春から初夏へと向かう “芽吹き” 彼女たちと過ごす本当の幸せ
ジャンル: 心で感じる恋愛ノベル
英題は "The shapes and colors and sound of heart."
HULOTTE(ROI)さん、対戦ありがとうございました初顔合わせでした
作品HPとタイトル画面を見た時の感想は
『雰囲気最高~~、ピアノが沁みるんじゃ』『イリヤ…っ!!(違う)』です
🌸本編の感想
◇ テーマ: “イロとオト” “ココロのカタチ”
色がテーマの美少女ゲームは『花の野に咲くうたかたの』以来のプレイなので、視覚情報である “イロ” をヴィジュアル的にどのように表現するのかを個人的な注目ポイントにして読んでました
“オト” はもうタイトル画面のBGM『いつもの三人』で万々歳、最高の音楽をありがとうございますーって感じでした!!
(志季視点による “色づく” 演出: pic.twitter.com/Q8EdVGElDr)(こういう演出が最高すぎるんですよね…)
(作中に登場する感情の色は「Plutchikの感情の輪」がベースだったんでしょうか?)(ピンクは色欲?)
◇ オープニングムービー
https://www.youtube.com/watch?v=v21E-vCPg7o
映像美~~~~
泣きながら笑う彼女の顔が脳裏から離れません……(pic.twitter.com/g9HsmeDz7w)
っていうか音質が結構あれだったので、"エンジン設定.bat" で色々変えてみたんですけど何にも変わりませんでした。サントラとかcd買えってことなんでしょうか
(サントラが佳いので購入を前向きに検討しています)(続編が発売されて欲しい気持ちがかなりあるので)
◇ scene:壷ノ坂駅 “三人の放課後”
この駅前の看板――
『もしかして:navel ?』
"pic.twitter.com/OFEeacfW4C"
◇ 序盤の山場
夕暮れ時の放課後に、「なんで私の親友とえっちなことしてないのっ!?」って険悪な ”赤い” 雰囲気でキレられてるんですがこれは一体ナニ…?
それと暗めのbgm『疑心暗鬼』の使いどころ 、これは多用しすぎです
(主人公がえっちできなくて悶々としているシーンでこれを流すのは少し違う)(雰囲気的にはヒロイン死亡のお葬式レベルの曲)(選曲のセンス・ミドルプライスによる曲数の少なさ が指摘できますが、この謎の怒りがこの物語から感じ取れる、後述の『どことないTL(ティーンズラブ) 感』を引き立ててしまっていたようにも思える)
◇ どことないTL(ティーンズラブ)っぽさ
主人公である志季が、彼女の口から「おちんちん」というワードが出てくることを躊躇してしまうくらいのピュアっぷりであること。えちちシーンにおいて、彼らによる「初めてのひと擦り」や「止めどなくあふれてしまう愛」の描写がとっっても濃厚であったこと。
二人が肉体関係を持つまでの葛藤 (例: pic.twitter.com/rHL88yWB3F) が読んでいて飽き飽きしてしまうくらい丁寧に描かれていたことなどから、美少女ゲーム業界ではあまり見られない『女性向けTLの波動』みたいな印象を抱いてしまった。また私が感じてしまった “中だるみ” は恐らくこの部分で、親友たちが性行為しないことに怒りすら覚える役を担わされてしまった和彩さんが少し不憫に思えてしまいました。
◇ 志季によるイロとオトと “ココロ”
日常の中で、登場人物たちの表情のちょっとした変化や所作に言及されている記述が多いこと。
また、星名さんからは見えないはずの『イロとオト』(pic.twitter.com/8zKizLjIbI) が、人間の視覚・聴覚からの情報として “ココロ” に知覚されていたシーンはとっても印象的でした。
◇ scene: 思い出
出会いのシーンで登場人物の表記がカタカナになっていること、とても細かいですね
(ツキモリが彼女達の名字の漢字表記を覚えていない、感覚を閉ざしていた証拠)
"pic.twitter.com/JFDHsh5oUl"
恐怖から興味が生まれる瞬間でした
◇ scene: テーマパーク
聖地:千葉県浦安市 周辺(?)(地元民という表記がありましたね)
"pic.twitter.com/bZqDRKyMss"
↑ 中央に大きな道(パレードの通路)を配置することにより、立ち絵を中心に据えて “動き” に注目させ、なおかつキャラクターの立ち位置に奥行きを持たせる効果があった?
エレクトリカルパレードは『あふれ出しそうなイロの奔流・零れ落ちそうなオトの行進』
◇ 私服 その1
私服かわいい~~
晴音のヘアバンドのアクセントがお嬢様っぽさあってすこ~
BLUE SKYシャツすこれ
◇ 水着シーンの前のトラブル
“チャラ男” といったような安いマイナス要因が作品内で大きな役割を持たず、ちょっとした緊張がアクセントになってチャラ男が実はいい人であることが明かされたり、なおかつ嫉妬イベントまで持ってきてくれたことは大いに評価できます。
(これは純愛物語に定評のあるhooksoftでも同様で、『誰かの明確な悪意を物語の構成要素にしないこと』が徹底されていることは私を安心させます)
◇ 和彩の想い
総評にて記述します
◇ 祭りのあと
ㅤ 『どうして、僕が好きなのか?』
ㅤ 『どうして、僕とお付き合いをしてくれているのか……?』
ㅤㅤ- 唯一見ることのできない彼女のココロ
(これは私が最初に抱いた最大の疑問であり、晴音と志季が正式に付き合い始める告白シーンの回想がなされなかったこととてっきり関連付けられるのかと思いましたが、答えは『ココロが見えるという 共通の悩み』というきっかけでした)
(彼らが愛を確かめあう告白のシーンで、一体何を伝え合ったのかが余計に気になってしまいますね)
◇ 私服 その2
二人ともかわいいー!!
(衣装デザインのセンスの優劣を問われると、お淑やかな雰囲気やメインヒロインなこともあってか晴音の方が少しだけ可愛いです)(浴衣を除く)
◇ 情景描写: 滝のような雨
和彩の好意に気づいた志季、ここから終盤です。
"pic.twitter.com/we2f3Df2Bn"
◇ 和彩の涙
このシーン、彼女からの二度目の「知ってたよ」が ”青色” を宿していたことを私は見逃しませんでした
"pic.twitter.com/30KmegHGPq"
志季に断られることが分かっている愛の告白
◇ 出会い
志季が『救われた』、多分初めての言葉
ㅤ“身体冷たい人は、心が温かいんだよ”
◇ EP『ツキモリ弁当店』
ㅤㅤ未来へ――
ㅤㅤㅤ手を、繋いで――
🧡総評
◇ ぷにぷに、ぷにぷに――(むにむに、にぎにぎ)
序盤から行われてきたこの身体的接触がまさかの彼らの不思議な力、相手の『ココロを見る』という行為の伏線でした…
ここで仮に、志季と晴音が持つ能力を「視覚や聴覚などの知覚異常」と精神医学的に捉えて少しだけ推察してみると、「精神障害」だったり「自閉症」だったりが浮かぶんですが(色や音に敏感 → 心を閉ざした過去)、相手の心が読めるっていうのが「幻聴」だとすると物語の見方が180度変わるのヤバいですね…
何故、二人がそういった特殊な能力を持っているのか、には触れないお約束のようです。
◇『興奮と欲望よりも、優しさ温もり安心感』
これこそが、この物語の序盤が “至高の純愛ゲー” であると私に断言させた所以であり、『繋がるココロと身体』という完璧なオチまで用意されていたんですが、最後の最後まで告白シーンは描かれませんでしたね。
主人公からの(への?)告白シーンに加え、友情から恋愛へとシフトしていく過程(仲良くなってから告白まで)の描写も一切ありませんでしたが、日ごろの彼らの様子を見ていると何となくそれらが想像できるの好きすぎる……
◇ BGM『いつもの三人』
このタイトルbgmが流れるたびに私のココロがchill ontして、アメーバみたいにべちゃべちゃになっちゃう感覚になるのがまじで好きでした。
私が酔っていたせいかもしれませんが、何とでもないシーンなのにこの曲がかかると少し泣きそうになってしまっていたので、クリア後に真っ先に曲名をチェックしたら『いつもの三人』とかいう日常シーンにピッタリの曲名だったのでひっくり返っちゃいました…
(イントロがとても佳い)
(私は安瀬聖の “オト” を覚えました)
(しかもこのシーン: pic.twitter.com/q3g2QRcjPi で、晴音が鼻歌でこの曲を歌っていたのでリアルに声出ましたほんとうに好きですありがとうございました)
◇ 彼女、空木和彩が抱え込んでいるもの
作品後半から描かれる三角関係の描写、これはとても辛くて寂しいものでした。
どうやら私には彼女の想いは重すぎたようです。
序盤は、和彩&あたし「あーあ。またあたしはこうしてイチャラブを見せつけられるわけね。やれやれですよー」といった風に二人にとっての大切な親友ポジションで物語が進行していくのだろうと軽く考えてしまっていたのですが、彼女は “ずっと前から” 志季のことが好きで、「人の気も知らないで」と自分の感情を隠し続けながら二人のことを陰から見守り、最終的には「晴音はココロが見えるという事実を伝えられなかった」という自責の念を抱えながら愛を伝えるものの、冷たい大雨の中、一人帰路に就く和彩……
志季の傘が意味をなさなくなるほどの強風の中、彼女は帰り道に傘を差せたんでしょうか?
また浴槽での性行為の最中、彼らは少しでも和彩のことを考えたでしょうか…?
夜の海岸で、岩陰から二人の情事を覗き見る彼女の気持ちは???
さらに私に追い打ちをかけたのは、夜のビーチのキスシーン
"pic.twitter.com/JzgtPFyLHu"
↑ ここの感情表現の演出は、とても残酷です……
(透けて見えるようなココロが見える演出: pic.twitter.com/dGuAAYhZDe ではなく、ここだけのために靄がかかったような特殊効果を用意したのは一体何故?)
(作中の表記: ココロから伝わるイロとオトが一瞬ぐちゃぐちゃになって見えなく、聞こえなくなる。なんでも開けっぴろげな彼女には珍しい、一瞬の現象)
空木和彩の扱い、ここさえもう少し丁寧に描いてくれさえいれば、この作品は間違いなく私にとって「魂の作品」になっていたと感じています。
私がこのゲームプレイ時に作った命題『恋のキューピットである少女は、恋をするか?』のように、”sub heroine” の位置づけである彼女の秘められた想いがこの作品で成就することはありませんでしたが、作品HPにあるシナリオライター百憂なりたによるスタッフ日記(http://hulotte.jp/product/kokoro/diary/diary-20201002.html) にて「サブキャラクターなのでルートやエッチシーンはありませんが、何かしらの形でメインヒロインにしてあげたいですね……」という文章に強い期待を寄せています。
💚他システム的なこと
◇ 環境周りについて
設定で特徴的なのは、サウンド設定の『お風呂エコーボイスを再生する』でしょうか。
それと、「ロゴと日時あり(変更可)のスクリーンショットが撮れること」など、CONFIGでの自由度が高いのはありがたいことです……
また少し奇妙なこととして、 左下の🔉アイコンが音声が再生されると点滅することと、バックログを見ようとすると現在開いているシーンのテキストと重なってしまうことがありました。
クリア後のCG MODEの閲覧方法(プレビュー)はオシャレでした。
(ってかこのゲームの達成率って100%以外に出せるんですかこれ?)
◇ 立ち絵と “かけがえのない存在” について
この晴音の立ち絵(pic.twitter.com/1l3MOo3L1d) が、メッセージウィンドウの文字と重なってしまっていたため、もう少し顔が中心寄りでもよかったのでは?とプレイしていて思ってしまった。
それと、決して全裸立ち絵にモザイクを使わなかったことと、バイト衣装が裸エプロンにしか見えないこと。これには私も「流石、わかってますね…」とずっとウンウン頷いてました。
……また、髪型変化がメイン5種類 サブ3種類と大盤振る舞いでなおかつ、服装が 6 種 類 も用意されていることからは、 スタッフの初夏の熱すぎるこだわりと意気込みを感じました。ミドルプライスとは思えません……
(この点が “HULOTTE” ではなく、“HULUTTE RIOだからこそ 成しえた事” に含まれるのだと感じました。)
(複数ヒロインによる利点としてプレイヤーの好みや守備範囲を広くカバーできるということがありますが、ヒロイン一人に割かれるもの(髪型・服装・シナリオ・CG)が全ヒロイン並列で代り映えしないという点も指摘することができます。一方、このゲームでは ”唯一無二のパートナー” として「”星名晴音” と二人の物語」が展開され、いつの間にか私たちの中で当たり前になってしまっていた『ルート分岐・好感度のための選択肢』なんていう『よく解らないゲームみたいなシステム』を一切設けず、「セーブやロードが存在しない一度きりの人生で、彼女のことをココロから愛する」というストーリー展開になっていたことは他の作品とは区別され、また心から大いに評価できる点です)
ありがとうございました~~
スピンオフ、お待ちしております…!!