ㅤだめでも、理想の世界に、恋をして……
例えば深夜。はっと気付いてしまったときに――。
いつでも難しいほうを選び直す。それが大事なんだろう。
そうすればまだ生きていられるよ。
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ジャンル:恋愛中出しロリユートピアノベル
“ロリユートピアノベルシリーズ” の三作目で、
現段階での「原画: ぴよ寺むちゃ × シナリオ: porori」コンビの最終作(うさ城まに と合同でない)
夜のひつじさん、対戦ありがとうございましたー!
総プレイ時間は5時間強でした。
プレイ後の感想としては、
「ロリータに上から見られるのって最高か???」と「ギリシャ哲学の解釈とか難しいよょ…」という二つの探求心がせめぎ合って忙しかった。ってのが一番にありました。
(私も空っぽの自室を眺めながら「人生の洗濯…」と空想に耽ってみたいですね、少し羨ましいくらいです)(なんというか、自分が見ていたり考えたりする光景をありきたりではない形容で飾ってみたい。彩り豊かになりそうだし、頭を使うのがとても愉しそうです)
▫タイトル画面の左下の和訳
𝑫𝒐 𝒚𝒐𝒖 𝒍𝒐𝒗𝒆 𝒍𝒊𝒕𝒕𝒍𝒆 𝒈𝒊𝒓𝒍?
𝑪𝒐𝒎𝒃 𝒉𝒆𝒓 𝒉𝒂𝒊𝒓 𝒂𝒏𝒅 𝒖𝒏𝒅𝒆𝒓𝒔𝒕𝒂𝒏𝒅 𝒆𝒂𝒄𝒉 𝒐𝒕𝒉𝒆𝒓.
𝑯𝒐𝒍𝒅 𝒉𝒆𝒓 𝒉𝒂𝒏𝒅 𝒂𝒏𝒅 𝒇𝒆𝒆𝒍 𝒆𝒂𝒄𝒉 𝒐𝒕𝒉𝒆𝒓.
𝑯𝒆𝒓 𝒆𝒚𝒆𝒔, 𝒔𝒌𝒊𝒏 𝒂𝒏𝒅 𝒎𝒖𝒄𝒐𝒖𝒔 𝒂𝒓𝒆 𝒘𝒆𝒕
𝒎𝒂𝒌𝒊𝒏𝒈 𝒎𝒆 𝒘𝒂𝒏𝒕𝒊𝒏𝒈 𝒕𝒐 𝒃𝒆 𝒉𝒆𝒓 𝒐𝒏𝒆.
𝑾𝒊𝒕𝒉 𝒐𝒏𝒍𝒚 𝒘𝒂𝒚𝒔 𝒕𝒐 𝒃𝒆𝒄𝒐𝒎𝒆 𝒉𝒂𝒑𝒑𝒚 𝒊𝒏 𝒎𝒊𝒏𝒅,
𝑰 𝒇𝒂𝒍𝒍 𝒊𝒏 𝒖𝒏𝒇𝒐𝒓𝒈𝒊𝒗𝒂𝒃𝒍𝒆 𝒊𝒅𝒆𝒂𝒍 𝒍𝒐𝒗𝒆.
小さな女の子は好きですか。
髪を梳けば心が通う。
手をつなげば温もりが伝わる。
少女の瞳と肌と粘膜は潤っている。
だからやさしくなりたい。
幸せになる方法だけを考えて
だめな、理想の恋をする。
(公式サイトより)
以下に作中に登場した難解なワードを自分なりに解釈してみました
▫ “半分” について 🌗
小妙
ㅤ「半分好きっていうことが、一番好きっていうことですか?」
この作品における“半分”は、『ある感情に自分の全てを支配させるのではなく、 “はんぶんこ” の状態によって感情の受け皿を用意しつつ、心の中でその半分になった気持ちを拮抗させ続けている状態』を指している。
しかし、ここで問題となっていたのは、小妙がピアノを聞くことが『ぜんぶすきで、ぜんぶきらい』であり、『最初の感情 = 寂しさ』が “ぜんぶ” を占めてしまっていること。いま生きていることが反対方向に覆ってしまう可能性があることだった。
これに対して有馬は「一度半分にしたらそこで止めちゃおう」と提案する。
(一番最初に抱いたぜんぶの感情を “一度だけ半分” にして、有馬と小妙の二人で分け合うこと)
ㅤ「だめかな……、だめじゃないかな……。すきかな……すき?」
(↑ 彼女の『言葉から意味を探す』癖)
(生きのびるために、あえて難しいほうを示すこと。そして、独り言が次第に『会話と主張』へと変わっていった。)
また同時に、パートナー・配偶者を意味する “the/(one's) better half” という意味もある。
▫むずかしいほうの道 について 🙃
たとえ困難が待ち受けていて、険しい選択だったとしても「自分がえらんだ道」ならば「むずかしいほうをえらんでよかったと思える」ということ。
(教条的に大人から押し付けられただろうセリフ, 彼女はそれに耐えている)
(この世からは “いなくならない” という道)
ㅤ言葉から意味を探してきた
ㅤ↓
ㅤこたえは意味を受け取る方法を知っている
それが大人による難しい言葉だったとしても、彼女にとって曖昧で理解できないようなことでも、それを “難しい” と自己暗示することによって常に答えを探し続けてきた。
以下、プレイ時の感想を纏めます
(前作『相思相愛ロリータ』の内容を多く含みます)
▫前作との比較
開始早々の前編の序盤パートから感じ取った雰囲気として『主人公がヒロインを導いている』という違いがありましたね。『相思相愛ロリータ』では、可愛らしい “下から目線” で心の中を覗かれっぱなしだったので、小妙ちゃんとの会話パートがとても新鮮でした。
(それに引き換え、最初のエチチシーンはこたえちゃんの方から迫られるというシチュエーションになっており、会話の節々に見られた『高圧的な言葉遣い・まるで当然のことのように言い放つキレのあるセリフ』とのギャップにボコボコにされました。まじで最高すぎます…)
▫将来の姿
目の前にいる幼い彼女ではなく、主人公が彼女の将来を見据えていること(小妙「美人になりたい」)もまた前作とは違ったヒロインの美しさの表現方法でしたね。しかし、あえて言うならばこれは “初潮が来てしまったことへの寂しさ” との対極にあるとも考えてしまいました。
(この疑問への私のこたえとして、『ロリータシリーズの主人公は当たり前のように全員が小児性愛で、そういったことに全くの抵抗がない』と勘違いしてしまっていたということがありました)(『彼女たちの小さい姿のみに価値があり、いまが一番尊ぶべきだ!』ではないこと)(小さい子どもを目にして、「こいつは将来が楽しみだなぁ、早くおっきくなれよ!!」という感想を抱くのは普通であること)
母親のような大人の女性のロールである 保健の先生・彼女が将来使う化粧品・“自信のある角度” など、未来に思いを馳せる喜びを感じることもできたので大満足でした。
▫小妙ちゃんによる二人称の変化
「あ……」「りまさん」
ㅤ↓
「おにーさんだから、にーまるさん、にーさん……ありまるさん……」
ㅤ↓
「あ……なたのことが、ご大切だから……それでいいです」
(ありま→あなた)
(『わたし→まこ, 俺→ぼく』っぽく、この辺りも前作と同様に呼称について意識して作られていたのが好き)
▫『言葉から意味を探す』(独り言の変化)
少しうつむいて独り言を声に出しながら、自問自答する癖
ㅤ↓
独り言に交じって、会話が表面化する
ㅤ↓
会話の延長になる
ㅤ↓
独り言が確信を持つ, 文末が断定形に
"pic.twitter.com/KnwBt0rgMQ"
▫テーマは疲弊ではなく、孤独
今作では、“よるべのない空気,” 異邦人といったキーワードのように、仕事に疲れた社会人へ向けた作品ではなく「はっ、と気づいたら消えてしまいたくなるような 孤独, 寂しさ」を埋めてくれました。
▫共通のネタ
・「角のところ、何回も見てたの。まだかなー、まだかなー、って思って……」
ㅤ(??「角のところで、あいましょう。」)
・膝と腕を使って頭を少し持ち上げて、僕は斜めに上体を屈めて――口づけた。
ㅤ(??「ん……ふふ、はすかぃ……」)
こういった同ブランドの作品でしかなしえない“判る人には解る”要素は、とても好きです。
▫ちいさな隙間
彼女の年齢を意識させる “乳歯” が抜けた隙間が、まさかフェラチオによって犯されてしまうとは考えもしませんでした。発想がやばすぎる(尊敬)
ㅤ僕を決して傷つけることなく迎え入れてくれる隙。
ㅤつけこんで、犯す。
▫買い与えられたタイツを破る
この素股シーンでタイツの裂け目と素肌と下着の三種を愉しむ有馬くんを見て、授乳手コキで三大欲求を満たす丘くんを思い出してしまいました。色々楽しそうです。
▫主人公の性的衝動
これには少し勢いがありすぎると感じてしまった。
例えば、目の前で踊っているアイドルが唐突にステージ上で襲われるような。新しく奇麗な服を着て喜ぶ少女が汚されてしまうのを、どのような目で見つめればいいのか。私としては「ヒトの身体は正直だし、まあ “折りたく” なるのも無理もないけど、急に騙したり押し倒したりはして欲しくない」と童貞がなんか言ってます。
▫“反社会的な”
前回も登場した、背徳と並行して頭に浮かんでしまう言葉。
そのギャップから性的興奮を生むのはもちろんいいんですが、あんまりこれを繰り返し言いすぎてしまうと「え、悪いことなの…?」と心配になってしまいましたyo
▫「テロス」
ここのパートは死生観とギリシャ哲学のことで頭パンクしてました。
小妙ちゃんが言っていた「よかった…」の補足として有馬くんが「生きてて」を付け加えたのは死が近すぎないか?と思ってましたけど、彼女には確かに “空洞” があったんですね(孤独で空腹で、ぜんぶきらい)
“ふたりでいて生きていること”
▫「天井の天上」🪐
これは、"hyle kata topon" ですか? 形而上学は解りません。
ㅤ僕たちにとって最初から半分で、一番好きで、一度だけ半分にした存在。
ㅤ見つめあって、視線が絡む。
ㅤ彼女の微笑が心地良くて、半分なのにひとつになって――また新しい半分を強く求める。
(愛情が生まれる → ぜんぶを一度だけ半分に → 一番好きが心身を通じて混じり合う → もう一度半分にする)
(し あ わ せ 無 限 ル ー プ)
▫ラストのセリフ
ㅤ「うん……。だめでも、理想の世界に、恋をして……」
これがこの作品随一のわたし的 難解ポイントで、
・そもそもが、誰へ向けたセリフなのか?という点にフォーカスすると――
①子ども
②有馬
③プレイヤー
の3つが候補として挙がる。
(①の場合は、後の「生きのびるすべなら教えられるんだから」という有馬のセリフとの整合性があり、生き辛い世の中で “一度だけ半分” にするというアドバイスを子どもに送っている描写となるが、“恋をする” の意味がよく解らなくなってしまう。②の場合は、有馬との “半分” を再認識させ、二人の愛を語っている描写となる。
問題の③。もしこれがプレイヤーに向けたメッセージを含蓄しているのであれば、「現実世界でロリータを愛することはできなくとも、“理想の世界” (空想や作品)に恋焦がれさえすれば…」と受け取ることができてしまうのが何とも泣けてくるし、“半分” を与え合う相手がいないことの救済がなされていないように思えてしまう。なんて考えるのは自意識過剰すぎたでしょうか。)
プラトンによる哲学思想では “理想” は『イデア』(最も完全な状態)と呼ばれ、有馬が「何度も何度も半分にはできない」として例に挙げた原子は、天上界にあるイデア論のことを指していると思われるが(地上には完璧な三角形は存在しないこと)、この辺りがどのように “半分” と関わってくるのかが理解できませんでした。無知の知?
(半分が二つで『性質二元論』~とか言われてしまったら、もう私はお手上げです)
以下 好きだったシーン
・時折見せる高圧的な口調(めっちゃ好き)
「いま、わたしと話すより……ご大切なこと、ありますか?」
・彼らの答
文字通り半分。どこまでも甘美で痺れるような誘惑と、強く遠ざけるようとする斥力の半分。
ㅤそれでもその前にあるものがあって――。
ㅤこたえに気付く。驚く。
・赤ちゃんともはんぶんこ
「笑顔と、このくぼみのところをくりくり回すのがすき……でしょう?」
「半分は、赤ちゃんので……半分はあなたの……。それでいいかな……いいですか?」
▫名曲『メタピュシカ』
https://note.com/poroi/n/ned5b74660aa1
これ練習しまくってたら左手が終わってタイピングが困難になってました、waniwaveには感謝
(...あら、話半分にこの感想を読みましたね?)
素敵な作品をありがとうございましたー!!
2022年10月31日