通の目に戻るし、セックス中も別人格でも入っているのかと言わんばかりのハイペースでころころ入れ替わる。節操が無い。
個人的にはハート目にさしてこだわりは無いが好きな方ではある。
だが、本作は少々過剰と感じた。過ぎたるは猶及ばざるが如しである。
〇まとめ
総じて前作のファンを裏切らない、誠実なFDと言える。冒険心が無いかもしれないが、この作品ではそれは不要だろう。まったりと優しいアマカノワールドを堪能できて満足。
あとこはるのお父さん喋ったのはビックリ、こういうの大好きです。