酷評されるほどの出来栄えではないが、お世辞にも面白くはないし好きな作品ともいえない。ユーザーライクな政策方針も見えてこないし、制作側のとびぬけたエゴイズムも見えてこない。 バカゲーならバカゲー、イチャラブならイチャラブなど割り切ったほうが良かったのではないだろうか。
CG枚数が少ないなど酷評の嵐、先入観なしというのはさすがに難しいが、極力フラットな状態でプレイ。
2時間ぐらいプレイしたあたりだろうか、正直なところ意外に面白かった。
卓越した心理描写とかバトルが熱いというような長所はないのだが、絵は綺麗だし声優の好演も相まってプレイにストレスはほとんどなかったと言ってよい。シナリオに特筆するところは無いがテキストに読みにくさはあまり感じられなかったのもいいところ。
最初の山場、主人公らに対する男爵の復讐理由は実にくだらなくて笑えた。こういうの好きなんですよ私。このあたりまではボケとツッコミがうまくかみ合って本当に面白かった。たまに挟み込まれるネットミームや小ネタもクスッとさせてくれる。
しかしこれが個別などのストーリーに絡み始めるとアンバランスさを見せてくる。
一応擁護しておくが、ストーリー展開が著しく悪いというわけではない。良くも悪くも「普通」である。こういう展開好きだな、という方であれば多少は刺さる部分もあると思う。
だがそれを十全に楽しむためには悪ノリが邪魔をしてくるのである。これが最初からそういうコメディジャンルであるのならまだよいが、本作はそういう位置づけにはないと思うのだ。そもそも、コメディとして楽しむにもネタが散発でいただけない。
酷評の要因のCGの少なさもこれに拍車をかけてくる。
正直、私は一枚絵をそんなに重視はしない人間である、無いなら無いでよい。だが本作はCGが少ないことがメリハリのなさに繋がり、明確に欠点になっていると感じるのだ。
文章や場面転換、絵の配置などで躍動感とテンポを生み出せるのならCGが少なくてもなんとかなる、しかし同じような展開が続くのにCGの一つも出てこないのはキツイ。
一言一句をきちんと見ていれば「今はこういう場面か」ということを想像できるということは道理だし、小説などを読むうえではたしかにそうだ。だがエロゲという形式で制作側がそれを強いるのはエゴに感じる。百歩譲ってエゴでもいいのだが、それならば先述した文章や場面効果など想像しやすい工夫が必要だと思う。
まぁ本作のそれはエゴではなく制作側のリソースの問題だと思うのだけれども。
ところでプレイした方に伺いたいのだが、印象に残ったCGはあるだろうか?
私は、無い。
あえて言えば男爵の半裸の立ち絵だ。結構好きなんだ、あの人。
さて、ここまでつらつらと書いたことをまとめると
「構成要素が中途半端、まとめ方もアンバランス」
といったところ。
酷評されるほどの出来栄えではないが、お世辞にも面白くはないし好きな作品ともいえない。ユーザーライクな政策方針も見えてこないし、制作側のとびぬけたエゴイズムも見えてこない。
バカゲーならバカゲー、イチャラブならイチャラブなど割り切ったほうが良かったのではないだろうか。
〇余談
最近、知人のお店でカツカレーラーメン丼なるものを食べた。
ごはん、ラーメン、カツにカレーをかけたものである。合わせりゃいいってもんじゃない、バカじゃねぇかと思った、実際まずかった。
まぁ、つまり、本作はそういう感じだ。