神作品。エロゲをプレイして頭を良くしたい人は特におすすめ。
すば日々10周年記念BOXを手に入れて、終ノ空と終ノ空remakeをプレイして最後にすば日々をプレイしたけど、いやいやこの作品凄すぎるわ!
北高が登場して、高島ざくろが自殺して、間宮卓司が救世主になって集団自殺事件を起こすという大まかな設定は終ノ空からあまり変わっていけど、背景因子がまるで違うことが驚き!!
ところで、一連の事件に対する個人的な勝手な解釈を書いていこう。
終ノ空:何が何だか良く分からんけど登場人物が狂いだした。
終ノ空remake:群衆の中で皆が役割を演じて登場人物が狂いだした。
素晴らしき日々では、裏掲示板や薬物(麻薬)など登場人物の心理状態が崩壊する要因が具体的に書かれていることからシナリオが進化したんだなと実感した。乱交シーンも、そうかあいつらラリった状態でヤってるんかと納得のいくシーンとなった。
一連の3作品をプレイして一番感動したのは、希実香エンド2です。
だって、高島ざくろが自殺しなかったんですよ。
ざくろに対するいじめは陰湿なものになったなーっと。終ノ空では小沢に犯されてそれが契機で自殺したけど、すば日々では赤坂めぐと北見聡子という女同士のいじめでバックに城山などの不良男子がいるというより陰湿な設定となっており見てて辛かった。その分ざくろが虐められなくなって、希実香と仲良くなった様子を見て、本当に報われたと思って号泣した。どうあがいても死ぬ運命にある中で唯一自殺しないルートがあり、ざくろが報われて俺は嬉しい!
音無彩名ちゃんが「あなたは正しい選択をした」と言えるのも納得。世界は世界の外である神(=語りえない存在)が決めるのではなく、世界の現象は世界という器の中にある「中身」である事物が決定していくという考えを勝手に思い浮かべた。ウィトゲンシュタインと繋げるなら、文脈次第で言葉や発語内容に意味を持つということかな?「高島ざくろが自殺しない」という命題は、高島ざくろが自殺しないと物語が進まないことから、作品を構成する上で考慮すらされない。しかしだからといって、100%高島ざくろが自殺するとは言い切れない。というのは、文脈によって(実際には行動によって)ざくろは自殺しないという可能性もあり得るからだ。つまり、このルートは終ノ空・終ノ空remake・素晴らしき日々全てのストーリー展開に対するアンチテーゼである。私は、この矛盾するルートを敢えて同じ作品に含めることによって、弁証法により素晴らしき日々という作品をより高次元なものへ止揚する働きがあると考える。実際に、間宮卓司が「弁証法的螺旋階段」とか言ってたし、そこと繋がりがあるのではないかと勝手に感じた。
(余談だけど、築川宇佐美と瑞緒亜由美はなぜ2012年7月20日を知ってたんだろうか?亜由美は服装からキリスト教系か分からんけど宗教に絡む学校に在籍していることから、その宗教がらみで白蓮華教の教えをしったのだろうか?よう分からん。)
音無彩名に関する描写も様々だった。終ノ空remakeではクトゥルフ神話に準えた描写があったと思うが、素晴らしき日々では、ともすると「音無彩名の夢オチ」で物語が終わる描写もある。つまりよく分からん奴なのである。つまり音無彩名に関してはあれこれ語ったところで意味はないのである。つまり音無彩名という存在は、語りえないものに対しては沈黙しなければならないという、前期ウィトゲンシュタインの思想そのものなんだな、と思った。
読後に感動で放心状態になったエロゲーは久々だった。本当に面白かった!