立ち絵とキャラが良い
E-moteでぐりぐり動く立ち絵が想像以上に良かった。
最近では立ち絵が瞬きや口パクをしてくれるエロゲも多いし、
ウィッチズガーデンのように他にもE-moteを搭載したゲームもあるが、
それらと比べても立ち絵の動きの良さ、パターンの多さは突出しているように思う。
アニメーションでポーズや表情がコロコロ変わる躍動感と、そこから生まれる愛着はかなりのもので、
ヒロインズが部室に並んで喋ってるのを眺めてるだけでも楽しい。
暖色系のフワッとした淡い塗りもE-moteとの親和性が高く、作品の雰囲気にも合っていて良いと感じる。
ヒロインも全体的に可愛くてハズレなし。
大なり小なり変人ばかりで非常にアクが強いものの、他人を慮る気持ちや協調性はきちんと持ちあわせており、
変人キャラ特有の不快感がないため、強い個性も素直に受け入れられる。
三日月天満あたりは体験版プレイ時点で
「さすがにこの口調はねーよ、変な口調にすればキャラが立つと勘違いしてんな」と相当見くびっていたのだが、
本編を進めるにつれどんどん可愛く思えるようになり、大いに感情移入してしまった。
一周目で誰のルートに進むか、真剣に悩んでしまった作品は久しぶり。
主人公⇔ヒロインの掛け合いだけではなく、ヒロイン⇔ヒロインのやりとりが非常に多く、ヒロイン同士の仲がすごく良いのも好印象。
クールキャラの慧や電波キャラの天満がハブられたり影が薄くなったりすることもなく、
全員いてこそのひまわり部という雰囲気がしっかりと出ていて、こういう作風はとても好み。
個別ルートに入っても他ヒロインの影が薄れることがないのも良い。
ここまで評価点を挙げたが、逆に言えばE-moteによる立ち絵の可愛さと、キャラの良さを除けば凡作とも言える。
一枚絵のほうの動きも悪くはないが、構図が制限されるため立ち絵に比べると控えめな動きになってしまうし、
アニメーションさせる手間のせいか枚数もそれほど多くない。
また一部のCGで主人公がいわゆる目無しになっている点も気になる。
別に目無し主人公そのものを否定するつもりはなく、普通のエロゲーであればそれほど気にはしないが、
本作はE-moteでアニメーションを導入しているため、表情の変化するヒロインと目無しの主人公が並んだときの違和感がすごい。
一部のCGではちゃんと目鼻まで描き込まれているため、中途半端に目無し主人公を使わず、
E-moteとの相性を考慮して全部目ありで描いてほしかった。
シナリオも、共通ルートは面白かったが、個別ルートはやや盛り上がりに欠けた印象。
特に惜しく感じたのが告白シーンで、会話の流れでさらっと言ってしまったり、言い方が遠回しだったりと、どうも劇的さが足りない。
正面きって好きだ、と叫ぶようなベタで熱い場面があっても良かったように思う。
デートイベントの尺もそれほど長くなく、もう少しイチャラブを楽しませてほしかった。
この辺りの描写がSMEE作品並だったら+10点しても良かったのだが…
とはいえ、全体的な雰囲気は好きだし、E-mote自体は可愛くてプラスに作用していたので、
今後も同じ路線のE-moteゲーを作り続けてほしいと思える作品だった。