圧倒的なシナリオです
常に不安感や違和感がつきまとう、おそろしい、そして圧倒的なシナリオです。続きを読まなければ不安を克服できない、それが原動力になり、すさまじいテキストの力をもっています。
ループのシナリオなのですが、毎回、頭がおかしくなりそうな恐怖と戦うことになります。
たとえば、「壊れる」こと一つに着目してもそうです。「プールが壊れている」→「直った」→「元通り壊れた」→「そもそもプールなんてはじめからなかった」という具合に、こちらの思考をすべて反転させるような仕掛けが大量に、どこにでもバラまかれています。最初は希望という意味での「夢」と「現実」が一致すること不安を抱いていたはずが、いつの間にか「夢」と「現実」が一致しないことに不安を抱くようになるなど、とにかく、世界観に飲み込まれそうになるシナリオである。ループ自体で誰かが死ぬわけでもなければ、誰かが傷つくわけでもない。それにもかかわらず、すさまじいおそろしさを感じてしまうところに「パンドラの夢」のすごさがあると思う。
ラストもまた１週間のループを逆手に取ってくれるが、このシーンは、「愛」の一つの形として、完成されていると個人的に思っている。主人公には夢を終わらせること、いつだってできたはずですから。ホント、すごい。