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GENKImorimoriさんの月の彼方で逢いましょうの長文感想

ユーザー
GENKImorimori
ゲーム
月の彼方で逢いましょう
ブランド
tone work's
得点
87
参照数
500

一言コメント

『月の裏側』, 灯華についてもう少し話す必要がある…

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・プレイ事前情報
ある二人の作曲家の名前を見てこのゲーム買いました
さりげva系統、初挑戦です



◆共通√
“うぐいす先輩好き好きビーム”
わたしもこいつを処女膜から月へ放って、太陽に負けないくらいの光源に――なりたい 。


スクール編 後半パートにおいて、このゲームが私を惹きつけていた要素は…
1.opの“過去と未来を繋げたら” とかいう意味深キャッチコピー
2.今後何かしらが物語にかかわってくるであろうエンデュミオンとかいうスマホと故スティーブ・ジョブズ(rain-chan√?)
3.灯華の突拍子もない性格、「あーっ!」←好き
4.二段構え(?) のシナリオ

※スクール編 共通ルートプレイ時間:4時間30分程度









唐突な別れ
↓8 years later↓

◆霧子√
仕事先の部署違いな敏腕上司(仕事が恋人 婚期を逃している)
妥協のない仕事への姿勢と常に客観視を心がけるという信念を持つ
「そろそろ結婚を…」と母に言われ半年の間は婚活すると約束し、婚活パーティーで奏汰と偶然出逢ってしまう
霧子サイドからは両親へのごまかし、奏汰サイドからは特集記事である『ガチ婚活』へのネタ提供と編集のアドバイスという利害の一致から、二人は偽の恋人という関係へ
その後、趣味(読書)が同じであることや取材という形でのデート、仕事のトラブルを一緒に解決することでだんだんと距離が縮まっていき、クリスマスの夜に奏汰を受け入れた霧子だったが……
自分の理想の男性像に“最低限” という妥協をしてしまったこと 、奏汰がただ惑わされているだけのではないかという心配 、人事異動、年齢の差、将来、子どものこと、世間体…
様々な障壁が二人を引き離してしまうが――

というお話。


一周目終了時の感想としては、「本来の“月の彼方” 要素(未来メールやスクール編での伏線っぽいもの)を全部置いてけぼりにして松宮霧子の胸の中に飛び込んでしまったが……いまさら後悔はない。」という二言でしょうか。
霧ちゃん√クリア後に、タイトル画面の「アフター編」でサブヒロイン三つ巴にカーソルを当てると、“ルートフラグを立てない状態でアフター編に進みます” という辛辣な解説を受けてしまったので、「あっ、スクール編で報われなかったのかぁ」と少し残念な気持ちにはなりましたが、
社会的な立場もあって責任感のある性格なのに、時折奏汰だけに見せてくれる彼女の照れた顔と笑った顔がわたしのシナプスに深く刻まれたので、8年間という月日がそれらを洗い流してくれたのかなぁとはプレイしつつ感じていた。
シナリオはいわゆる「建前で付き合っていた二人だったが、本当に恋心が芽生えて――」的なしっとりじわじわと互いを認め合って歩み寄っていくような展開でした。最後のサプライズにはみんなにっこりでしたね。
ビリヤードのゲームの性質と、その駆け引きのシーンはどんなことが暗示されていたのかって考えるのもこれまた面白いポイントだったな…?(いやなんも暗示してなくね?)
少し残念だったことといえば、上記で語ったような「彼女がサブヒロインの一人であったこと」と、もう一つが正式な恋人になったのが物語のラストシーンだったために「恋人としてのイチャラブシーンがほぼなかったこと」でしょうか。わたし的には新婚デレデレ霧子ちゃんとか、職場で平然を装おうとしてもやっぱり客観視できない霧子ちゃんとか、偽恋人という建前の堤防が決壊してめちゃくちゃ甘えてくる霧子ちゃんとかも見たかったんですが、結婚式で幸せいっぱいな彼女を見られたことは救いでした。
クリスマスのスチルが一番好き

※霧子√プレイ時間:6時間程度(アフター編共通を含む)








◆栞菜√
恋愛経験が全くない少女漫画家
(彼女が描いた漫画の第一作はアニメ化し大ヒットしているが、二作目・三作目は単行本を数冊発刊するに留まっている)
欠員の補充として少女漫画の編集部へ異動となり、栞菜の編集担当となる
彼女は絵が巧く とっつきやすい漫画を描くが、どこか退屈で恋愛描写にリアリティがないと感じた奏汰は、打ち合わせでネームの改善点を指摘して彼女に向き合い、現在連載中の漫画『王子さまにはトゲがある』をアンケートで一位にすると約束する
漫画に現実感を持たせるためにデートスポットを取材として回ったり資料集めとして部屋に赴いたりすることで、やがて二人の間に“作家と編集者を超えた感情” が芽生えていく(しかし、編集長から必要以上の肩入れはしないようにと釘を刺されてしまう)
読者のことをもっと知るためにサイン会を初開催するなど、SNSや読者アンケートで順調にいい反応を得ていくと思われたが…
物語の「らしくない」方向転換や、栞菜と奏汰の「描きたいものと、描いてもらいたいもの」に隔たりが生まれてしまい、『王トゲ』の連載を終了するとともに漫画家を引退すると申し出る。
その後、彼女のことが諦めきれない奏汰は、webコミック『フラワーモードオンライン』という企画をひっさげて彼女の実家—函館にある旅館へとアポなしで飛び込むが――

というお話。


二周目クリアの感想として個人的に佳かった点を挙げると、奏汰との恋愛体験が作品に反映されていて(当社比300倍で)、それと同時に踏み込んではいけない境界線を意識しながらも二人は恋に落ちていくという過程、「pov: 辻褄が合っている」な前半パートがとても印象的でした。また、そこからのやや急降下な別れの展開、もうこれ詰みやん……と思われたものの、奏汰の社畜ぱわーによって百万ドルの夜景より美しい彼女を連れ戻すシーンには思わず舌鼓を打っちゃいました。わたしも北海道に帰りたいです。
このルートで誰かにmvpを与えるとするならばそれは、不幸ながらも二人が出逢うトリガーであり「物語の終わりを超えた先」を示したゲームチェンジャーでもあるベテラン編集者の“平山さん” だろう……感謝~
「恋愛経験が作品に反映」という点を振り返ってみると、蓮と冬愛のシーンを二人が演じて栞菜がその声を当ててたシーンが好きすぎたな…(敬語が外れているのと、憧れのシチュエーションをそのまま作品に落とし込む少女の気持ち、みたいな可愛さ…!)
わたしもこれまで触れてこなかっただけで、実は少女漫画が好きだったのかもしれない
ゼロ距離でふたりが好きだった漫画を一緒に読むスチルが一番好き。
あともしかして、paizuriは全ルートに存在するんですかね、たぎる!
またシステムの観点で霧子√と差別化がなされていた点として、序盤の方にある選択肢が挙げられる。「彼女の秘められた思いに気づいて漫画の改善点を指摘させる」という趣旨のものだったが、badendになるのが選択肢からかなり時間が経った後なのでこれの存在に少し疑問を抱いた。

※栞菜√プレイ時間:4時間50分程度(アフター編共通を含まない)









◆雨音√
月に祝福された天才少女

三周目クリアの感想
先ず、このルートで関連付けられた事柄は「pov:推奨攻略順があるゲーム」でしょうか。霧子√でも言及した「メインヒロイン以外を選ぶと、“月の彼方” 要素が回収されないまま8年間の空白が生まれる」という点が如実に感じられてしまう結果となった。公式ホームページで”運命の選択(Seleciton of destiny)” と題しているのにもかかわらず、スクール編で描かれるメインヒロインたちとの交流や幾度となく登場するスマートフォンの最新機種の話題が、8年後-AFTER PART-という画面変化のみによって消し飛ばされてしまうのは、話の急展開に置いてけぼりにされたような気がして少し唖然としてしまった。(そう感じてしまうくらいスクール編に入り込めていた・裏を返せばこちら側が選択肢をよく考えて選ばなくてはならない・一周目はメイン固定でもよかったのではないか?・過去との決別として未来スマホは悪戯でした〜という描写があるがどうにも筋が通ってなくない?)
一方雨音との物語では、彼女の両親が旅立っていってしまった場所—“月虹の向こう岸(つきのかなた)” や、父親が開発したスマートフォンによる過去と未来の交信とそのメカニズム、それに加えてスクール編での充実したヒロインとの日々(作品内で云う“フラグが立った状態” )が、サブヒロインたちの倍以上の文章量を用いて表現されており、作品のメッセージである「月の彼方」というタイトル回収もなされていた。←「pov:タイトルの良いゲーム」
このルートで強いて物申したい点を挙げるとすれば、チョーカーと猫耳パーカーがかっこよすぎたのと、『でんじゃらすきゅーとはっかーレインちゃん』の使いどころ(Message of the Moonのプレゼン時)と、ポールグレイの子だくさん設定、EF内のシーン全てをSD二枚で乗り切ったこと、感動シーン後の唐突な結婚前夜―子作り、の五つです。

・スクール編
家に冷凍ベーグルはあるんだけどルードビアがない、飲んでみたい…!て食事シーン見るたびに思ってたのでa&wのやつを三茶のKALDIで買いました。偏食引きこもり系ゲーマーヒロインすこれ……(奏汰くん、彼女の家に入り浸る前は片付けとか生活習慣と中二病の改善とかやろうとしてたのに夏休み期間はゲーム三昧だったのおもしろすぎる)
一番好きだったシーンは“浜辺での永遠の運命によって血の盟約を結ぶシーン” !!……もあの二人っぽい思春期万歳な告白で最高だったんですが――
一位はやっぱり““縁側の花火のシーン”” でした。
(https://twitter.com/alterr_alter/status/1529013828469395456)
愛の告白……ではなく、二人が血の盟約を交わす前に雨音が抱いていた感情―“好き” という奏汰への想いは、作中で「恋に落ちていく時系列的な変化」という形で描かれている(友達として好き→恋人として好き)。そしてこのシーンで重要となるのが、彼女自身がこの感情に戸惑い、奏汰のことをどう思っているのかを意識し始めるきっかけになっているという点だろう。母親の死と慣れない生活環境によって辛い幼少期を過ごした彼女は、友達やクラスメイトたちと一緒になって遊ぶという経験を全く知らずに成長し、(最初は“正直迷惑だった” とアフター編で述べられているように)奏汰との関係もどこか一歩踏み出せずにいた。その中で、亡き母親との約束である学校生活での出会いやアルバイトの経験、一緒になって遊んだオンラインゲームにおいて、互いのことを知り、想い合い、恋愛感情を意識し始める(以前までは気軽に伝えることができていた“カナタのことが好き“ という言葉を言い淀んでしまう)ターニングポイントになっている。
縁側から覗く二人だけの夏の花火は、まるで夜に咲く虹のように綺麗で、恋する少女の浴衣姿には目を奪われてしまいました。
しかし、別れは突然に……

・アフター編
このパートは、社会人になった二人が『エンデュミオン』の隠された機能を明らかにし、父の本当の願いと母の想いに応えて、未来を共に歩んでいくという展開。それと並行して、サプライズのプロポーズから両親への挨拶、式場 婚約指輪 ウエディングドレス選び、結婚式での花嫁の手紙まで描かれている。
特筆すべきは終盤、結婚前夜の「満月の夜にメールを送っていたif」、ここの表現はほんとうにズルい……
彼女がメールによって過去を変えて、ママとパパと幸せにサンフランシスコで暮らしている様子をまるで現実かのように書くもんだから、幸せと残酷の間に板挟みになってわたしの脳が葛藤の海で溺死しそうになってしまった。
それとD-WAVE完全停止間際の両親との再会のシーン!
700000000億満点!!!!!!!!!!!!!!(理性崩壊)
大人になった雨音、史上最高のタイミングで音を紡ぎ始める『月の彼方で逢いましょう Piano Ver.』
悲しすぎる自己犠牲、娘の幸せを切に願う親の気持ち――
ここがこの物語の最大の泣きポであることは間違いないのだけれど、VAに対する謎の対抗心でなんとか耐えました。
それと、ED「After Rain」がやばすぎた。この曲の歌詞がまんま結婚式で読む手紙だってのは分かるんですが、何より彼女が月に祝福されていたことが手紙の感謝の言葉から伝わってきたんだよな……
「…また逢い~ましょう~♪」(SweetSummerRainbow)
はにゃまとめ↓↓
https://twitter.com/alterr_alter/status/1528967173695164416

※雨音√プレイ時間:8時間程度









◆灯華√
遺恨に満ちた過去へ、復讐を果たそうとする少女

・過去との同時並行で物語が展開されるため、“アフター編” が個人ルートの大半を占める
・パラレルワールドでも歴史の強制力でもなく、二つの世界は間違いなく繋がっている(by 奏汰) ←宇宙原意識による
・メールの送信によって変化が生じた事象はスーパームーンの日に統合され、スクール編の奏汰(以下 先-奏汰)のみが二種類の記憶を認識する


過去と未来の時系列まとめ
・先-奏汰
ㅤ夏休みの始まりにうぐいすと江ノ島で恋の鐘を鳴らす
ㅤ京都からの帰りの新幹線 未来へのメールを灯華が送る(?)
ㅤ2月22日 彼女の家へ サプライズ誕生日ケーキ
ㅤ転校すると聞かされ江ノ島水族館に誘い、夕方 届かない告白の声 別れ
ㅤㅤ——8年後の月日が流れる
ㅤ 過去からのメール 図書室でエンデュミオンを見つけ、過去の自分(以下 後-奏汰)と繋がる
ㅤスーパームーンの夜 『猫の扉』に落書きが現われ、記憶の統合がなされる(奏汰のみが違和感を覚えている)
ㅤ『電波塔の少女』の原作を担当することに
ㅤ焦っている 後-奏汰から灯華からの別れの手紙を受け取り、スマホのビデオフォルダから告白の動画を見つける
ㅤ三崎(内縁の妻)の喫茶店を訪ね、当時の情報(増岡の滞在先)を聞き出す
ㅤ三崎から「ある女性がホテルに尋ねてきて、増岡を殺すことなく姿を消したこと」、「その女性が増岡の身内だったこと」を聞く
ㅤ『電波塔の少女』の実写ドラマ化が決定
ㅤ同窓会でモールス信号を見つけ、電波塔のヘリポートで灯華と再会

・後-奏汰
ㅤ 未来の自分からメールを受け取る 夏休みの部活に遅刻しそうになりスピード違反で捕まることを知る
ㅤ夏休みの“終わり” にうぐいすと江ノ島で恋の鐘を鳴らす
ㅤ 先-奏汰からちょっとした実験の依頼を受ける (本の落書き)
ㅤ京都のラブホテルで灯華が未来メールのチラシを見る描写
ㅤ転校すると聞かされ江ノ島水族館に誘い、 夜 告白
ㅤその後、彼女の家で増岡への復讐の話を聞く
ㅤ7月7日に別れの置き手紙を発見するが、 先-奏汰からの情報をもとに灯華と再会
ㅤ増岡を拉致 灯華が腹部を撃たれる
ㅤ瀕死の灯華を抱え、ヘリポートへ


以下四周目感想
正直な感想を言うとDucaさんのedで締まったように思えて内容の理解が全くもって追い付いていない、という状況に陥ってます。少し整理します…しました (上記に時系列を)
灯華√における“月の彼方” 要素は、「メールによる過去改変」が主な役割を果たしましたね。この物語の始めに、彼女がプラスティックの銃を自分のこめかみに当てながら「お月様の彼方にいっちゃったら…追いかけてきてくれる?」と呟くシーンは、夕暮れ時の浜辺での告白シーンの回想として回収されました(3Dプリンター)。七夕の日に一度は離れ離れになってしまったものの、月の彼方—宇宙原意識から中継役として過去と未来を繋げ、結果として奏汰がかぐや姫を救うという展開。とても幻想的で、“時空を超えた愛” みたいでよかった。
また、スクール編で体調を崩して看護されている灯華が、奏汰の優しさによって笑顔を取り戻すシーンには心を打たれました。ああいう自然な笑みというか、落ち着いた声のトーンというか…、普段一人で動き回るようなアグレッシブな性格してる癖に、ふと不安になるとこちらの庇護欲が駆り立てられる感じが狂いそうになるくらい好きです、ほんとに、猫みたいで。
スクール編→アフター編が一方通行だった雨音√と比べると、灯華√は何度も過去と未来を行ったり来たりしていたので、良い言い方をすると続きが気になってしょうがない、悪い言い方をすると何度も時空が飛んで内容が頭に入って来ないという構成だった。
不満な点を幾つか挙げるとするなら、「スーパームーン時の統合について疑問が残る(後述)」、「彼女との性行為は、復讐への寂しさと不安を埋めるためのものであったようにほんの少しでも感じてしまう」、「岬栞菜を面白れェ女として認知し一緒に漫画を描き続けることを仕事上の関係であるとして、ある種ジャンプ台のように扱っている(これもこちら側の攻略順による弊害)」ことの三つでしょうか。


自問自答―自己解決のコーナー
ㅤQ1. パラレルワールドのようにこの過去と未来という二つの時間軸は、ある一点(現在)の前後に存在するのではなく、この作品には“8年前の過去” と“現在(社会人)” の二つしか存在しないの?
ㅤA. 目を瞑ると世界が幻になるように、二つの世界は宇宙原意識が基になっているので未来と過去という概念すらも存在しない、あるのは人間が無意識・普遍的に共有できる「何か」だけ

ㅤQ2. ラストシーンで再会した灯華の腹部には銃創痕があるの?
ㅤA. 全ての事象はスーパームーン時に過去の奏汰へ回帰するため傷跡が出現し、記憶の書き換えがおこなわれる

ㅤQ3. 今後スーパームーンが来てしまった場合、過去の自分から着想を得た『電波塔の少女』は消えてしまうの?
ㅤA. 雨音がD-WAVEを停止させたことにより2つの繋がりはなくなっているため、午前0時から過去の奏汰が切り離されるので消えることはない
ㅤㅤ消えることはないが…… 既に過去と未来の2つが統合されてしまっているため、後-奏汰が栞菜とこの作品を作るのか(記憶の改変はあっても消えることはあるのか)は不明

ㅤQ4. “0707” って一体何のことを指していたの?
ㅤ謎. 作中では「京都で置き手紙を書いた日付=ビデオボックスのパスワード」と説明がなされるが…
ㅤㅤ① 先-奏汰が過去からのメール以外でこのパスワードを知る方法が明かされていないこと(それなのに何故灯華は背景が見えない告白の動画を残したのか)
ㅤㅤ② 灯華が後-奏汰に対して0707という不自然な日付の書き方を残したこと
ㅤㅤ↑ この二つが依然疑問として残る
ㅤㅤ後者は「…これでお別れ、0707がビデオボックスのパスワードだよー」という解釈ができるが、その場合動画の内容はどうなっていたのか、奏汰の手に彼女のエンデュミオンがどのように渡るのかというのも要考察である。
ㅤㅤまた、7月7日が日紫喜うぐいすの誕生日であり、展望灯台に昇って懐中電灯を光らせた日と一致するという回想にも違和感を覚える。偶然なのかそれとも何か意味があるのか…?


Ducaさんの『Sign』,
プレイ当時、わたしの脳の97%が展開への理解に使用されていたので正直なんとも思ってなかったんですが、
改めて聴くとアカペラのイントロがやばすぎるし、
歌詞がまんま'灯'華なのもやばいし(ライターに作詞させるとか天才なのか…?)、
いわゆる『二段構えのサビ』が自然と私の眉間に皺を寄せて目を軽く閉じさせるし、
aメロから奏汰のセリフでcから灯華の心の内がまさかのここで明かされるのもやばいし、
彼女の良くも悪くもHuskyな声がコーラスと転調で抑圧されてるのがポイント高すぎる

Sign
『月の彼方で逢いましょう Vocal Collection』より
artist: Duca
作曲 : どんまる
作詞 : 丘野塔也

ㅤ変わらない一日に
ㅤ窮屈な夜空を見上げ
ㅤ振り返っても何もなく
ㅤ僕だけが止まって
ㅤ少しずつ季節が巡って

ㅤふと足跡を求め
ㅤ戻るはずのない日々抱いて
ㅤ答えを待ち続けている
ㅤ世界に一人でも
ㅤそんなやつがいてもいいだろ
ㅤ時を止めて

ㅤそれは夏の日 窓を見上げ
ㅤ忘れ物を探していた
ㅤ空は悲しい群青で
ㅤ夕日だけが 名残を残していた
ㅤもしあの月の向こうにいるなら
ㅤ待っていなくても 会い?に行くよ
ㅤ悪戯な顔 いつだって突然で
ㅤ僕からそうしたって いいだろ?

ㅤ君の面影はいま 僕の胸にあり
ㅤこの世界から忘れ去られ
ㅤ古びた本の栞 止まった時間
ㅤもう一度動き出したなら
ㅤ長い旅 繰り返す
ㅤどんな運命が待っていても
ㅤ信じているから

ㅤこの世界にはもうキミはいなくて
ㅤだけどどこへでも 繋がってる
ㅤすこし寂しい でもね大丈夫だよ
ㅤ塔の上 水平線眺めてる
ㅤ素直になれない気持ち
ㅤ今ならキミに伝えられるよ

ㅤキミは私の胸に 火を灯したんだ
ㅤそれはとても小さな光
ㅤこの世界に生まれた その意味さえも
ㅤ全てが分かるよ そう気付いた
ㅤずっと追い求めてた 巡り逢ったわけ
ㅤそれはきっと偶然じゃなく
ㅤだからキミに 届けたいんだよ
ㅤ些細な灯りでも
ㅤ旅の果て 祝福を
ㅤ受け取ってくれるはずだよ
ㅤ信じてるから キミのこと

ㅤ少しずつ時が過ぎ
ㅤ街並みが変わってそれは
ㅤきっと壮大な奇跡で だから涙溢れ
ㅤ止まらないとしても離さない
ㅤ君のこと


一人称と二人称、語り手の変化、名詞の暗喩(古びた本の栞)とか、その他諸々から“時空を超えた愛、信じる心”みたいなものをぜひぜひ感じ取って欲しいので、
ほんとに自分勝手ながら、誠に身勝手ながら歌詞を…


他cg雑記
灯華の下着の柄に、製作者の誰かの性癖を感じた。もっと他になかったの?
夜の海のブルーシート敷き全裸寝バックエロすぎた…、雨音の授乳手コキと天下分け目の脳内合戦が勃発しましたが、軍配はオトナバブみ雨音に上がりました。
ヘリポートのラストシーンに対して後半のcgほぼ集約させる大盤振る舞いが激アツすぎた、画面いっぱいの月を背景に抱き合ってるcgが一番好きです。
ただの推測:ラストシーンに 後-奏汰がヘリポートからスマホを落としてしまうシーンがありますが、前-奏汰が社会人になってから図書室で見つけたスマホも画面が割れていましたよね。何か繋がりがあるんでしょうか
edのラストカットのスマートフォンが輝いているシーンはけっこう意味深で謎が残ってる感じが漂ってますね(初期のキービジュらしい)、制服を着てしかも電波塔の上で一人月を見上げているシーンですから、これは中継役としての彼女の想いを表わしているのかそれとも――

……というかこれを書いてて思ったのが、
中継役は宇宙原意識にいないと
つまり、肉体を持たない状態じゃないとダメなんじゃなかったでしたっけ…………???????(クソでかため息)

※灯華√プレイ時間:5時間程度









◆きらり√
面食い秀才作家

奏汰
「はぁ、あ、あぁっ…」

きらり
「噓でしょう?もう出しちゃったの?」

奏汰
「すいません…あぁ…」
(俺の全身に射精の余韻が広がっていく。)(女性の中って、こんなに気持ちいいものだったんだ。)

きらり
「もう、こんなにすぐ出すなんて…今までの中で最速よ?」



実績を解除しました ピロンッ!
『『史上最速の男♂』』

照れりんが少し可愛かったです、青ワンピと白いツバ広帽子のスチルが一番好きでした。

※きらりん√プレイ時間:2時間









◆聖衣良√
恋する少女から、愛を手にする大人の女性へ

六周目まとめ
このルートは『愛のカタチ』をテーマに二人の関係が描かれており、『成長によって形を変えたものとその裏にある決して変わらないもの』という視点が展開された。
先ず、スクール編ラストの山場である 満天の星の下での告白シーン。
母親とのすれ違い—『まだ子供だから』という理由で再婚の話をしてもらえず、夜な夜な街へ遊びに出かけるようになっていた際に、「自分の気持ちをぜんぶ話してみる」という奏汰のアドバイスによって『無くなることのない「好きの気持ち」』を意識するようになり、奏汰への『好きの変化』に気付いて恋愛感情を理解し、異性として認識するようになる。そして、展望公園での愛の告白から、『大人になったら、もう一度告白する』という約束を結んでアフター編に持っていくという流れ。依然として言葉の端々にはあどけなさが見られ、どこか落ち着きのなさや幼さが残るものの、彼女のあの告白シーンには自分の気持ちに素直に従って愛を求める『純粋さ』が内在しており、(奏汰は彼女をただの妹だと見做したが) 普段の『オトナへの憧れ』とは切り離された、人間の愛として自然体な気持ちの表れを感じ取ることができた。
また、「わたしが、かな兄ちゃんのカノジョになったげるよ」というセリフは妙に上から目線で、外面的には子供の背伸びとも捉えられるが、これは気持ちを伝える緊張と不安から生じる照れ隠しを含み、続いて紡がれる裁縫と料理についての言葉にもそれらを始めるきっかけとなった奏汰を想う気持ちが込められていた。
普段の彼女の魅力としては、好きなことと将来の夢(デザイナーとお嫁さん)への惜しみない努力と、年相応で女の子らしい趣味(星座や占いへの興味, もこちゃん)、ブラックコーヒーへの挑戦・あえて難しい言葉を使おうとすることによる言い間違い(大人への憧れ)が挙げられ、アフター編ではこれらの魅力が成長した姿を、まるで親のような気分で確認することができる。
最後に、スクール編でただ一つ宙ぶらりんになっていて、その思考回路について説明がなされていない現象として私の議題に挙がったのは『奏汰が聖衣良のことを妹としてしか見ていない』という点だ。彼女の精一杯の告白にデコピンで返事をし「大好きな人だもん!」という宣言に「はは………」と言い放って、真剣に向き合うという姿勢を一切見せないのには何か理由があったのだろうか。また、この議題はアフター編の最大の壁である『社会人と学生の関係』として解消されるが、8年という年月を経て奏汰にとっての“イイ女”になるという約束は、果たして彼女が抱えていた想いを少しでも尊重したものだったのか。
(女子校生はよくて小学生はダメという御触れに一個人の考えを挟むのは全くもってナンセンスだが、小さい子供だからという理由だけで他人の感情を無碍にするのは少し寂しい)
(まあどのような結果であれ彼女が好きな人と一緒になって笑ってさえいれば、この 議題の意味と価値はなくなる)
(わたしも聖衣良の美味しい手料理を食べて小田原城を壊したい……)

アフター編では『大人と学生の関係』が障壁となって、聖衣良は奏汰の気持ちを確かめられずに、居候もとい同棲生活が進んでいく。
このパートの彼女の魅力には、お出迎え奥さんスチルがあることを納得させる女子校生とは思えないような主婦力(奏汰のための料理, 裁縫)を発揮する点や、奏汰には見せない『先輩』らしさや功績と名誉の裏にある『たゆまぬ努力』、そして何より彼女の『成長した姿』が挙げられ、過去の彼女のことを知る身としては目を見張るような変容を見せてくれた。しかし、これだけの月日が経っても変わらない『好きの気持ち』は今も昔も変わらずに彼女を前へ進ませ続ける原動力となっており、あの『約束』を忘れたことは一度もなかったのだろう。
また大いに評価できる点として、序盤から奏汰に対して社会人としての自覚という『ストッパー』を機能させつつ、小説を書かなくなったことや自分の気持ちに向き合っていないことを再度後悔しないように、—何もない日々を過ごすだけの人間(からっぽ)のままではいられないと、(『With Tomorrow』で)その壁を乗り越えさせた展開があった。


—ED『Lovely Spice』
バ ケ モ ン
雨音の結婚式の手紙というデザインにも驚かされたが、デザイナーを目指している彼女にピッタリの映像の演出・ポップが五線譜から溢れ出て止まらないピアノと透き通るギターのメロディライン・彼女らしい可愛さ満開の歌詞(この物語がスッと歌詞に落とし込まれてるのがポイント高すぎるんだよな…!!!)が締めとしてとてもふぁんくしょなるだった、edで二番目に好きかもしれない
(自分で書いてて驚いたが、私の稚拙な文章では言い表せないようなテンション爆上げなvibsだったと言いたい)

“YES! 理想的~
NOT! 道徳的~
SO! 背徳的なトキメキ~~♪

背伸びして—
だけど目が合わないよ……
諦めないんだー!!”
↑クッソ好きすぎる

エピローグ
夜空を模したような瑠璃色の式服—卒業制作でデザインすることとなった彼女のウエディングドレスに施されているのは二つの星座…
しかし、他ルートで彼女が言っていた「もしかな兄ちゃんが結婚したらウエディングドレスはわたしがデザインしてあげる!」っていうセリフが不覚にもよぎってしまい万歳したまま固まってしまうアタシ…



・鬼頭乱棒という人間の存在意義
これはこのルートにおいて真面目に検討しなければならない要素の一つだろう。考えうるというか何とか思いつくのは『奏汰の業務内容』と『女子校生を居候させながらそのポルノの編集をするという背徳』の二つくらいなものだが、昔は熟女モノを書いていたが最近はなかなか原稿が進まずに伸び悩んでいるとかいうやけに深堀された描写とか、このペンネームの余計なインパクトというか……、聖衣良自身と関わりが少ない事情を話として発展させたのには何か意図があったんだろうか。出版社勤務ということであれば、新しい編集長の永坂の存在(奏汰の夢とも因縁がある)や印刷所でのようなやり取り(大人っぽさ)のほうがよっぽど価値があったように思えてしまったが…
・名前の由来(ただの推測)
亡き父から貰った大切な名前である 聖衣良
聖—『金羊毛』の神話 おひつじ座 , 衣—衣装 デザイン, 良—彼女の成長 優れた努力
・テキスト
このルートの特徴として『』←二重鉤括弧の多用が目についた。(このルートの感想文もあえて倣って書いている)
・言葉遊び
アフター編の占いの結果をいちゃラブで強引にキスに繋げようとするシーンで、『き・す・は・よ・い・こ・と』という言葉遊びが披露され、スクール編の占いのラッキーアイテムである『カニの足』『魚群探知機』『チョークの粉』に真剣になってしまうんですが、これらはただのメモとしてわたしの記憶から消えていきそうですね…… タロットカード『ムーン』のザリガニ?
・雨音と聖衣良
小学生の聖衣良と雨音の服のサイズが同じとかいう奇跡みたいな描写があったが、
『好きの気持ちの変化』について聖衣良は、雨音と違って自分で変化に気づいて理解してるっていう点で彼女よりは大人だったのかもしれませんね。

※聖衣良√プレイ時間:4時間10分










◆うぐいす√
難病を抱えたヒロイン

『With Tomorrow』
刻む季節の中で
いつか2人の合言葉――「同じ景色の中、2人の速度で」




以下七周目まとめ
このルートの奏汰の“後悔するぞ” という彼女への執念……
現在の自分と心の中のうぐいす、そして支えてくれたすべての人々を、
ましてや自分を想う彼女の選択さえも記憶の彼方へ消し去ったとしても彼女を救うことを選ぶ――


出逢いと別れ, 新しい一歩から,
新薬開発による後悔

過去の改変という名のご都合主義

『中継役』としての彼女の思い

記憶の代償

青い月の奇蹟




それでも僕は,
夜空に満月を見つけるとこう叫んで, その裏側に訊ねるんだ


「彼女はいま, 幸せだろうか――」と。

※うぐいすさん√プレイ時間:7時間50分
















◆まとめ
私が今迄プレイした美少女ゲームの中で、最も長く時間を使ったものがこの『月の彼方で逢いましょう』となりました(42.3h)
ビジュアルファンブックとART WORKS BOOK、読んでみたいです
『SweetSummerRainbow』はたぶんやりません
『銀色、遥か』は、かなり物凄いとても気になってます
直近のスーパームーンは2022年7月14日, ブルームーンは2023年8月31日だそうです
…ありがとうございました!