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GENKImorimoriさんのPP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞の長文感想

ユーザー
GENKImorimori
ゲーム
PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞
ブランド
Innocent Grey
得点
77
参照数
169

一言コメント

【pov:埋もれている名作】 ゆめ or うつつ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

私はイノグレファンだったはずなのに何故かプレイしていなかった『PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞』、
ようやくプレイできました。(残すは『カルタグラHD』のみ)


・システム的なこと
16年前のゲームを24型フルhd 1920x1080のモニターでプレイすると流石にウィンドウが小さくて文字が読み辛く、かと言ってフルスクリーンでプレイすると粗すぎるので、
pcの画面解像度を少し落としてプレイするとウィンドウが丁度いいサイズになって都合が佳い
(ちなみにわたしはコントロールパネルで解像度を1440×900くらいまで落としてプレイしていた)


・ゲームの背景とか(引用)
昭和十一年 (1936)
"今年" 起こった二・二六事件
特高、憲兵が幅を効かせ、共産主義、自由主義が淘汰される
政党政治は終焉を迎え、軍閥主導で統制を謀っているような時代

つまらないことの積み重ね、つまらない——調和


・著書引用リスト
"去年"発行された、夢野久作の『ドグマ・マグラ』
その中の『精神科学応用の犯罪』というくだり
ディクスン・カー 《密室講義》

・当時の価値観
お金の価値、公務員の1ヵ月分の給料とか国産自動車とかの例えが的確で、現代換算でどのくらいなのかが解りやすかった!

男尊女卑、地方ではまだ女は男の付帯物といった考えがまかり通っている時代

円タク
いや円タクってなんやねん木タクの兄弟??って思ってたんですがどうやら、
『《「一円タクシー」の略》1円均一の料金で大都市を走ったタクシー。 大正13年(1924)大阪で始まり、同15年に東京に現れた。 料金が変わってからもタクシーの通称として残った。』
らしい、知らなかった……

・聖地
神楽坂周辺
(仮に聖地巡礼をしたとしても既に時代が流れてしまっているのはInnocent Greyのあるある。殻ノ少女しかり)
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1541814687989321728"

・タコ焼き
一発目の選択肢は例の親父、
おやじは、かなしそうなかおでこちらをみている!
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1541817341813460992"









以下わたしの感想ツイート抜粋

・挿入歌『all the way』
やばすぎる(300億点満点)
わたしがいままで体験したことのないようなオシャレさが小さいウィンドウから溢れ出て止まらない
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1541657699460743168"


・ルート分岐
ツイートのツリーを、ed分岐と重ねてツイートしまくりました(badは割愛)。
アイキャッチの会話は久遠と永遠のセリフだと思われる
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1541470310469230592"




一周目 【柚芭 エンド】
恐らくこれは、隠された謎は半分程度しか明らかになっていませんが、一周目のendとしてはとても平和で、私を満足させるものです。名前を付けるなら【柚芭 兄妹エンド】でしょうか。
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542878014911827970"
(【柚巴 バッドエンド】
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542878456119042048")


二周目 【千花 エンド】
上野から汽車に乗って逃亡生活へ
わたしも此処ではない何処かに移り住んで、現実のしがらみから逃れたいなぁ—
(ん?タコ焼きが、なんだって…?)
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542784027643457538"


三周目 【璃宝 エンド】
羽田から飛行機を乗り継いで海外へ
”『all the way』Trio Ver.”がエモすぎて、脳が勝手に上海行きの国際便を予約しようとしてた。
【柚芭 兄妹エンド】や【千花 エンド】では”『Distance』Piano Ver.”だったのに不意打ちはズルい…!クレジットが英に
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542839795847614464"


四周目 【久遠 エンド】
彼女からの赦し、優しさの表れ、死者には安息を
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542856546459103232"


五周目 【美華夏 エンド】
霜月さんの『Distance』、ed曲
もう夜も遅いのに泣きそうでした、ほんとうに危ない……
エンドロールはこれまでとは一転して白に
もうこれで終わりでいいんじゃない?(いや、綾音が待ってるらしい)
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542902063956254722"



久遠編【Conductor】
願わくば、あの人が居る世界の夢を、貴方が観られますように——
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1543122029187977216"


綾音編【Nel-Sogno】
DUDEEEEEEE, IS THIS ENDING A DREAM OR A REALITY HUH????????
夢か、現か……
それでも彼女は、あの世界で生きている。
【綾音 END】 、もとい【TRUE END】
ありがとうございました。





他雑記
・設定資料にて
私が【TRUE END】だと判定した綾音生存ルートを、ライターのますだ由希は「生存ルートも存在するものの、あくまでおまけの位置付け」と称していた。これは少し、なんというか… 『呆気ない』。

・aya Suekiさんの歌声
挿入歌『all the way』を聞くと、わたしは「天ノ少女」の『all the things you are』や『My back seat』を思い出してしまうので、あの作品がどれだけの集大成であったのかを理解することができました。

・俎橋のそばにあるカフェ
(https://twitter.com/alterr_alter/status/1542009527326736384)
もし “月世界” チックだったらどうしようかと思いましたが、こちらもお洒落なお店でした

・久遠ちゃんのボケ
「—御巫久遠は量子化(クオンタイズ)されている—」とか、
普段お堅い課長が飲みの席で突然発するめっちゃ奥が深いダジャレみたいで好き
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1543108173564821505"

・綾音の怪力
「綾音に叩かれたはずみでテーブルが数十センチ移動した。」
最初、これは「十数センチ」かと思ったら「数十センチ」でした。w
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542064184577236997"

・ヒロインの死
"https://twitter.com/alterr_alter/status/1542151632754216961"
朝、目を覚ますと彼女は既に死屍と為っており、登場人物全員を映してオープニングムービーへ、という流れ。
彼女が真っ赤になっていたシーンには驚愕しましたが(opにあった "Dream or a reality?"みたいな気分)、それから暫く経つと「やっと正体表したね…」的な嬉しさ、私の口はニヤけていました
また、ここ最近は "花々" に囲まれていたからか、ようやくこの血生臭い雰囲気に触れられるかと思うと楽しみと懐かしさをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたに感情が湧いてくる。
『pppppppp・・・』 ←これは?

・解決された謎
わたしは一周目が【柚芭 エンド】だったので、そこで解決されなかった五つの謎(https://twitter.com/alterr_alter/status/1542762110467198976)をリストアップしていたんですが、美華夏ルートのワンシーンでそれの説明がなされたのは衝撃的でした。
綾音の殺害方法は結局明かされませんでしたね。ルートによって葵の発言が違っていたので、それこそシュレディンガーの猫だったんでしょうか?
ちなみに、何をもってこの作品を「スタイリッシュミステリィ」としたのかが少し気になった

・サントラ
私の中で専らの話題となっているのはこれ、
『美華夏のテーマ』
この作品の中で、この曲だけはいい意味で浮いていて、彼女の正直な性格の裏に隠された奏介への想いとか嫉妬とかを知ったとしても、何処かそれらを超越したような "安らぎ" みたいな気持ちを与えてくれる曲。クリア後のextraで聴くことができるのも印象深い。
"Tonality" だけは買えよ

・双子の姉妹について
このゲームを語る上で「御巫久遠」というキャラクターと、その姉の「御巫永遠」という存在は欠かすことのできないファクターの一つだが、彼女たちの過去と主人公との関わりが全く無く(ただ利用された、演奏に惹かれた)、どちらかといえば「御巫久遠」がこの物語の主人公であったようにすら感じてしまった。綾音エンドが夢であるように、美華夏エンドが現実であるように
一体、誰が誰に操られていたんでしょうね…





ありがとうございました。
プレイできてとても佳かったです!