ボリューム不足の現代ミソロジー。
心優しい(?)女顔の少年が理不尽な運命に抗って、
希望と絶望の残酷なゴールを目指すお話し。
共通パート3Hに、個別の未亜、一海、恵理那、十花ルートが各4Hで、
合計プレイ時間は19H。
このゲームは元々オープニングソングに惚れ込んで、
特典サントラを確保するついでに、中身を確認せずに購入したのですが、
君はAngelもエンディングの翼も、控えめに言って最高でした。
さて、ALcotのブランドカラーについて詳しくなく、
ALcotのゲームの作風をあまり理解しておりませんが、
プレイ経験のある「リア妹」、「キッキン」と同様に、
日常シーンでのヒロインとの掛け合いは面白かったです。
と言いますか、十花の声優さんの演技が非常に上手く、
声優効果が上乗せされたはっちゃけっぷりが、とても楽しかったです。
ですが、個別パートについては無味乾燥に過ぎます。
誤字脱字が多いものの、テキスト自体は読みやすかったので、
すんなりとラストまで読むことが出来ましたが、
シナリオに没入することなく、いつの間にか終わっていました。
もう少しヒロインたちとの仲を育むようなイベントがあると、
愛すべき各ヒロインや楽しかった世界との感動的な決別シーンも
映えたでしょうし、
もう少し主人公の心の成長がわかり易く見て取れると、
十花ルートの主人公の選択にも納得が出来たのかもしれません。
優希ってそんなに強くなってないですよね?
ゲーム終了後のあの世界は、早晩に破綻してしまいそうに思えてなりません。
優希が一時的に人身御供となっただけと受け止められるこの結末で、
本当に良かったのでしょうか。
多くの日本人にとって馴染みが浅い、
絶対神がいなければならない世界観というものは、
ライターの力量が足りなかったのか、
コストの問題で最初から省かれていたのかは不明ですが、
圧倒的に描写不足、説明不足の、
今作のようなコンパクトなシナリオには、無理があったように思えます。
ユーザーの共感を得るまでに至らず、
足を引っ張っているだけです。
安直でご都合主義ですが、
親である神からの人類の巣立ちをゴールとすると、
まだ、描写不足でも納得が出来ていたのかもしれません。
難しいところですが。
最後に、声の部分は突出していました。
素晴らしかった主題歌や、特に十花、一海の声優さんもそうですし、
スタッフロールには名前が出ていませんでしたが、
サブキャラやモブキャラにも、
海原エレナや五行なずならしきベテランが声をあてていたりと豪華です。
隠しベテラン声優は、ALcotゲーのお約束的な何かでしょうか?