期待をまるで裏切らない出来でした。
まず、何といっても雰囲気が尋常ではないほど良かったです。
公式サイトからして、見た瞬間、「おぉ~…」と思わず声に出てしまうほどでした。
メインテーマとなるのはやはり部活動、『ソアリング部』でしょう。
このソアリング部での活動を中心に物語は展開していき、その中で、特定のヒロインと結ばれる…、まさしく青春物語ですね。
内容は、良い具合に山あり谷ありで、ほどほどにハラハラしつつ、決して不快に思えるような展開にはならず、非常にバランスの良いシナリオだったと思います。
特に印象的だったのは小鳥ルート。
主人公との距離感、お互いの意識のしかた、それらに対する周囲の対応のしかたなど、これほど心温まるシナリオはそうそうないでしょう。
演出がまた見事としか言いようがありません。
シナリオ構成は、大きく二幕構成のようになっていて、「えぇ~、どうなっちゃうのこれ??」といった感じで第一幕が終了したと思いきや、「ここからが本番だ!!」と言わんばかりに第二幕が始まった時は驚きました。
グライダーの飛行シーンのアニメーションはもちろん、そして、そこにここぞとばかりに挿入歌が流れるなど、トリハダものの展開ばかりで良かったです。
絵も問題無く、とても綺麗で良かったと思います。
今作品において、唯一難点をあげるとするならば、システム面でしょうか。
選択肢スキップ機能がない上に、文章スキップの速度が非常に遅く、また、意外とルート分岐の判定がかなり厳しいので、周回プレイするのが非常に面倒でした。
それ以外は、基本的なものは揃っていて、問題無かったと思います。
その他に思うこととして、今作品は、ジャンル的にはもちろん「学園物」ですが、舞台がおなじみ(笑)の○等学校ではなく、○等専門学校というのは非常に珍しいですね。
参考程度に推奨攻略順をあげるならば、天音ルートのみ、第二幕の展開が他のルートとは大きく異なり、また、物語の核心に迫る部分もあるので、ぜひ最後に回すことをおすすめします。
男子学生である主人公が女子寮の寮母になったり、そもそも学生の部活動程度でグライダーを造って飛ばしたり、常識で考えて有り得ない設定はありますが(笑)、これほど完成度の高い作品はそうそうないでしょう。
近年、稀に見る良作だと思います。
FDも出されるようなので、そちらも大いに期待しています。
………絶対に佳奈子ルートは用意して下さいね(懇願)