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HARIBOさんのすみれの長文感想

ユーザー
HARIBO
ゲーム
すみれ
ブランド
ねこねこソフト
得点
85
参照数
212

一言コメント

生きづらさを抱える登場人物たちに居場所を与え、そして与えられる物語。緻密に描写される彼らに共感できれば痛いほどに心にしみる作品。 ねこねこソフトらしさ、片岡ともらしさあふれる本作は記念作品として素晴らしい出来だった。 ただ、15周年記念要素は旧来のねこねこファンには無上の喜びだが、初めてねこねこに触れる人にはどうだろうか。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ねこねこソフト15周年記念作、記念というだけあってねこねこらしさにこだわるところもあるのだろうか。逆に古臭さを感じさせる作品なのではないかなどと考え、不安半分、期待半分で臨んだ私の印象は

「15周年というお題目を土台にして、片岡ともの魅力を前面に押し出した優しい作品」

雰囲気は片岡氏のサークル作品、ナルキッソスっぽいところを感じます。そこに15年で積み上げたねこねこ過去作のパーツをちりばめて、よくまとめ上げた完成度には感心せずにはいられません。
欠点が無いというわけではありませんが満足のいく作品でした。


従来のねこねこ作品に共通する弱点として、複数ライターによる作風のちぐはぐ感、特に片岡氏担当シナリオと他シナリオの差異があると私は考えていました。
私が片岡氏の文章に心酔しているせいもあります。プロットを立てているのは本人なのだから本人が一番うまく書けるのは当然かもしれません。

ただどうしても彼のシナリオが目立ってしまう。ほとんどの場合、彼の感性に合わせられない。
じゃあ彼一人で書けと言ってもそれは無理なのでしょう。筆が早いというわけでは無いようですし、ディレクター兼任も複数ルートも厳しいとスタッフルームなどでよくぼやいていますから。

その点、本作「すみれ」は片岡氏の執筆部分が半以分上を占めることによりいくらか統一した世界観を構成出来ています。片岡氏が2ルート、池波氏1ルートの構成ですね。歪さは残りますが新Whiteやゆきいろ程では無いです。
できれば片岡氏に全ルートを書いてほしいなと思いはしますが先述のとおり無理でしょうね。所属ライターに活躍の場を与えるという側面もあったのかなとも思いますし。

そうしてライター数を絞った結果、プレイ時間はメインルートだけ見れば10時間あるかないか。ちょっとボリューム不足は否めないところです。

このボリューム不足を補っているのは15周年というお題目で追加された過去作のNPCと話せるモードや過去作。これらを含めれば15~20時間はいくかもしれませんが、それは旧来のファンに向けたサービスと捉えるべきで。

まぁ主人公の年齢設定から鑑みるにユーザーもいくらか上の層を想定しているようなので織り込み済みなのでしょう。

たぶん、私のような古い人間は本作自体を肯定的に見てしまうと思うのです。ブランクはあれど感性は若くなく、だから健二に共感するのですが。
ただどんなコンテンツでもそうですが新規ユーザーに受け入れられることが肝要です。

短さはあれど本筋の内容自体はいい出来だと感じているので、ねこねこソフトのゲームをあまりプレイされていない若い方がどのような印象を感じるかが気になるところですね。



以下のとおり、少し小分けにして感想を。



1 グラフィックについて
2 テーマとストーリー全般について
3 すみれ
4 雛姫
5 あかり
6 15周年、ねこねこの過去作について




1 グラフィックについて


塗りが変わったのかはわかりませんが、過去作と比べて凄く良くなったと感じました。
特に裸の時の肉感的な表現がとてもいい。

すみれのパソコンを操作するパンツ1枚のCG、おなか回りの表現が凄く魅力的なんですよね。雛姫が横になってパソコンを操作するときの様子もそうですけど、無防備な一枚の表現がずば抜けて素晴らしい。
パソコンの明かりによって照らされることで生み出される憂いのある表情は、彼女らの影を浮き上がらせているのです。
告白シーンのようなインパクトのある一枚絵とは全く違う魅力にあふれていました。

たださくらの立ち絵はちょっと…違和感が凄いです。段々慣れては行きましたけど、最初はこっちがネットのアバターなんじゃないかと思うぐらい浮いていましたから。



2 テーマとストーリー全般について


逃避、寝たふり、愛想笑い…いろいろ刺さるところが多い本作、個人的に注目したところが「居場所」でした。
人間が生きていくためには心と体、飛び続けた羽を休める居場所が必要です。

物語の始まりから主要登場人物4人に共通する「居場所」として「ネット世界」があります。
これはかりそめの世界の居場所、かつ発起人のあかり自身がそれを最終的な居場所としてはいませんし、いずれサービス終了するものです。わざわざそんな場所を用意したあかりの最終的な目標は「彼らにリアルで居場所を作らせる」です。

こうまとめるとありきたりなテーマでなんだか陳腐に聞こえますが、それを手に入れるまでの彼らの奮闘に共感することしきりでした。本作の魅力はこの「共感」に寄るところが大きいと思っているので、そこにハマれるかどうかで評価は分かれそうです。これについては各ルートで書きます。

さて、「リアルで居場所を作らせる」と述べた通り、最終地点はそこです。
すみれが感情を爆発させて啖呵を切ったのはリアルの教室ですし、それまでの積み重ねもリアルの出来事。
雛姫が涙を流したのは観覧車、父親について語ったのは屋上。しつこいほどに押しかけた学校や公園も全てリアルです。
あかりを「離れえぬように」抱きしめたのはリアルの病院の7Fです。

決定的な出来事は全て「リアル」で発生しています。では「ネット」は何のためにあったのか。

それは、リハビリとロールプレイであると私は考えるのです。

社会から逃避し続けている状況で急に荒療治をしてもうまくいくとは限りません。そもそもうまくいくなら何年も逃げ続けていないのですから。
リアルから隔離した箱庭で心を、羽を休めるリハビリがまず第一歩。

そして自分の意志で歩き出すための練習、ロールプレイ。

明るくて面白くて、ここ一番にはさりげない優しさも見せる健ちゃん。
萌え萌えしいから、モエ。明るくて、ちょっと天然で、クラスの人気者のモエ。
元気なジョシコーセー、ピンク。

こうありたいという希望が反映されたキャラクターを通して、強くて優しかったあのころの健ちゃんに。父親と仲良くなれて、友達もいたかもしれない明るい雛姫に。すみれは…まぁおまけですけどね。

あの日掛け違えたボタンを少しだけでも直して、借りを返す、あかりの一世一代の大勝負。

登場人物たちの優しさを通して、ねこねこソフトの優しさが伝わってくるそんなストーリーでした。

次に各章について個別で。



3 すみれ


すみれの心理描写、行動の痛々しさ、健二に対する共感、既視感…とにかく心に響く物語でした。私はこのシナリオがグサグサに刺さりましたね、本当に良かった。

まず、すみれについて。

友達が欲しいくせに声をかけることもできず、まともな返事も返せず、寝たふりをするばかり。
でも自分の話が聞こえると聞き耳を立ててしまう、他人の目を気にするぼっちちゃん。

過大な自尊心、膨れ上がる承認欲求。それを満たす行動力を持たず「寝たふり」をして逃避する日々の描写は実に秀逸です。
期待や失望、優越感など突っ伏す彼女の表情から読み取れる表情一つとっても多彩。

そんな彼女が健二との仲が深まるにつれ調子に乗っていく様は見ていて痛々しいのですが、不思議と目を離せない。
迎えに来て欲しいと言ってみたり、学校前のバス停から乗ってみたり、クラスメイトにプリクラを見せびらかしたり…承認欲求が暴走していく様子はいつか来るしっぺ返しを容易に想像できて胸がキュッとなるものでした。

鬱屈して過ごしてきた彼女にようやく来た春なのだから仕方ないのですけどね。
クラスでささやかな話題になったとき、照れくさくても恥ずかしくても「すごく嬉しかった」とにやけながらも述懐する様は甘酸っぱい、これぞ青春といった感情そのものです。

結局、すぐにメッキがはがれて嘲笑の的にされるのですがこの様子は本当に切ない。

でも、そうやってまた孤立して寝たふりをした彼女に殻を破らせたキーは「健二」に他ならないのです。
浮かれて暴走しても、健二と積み上げたその「日常」は彼女に力を与えて、「ぼっちだってプリクラくらいするわっ、このボケぇ」というあのセリフを叫ばせた。

不器用なりにあがいて、兄妹、家族のやりとりの中で浮かべたのは熱に浮かされた不格好な笑顔だったかもしれないですが、決して愛想笑いでは無いのです。

「親友は・・・愛想笑いだけで生まれるのだろうか」と吐露した彼女が浮かべた笑顔。
それが彼女の中で健二を大事に思う気持ちを作ったと思うと胸が暖かくなる、本当にいいシーンでした。


健二についてはとにかく共感しかないです。

就職と同時にオタクコンテンツから自然と離れ、流されていく背景。
社会人主人公は探せばいくらでもありそうなものですが、ここまでリアリティに満ちたものはなかなか無いのでは。
特に何を成すわけでもなく、新しいものを取り込む余裕もなく、過去を懐かしむばかりの「過去オタクであった何か」になっていく恐怖のような描写は本当に見事。

特にクリアファイルについて独白する場面は自分のことのように感じさせられてクリックする手が止まってしまいました。
私も就職、私事に追われゲームやアニメなど触れなくなっていた時期があり、過去に収集したCDや本などの価値を計りかねていた時期があったのです。
モノだけどモノだけじゃない。

眩しかった日の、そんな日のことの思い出、記憶。
卒業しなきゃならないなと思うのですけど、安易に捨ててしまえば自分のアイデンティティが揺らいでしまいそうな、そんな昔のことを思い出してしまいました。



すみれも健二も、特に誰からいじめられたというわけではなく、また特別彼らに悪意を持った人間はいませんでした。誤解を恐れずに言えばぬるま湯のような環境だと思います。
でもそれで幸せかというとそうではない、流されるままの彼らなりの「生きづらさ」は確かに存在しているのです。
加えて劇的、悲劇的ではない「嫌われたくない病」などどちらかと言えば一般的な悩みも抱える彼らは、ユーザーが共感しやすい等身大のキャラクターとして完成しているというわけです。

特に健二は元エロゲーマーで自分の理想を「健ちゃん」と定めています。みずいろならずとも「CLANNADは人生」の様に作品を自分のアイデンティティの一部として定義した方にとっては通ずるものがあるのではないでしょうか。

もちろん皆がみんな共感できるとも思っていませんけどね。

最終的に本ルートでは、健二が目指した「明るくて面白くて、ここ一番にはさりげない優しさも見せる」、健ちゃんのマインドがすみれを救いました。
そしてクリアファイルに宿っていた「当時の自分の、大切にしたい時間であり、記憶」は確かに健二の中にアイデンティティとして残り、否定されることは無かった。

過去を切り捨てて成長するのではなく、過去とともに乗り越えることの肯定。
これこそ本当にねこねこソフトというか、片岡とも氏の優しさなんじゃないかなと思うのです。



4 雛姫


仕方のないことですがライターが違うので急に流れが変わります。文体も違えばキャラの性格も変わるので違和感を覚えずにはいられないところ。

展開もコミュ症のヒロインを押しに押して、押しに負けた末にデレてきて過去のトラウマを吐露して共有して共感して…といった感じでエロゲテンプレ的既視感のある流れ。

テンプレ的な展開がダメなわけではないですけど、もう少し登場人物の性格や設定を考慮して欲しい。
前章で健二はすみれに対して最初は表面的な付き合いを選ぶなど消極的なアプローチでした。そこから成長したのかもしれないですが、いくらなんでも強気になりすぎだと思います。

いくら多恵に助言をもらったからと言って、相手の学校まで行っていきなり話しかけるのはアグレッシブすぎます。
百歩譲ってすみれの時のように悩みを吐露していたなら手を差し伸べても良いかもしれませんが、雛姫はリアルについて触れられるのを拒絶していますし、健二が感じたことも「なにか様子が変だ」程度。
この状況で大の大人がいきなり「君を助けたいんだ」って言っても通報されかねませんよ。せっかく同じ学校に妹がいるのだから、そこを活かして下調べぐらいしては…。


と、ここまで否定的なところばかり言いがちですが良いなと思ったところもあるのです。

過去にクラスメイトと観覧車に乗ったときにつまらないと誤解されて泣きだした、感情を忘れてしまったと悲しくなり、そこから逃げてしまったと述懐するシーン。
ここは私はとても共感したところでした。

そもそも雛姫は感情を忘れてしまったんじゃないです、単に感情表現が下手なだけ。

自分語りで恐縮ですが、私はかつて人と映画を見て楽しんだ後に「面白くなかった?」と聞かれたことがあります。
感動したら泣くらしいです、不快に思ったら気色ばむらしいです。
私はできない、それらしいことは出来るのですけど、それは愛想笑いと一緒。そう演じている時点で「面白くない」のです。
もちろんただクソ真面目に画面を見ているだけの横顔を見て楽しんでいると思うわけが無いのはわかります。
でも、そんな私を見て「楽しそうだね」と言ってくれる人がいたのならそれは望外の喜び。

観覧車で雛姫の顔を見て健二が言った一言がそれです。
ここの健二は「健ちゃん」が持つ「ここ一番のさりげない優しさ」に溢れていたと思います。
健二が生来持っていた資質なのかもしれませんが、ネットでロールプレイの中で身に着けた、健二の目指した優しさの発露だと思えばあかりの努力も報われるんじゃないのかなと、少し感じました。



5 あかり


不老不死、他人の体を乗っ取る能力などが急に展開されたため、まさか彼らのほかに長大な寿命をもつ種族や願いを叶える銀の糸、チャンスシステムなんかが出てくるんじゃないかと思いもしたがまぁそう安直ではないですね、反省。
ちなみに乗っ取る人物が同じ立ち絵ばかりだったのは原画の都合、コスト面で仕方ないのかななんて考えてしまったのが恥ずかしい限りでした。
ハラペコ姫の登場人物なのですからね、彼女の認識している範囲に留まると言うことなのでしょう。

ハラペコ姫に係わる設定に関してはこうだという確実な解釈は私の中には無いですが、「夢の共有」というところでとりあえず納得をしています。少なくとも現実世界にどうこうする外的干渉を伴うものでは無く、精神的なところのSFという位置づけになるかなと。
みずいろの日和の設定から見ると逆の位置づけですかね。

このあかりルートが本作の設定の根幹であることは言うまでもないことですが、そのもろもろが発生したことは「ボタンの掛け違い」にあります。
ゆきいろのテーマ「もしボタン一つでも掛け違えたならば、こんな不思議な未来にはならなかっただろう」に重ねているのかなと勝手に思ったり。

あかりが継母に歩み寄っていれば寝たふりなんかしなくて良かった。
寝たふりを早くやめていれば入院なんかしなかった。
検査前に薬を飲まなければ入院し続けることも無かった。
健二に薬を渡さなければ入院は長引かず、健二の心に影を落とさなかった。
雛姫が少しだけ早くお父さんと呼んであげれば、彼はあそこまで追いつめられなかったかもしれない。
あかりが最後に目を開けたのなら、父親は自殺を思いとどまったのかもしれない。
父親が自殺をしなければ雛姫とあかりは姉妹として過ごしていたのかもしれない…

この父親の自殺でひとまずボタンの掛け違いはおしまい。

目覚めぬ実子、懐かぬ継子、うまくいかない仕事。妻との関係がどうかはわかりませんが、こんな状態で全うに生きていけるわけが無いのです。
唯一の救いは、冷たいコンクリートにたたきつけられる前の父親の目に、目覚めたあかりが映っていたことぐらいでしょうか。喜びと同時に悔いになったのかもしれないですが。

掛け違えたボタンは途中でもとに戻すのはとても難しいものです。
だからあかりはこれ以上不幸な連鎖が起きないようにあの病室でひとり夢を見ていたのですが、現在不幸になった健二のことを知ってしまったからにはなんとかしなければと行動を起こすのです。

これが「すみれ」のはじまり。


他のルートに比べると現実感が乏しく共感しにくいように思えますが、一つ一つのファクターを見ていけば意外にシンプルです。

親が再婚した際に素直に親と認めるのは難しいこと、反発することもあるでしょう。
仮病で学校を休むこともあるかもしれません。
学校に行きたくないから薬を飲まずに捨てるかもしれません。

子供の頃だけじゃなく大人になってからもあることです、一度ついた嘘に嘘を重ねて取り返しがつかなくなっていく。
そういうところをみればとても共感できると思いませんか?


他のルートでもそうなのですが、あかり編にも共通して言えることは、根底にある優しさなのです。
すみれ編よりはエンタメ性を重視した結果、ちょっと伝わりにくくなってはいますが。

あかりが一身を賭して紡いだすみれ組の成長物語。確かに健二は強く優しくなってすみれを、雛姫を救い出しました。あかりはそれで良かったのです。自分はハラペコ姫の物語の中で眠るだけ。彼女の戻る居場所は「7F」なのですから。

でも、健二は止まりません。
かりそめの3年間で幼い日に見た優しさ、強さを思い出した「健ちゃん」は勢いそのままであかりに手を差し伸べたのです。
健二にかりそめの居場所を与えたあかりに、健二が現実の居場所を与えたのです。

自分が育てた、救った相手が自分を救うって、凄く優しくて、ロマンチックじゃありませんか。



6 15周年、ねこねこの過去作について


・15周年記念

よくもここまでやってくれたものだという気持ちしかありません。諸手を挙げて喝采です。
15周年記念というお題目なしにはこれは出来ないでしょうね、複数キャラ担当の声優さんが多いとはいえ何年前の作品を引っ張ってくるんだってレベルですもの。みずいろだけでもやかま進藤とか雪希は良く出ていましたけど、清香とか麻美先輩とかはいつぶりなんだろうってぐらいです。
キャラ以外にも佐藤ひろ美さんとかいるのは脱帽です。エロゲキャラの立ち絵の中に実写立ち絵ですよ、違和感が凄い。
パロネタも多いし本当にカオスな世界でした、最高。

ただですね、当たり前の話なんですけどこれ、内輪ネタの極みです。
ボリュームは凄いんですけど所謂おまけの域は出ていません。まともにやったらすみれのメインルートと同じぐらいのプレイ時間になるのにです。
FDじゃないのです、普通の作品だったらナニコレって思われますよ。

つまり、この構成は「15周年記念作」だからこそ許されていると言えるのですね。

多分過去作を知らない人には何のことかさっぱりわからないと思うのです。というか普通に考えたらやるわけ無いですよね…私は知らない作品のおまけはやらないほうですが、もしかしたらそうでない人もいるのかもしれませんが。


・過去作について

みずいろ:日和ルートは作中でプレイを推奨されている通り、やったほうがすみれ本編を楽しめると思いますので、もしもスキップされた方がおられたらやってみてほしいです。
健二の理想、「健ちゃん」についてイメージしやすくなりますし、設定もあかりルートなどで似通ったところが採用されていますので。

ただ古い作品なのは事実ですから、言動や設定に違和感を覚えて楽しめない時は容赦なくスキップで。苦しんでやるもんじゃありませんし。

他の過去作品の要素も本編にちりばめられていますので、やっていたらより深く楽しめるとは思います。

というのも、どの作品にもある「ねこねこらしさ」を実感するとなんだか嬉しくなるのです。
例えば、「物」に意味を持たせること。
なんということはないただの「物」ですが、それを通して積み重ねていく日常にこそ価値があると気づかせてくれるのです。

過去作では銀の糸、リボン、おもちゃの指輪、ストロー、髪どめ、望遠鏡、運動靴、銃、トレーナー、かまくら…などなど。

「すみれ」では、多分プリクラかなと思います。

最初はひとりで怯えながら、二回目は健二を巻き込んで、三回目は二人で笑って。
そして、最後は4人で肩を寄せあって。

このプリクラは「ただの物」ですが、彼らにとっては「ただの物」ではないのです。

他にもあるのですけど、まぁこのぐらいで。

なにぶん本数も多いし古い作品も多いので…気軽に勧められるものではありませんが、気が向いたらどうぞ。