角のところで、あいましょう。ㅤㅤ
ㅤㅤ入り組んだ路地でも、会いましょう。
ㅤ誰も立ち入れない、外から見えない場所で。
ㅤ ぼくたちだけのあいを、育てましょう。
ㅤㅤ
ㅤㅤ だめなおとなに、なりましょう。▹
ㅤㅤ
――dlsiteでの販売数が10,000本を超える不朽の名作で、ロリユートピアノベルシリーズの原点。
同人ゲームオブザイヤー2014にて「穏やか部門賞」「美術部門賞」を受賞。
公式ジャンルは「純愛中出しロリユートピアノベル」
夜のひつじさん対戦ありがとうございました。
総プレイ時間は5時間30分で、射精回数は0回でした。
▫プレイ前の意気込み
サークル『夜のひつじ』のコンセプトには「萌えて思い入れてヌける!」という看板があるのですが、私は「ヌきたいっ…!!」とは考えられない脳の構造になってしまっているので、“ジャンル: 抜きゲー” とはせずにこのゲームを楽しみました。(少し前までは非抜きゲー以外の同人作品に価値はないと考えていた人間)(もちろん今は違う)
プレイの事前情報は『夜巡る、ボクらの迷子教室』と『安眠添い寝ロリータ』の二つです。
▫タイトルの英文
𝑻𝒉𝒆 𝒈𝒊𝒓𝒍 𝒊𝒔 𝒔𝒘𝒆𝒆𝒕 𝒂𝒏𝒅 𝒇𝒓𝒂𝒈𝒓𝒂𝒏𝒕.
𝑺𝒉𝒆 𝒊𝒔 𝒕𝒉𝒆 𝒘𝒐𝒓𝒍𝒅'𝒔 𝒊𝒏𝒏𝒐𝒄𝒆𝒕 𝒕𝒆𝒎𝒑𝒕𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏, 𝒘𝒂𝒊𝒕𝒊𝒏𝒈 𝒕𝒐 𝒃𝒆 𝒉𝒆𝒍𝒅.
𝑻𝒉𝒆𝒓𝒆 𝒊𝒔 𝒏𝒐 𝒏𝒆𝒆𝒅 𝒇𝒐𝒓 𝒑𝒂𝒕𝒊𝒆𝒏𝒄𝒆, 𝒃𝒆𝒄𝒂𝒖𝒔𝒆 𝒚𝒐𝒖 𝒂𝒓𝒆 𝒊𝒏 𝒍𝒐𝒗𝒆.
𝑳𝒆𝒕 𝒉𝒆𝒓 𝒂𝒄𝒄𝒆𝒑𝒕 𝒚𝒐𝒖𝒓 𝒆𝒗𝒆𝒓𝒚𝒕𝒉𝒊𝒏𝒈 ...𝒅𝒆𝒔𝒊𝒓𝒆 𝒕𝒐 𝒍𝒐𝒏𝒆𝒍𝒊𝒏𝒆𝒔𝒔...
𝒂𝒏𝒅 𝒃𝒆𝒄𝒐𝒎𝒆 𝒂 𝒅𝒆𝒑𝒆𝒏𝒅𝒆𝒏𝒕 𝒂𝒅𝒖𝒍𝒕.
少女は甘くておいしくていいにおいがする。
無邪気に抱かれているだけの、 世界で一番いたいけな誘惑。
がまんなんてしなくていい、 だってあなたと少女は相思相愛。
精液もさびしさもぜんぶ受け止めてもらって——
だめなおとなに、なりましょう。
(公式サイトより)
💐総評
pororiさんは、やっぱりすごいですね。私には絶対に表現できない繊細さや詩的さ、登場人物の心身の動きひとつひとつが巧みに描かれていました。ツイッターとか、noteの苦しそうなポエム (https://note.com/poroi)とかを読んでいると、科学なんかじゃ到底紐解けないような『人間の心の動き・脳の中に張り巡らされた感情の広がり・“寂しさ”から生まれる欲求』みたいなものを僅かながらですが共感することができました。
それがゆえに(すぐ作品に影響される人間なので)私の感情移入もまあ酷くて、「まこちゃんが笑顔になるだけで私の心は落ち着くし、まこちゃんがほんの少しでも寂しさを抱けば私の心は揺れ動いてしまうし、彼女が居場所を求めれば岡くんがそれを受け入れてくれるんだ――」みたいな揺れに揺れた気分でずっとプレイしてました。この作品は私にとって感情の振れ幅が大きかったため(文章の繊細さがゆえにほんの小さなことでも絶大な幸せや悲しみになってしまっている)、プレイ後はちょっとした疲労感に襲われてしまいました。(このシリーズを書くたびに髪の毛が抜けるシナリオライターには負けますが。参照: readme.txt)
以下には本編で私が不安定になったシーンを軽くまとめます。
▫まこの “うそ” と、初めての楽しさ
彼女が持っている私ひとりでは得ることのできなかった感覚が読んでいて心地よかったですね。
タイトルがロリータなのに私のパッシブスキルの「お姉さん属性」が反応するのは何故なんでしょうか?
"pic.twitter.com/Jct9KKXX5a"
▫火を抱いた
脊髄を「ひとの体で一番最初にできる、本能しか受け継がない部分」と言い表してヒトとしての性的興奮の生物学的な講義を始めるのやめてください。また、膣内射精の戸惑いに「神様の教える道徳と、人の言う道徳が、いつも相反する器官と機能」を使って倫理学に持ち込むのもやめてください、お願いします……
“神様さえ油断している背徳の入り口”
▫ぱんつ、どこ?
「私たちは繁殖していない」
(ここでタイトルBGMの “ぼくらの性” が流れたので笑いながら泣きました、パンツが「どっかいっちゃった」だけなのに)
▫あったかもしれない彼女の姿
過去に彼女が アイドルの“おしごと” に興味を持っていたこと。先生のところ(宗教系の学校法人?) にそういった商売をするための水着が送られていたこと。かなり怖い話でした。
▫ラストシーン、種付け
vnで私が最も好きな演出の一つである『タイトル画面の変更』をもろに食らってしまいました。“隙間” を埋めあっていた彼らが純粋な愛の結晶を、かみさますら躊躇う愛の形を体現しようとするシーンには危うく溺れそうになりましたが、何とか耐えました。
(ここだけの話、作中では “初潮前の性行為”(ごっこ遊びという表記) と “訪れてしまった性徴” という二つの段階が存在していましたが、後編ラストのシーンでは私の理解が追い付いていませんでした。)(彼女はどうして涙してしまったのか? 本来祝福されるべき子どもの成長が、過ぎてしまう時間に対して悲観的になるのは一体何故なのか?)
(A. まこが「柄木丘の “したいこと”ができなくなってしまう」のを恐れたから。初潮がきて、純粋につながれなくなってしまうから。)
(しかし彼らは相思相愛で、生まれてくる子どもにだけは愛と祝福を捧げることをふたりの義務とした。)
🌈好きだったセリフ
・その1
“ひとりで生きていかなくちゃいけないから、毎日、練習――”
ㅤ「お花は好き」
「花か」
ㅤ「だって、花はひとりで咲けるもの」
ㅤ少し自慢げに、胸を張って言う。
ㅤ「でも、虹はおひさまの光とお水でできてるんだよね。だったら、花をかざるのって虹をかざるみたい」
(「足らなくて、まずしくて……。だからたったひとつの、かけがえのないものがほしい」っていう初めての性行為に繋がるセリフがあるんですが、まこはこのシーンの後にあえて最後の “虹” から続く反語を口にしないんですよね。今まで見た導入の中で一番意地悪でじれったくて、最高に好きでした。)
・その2
ㅤ「ふふ……おまたの間からこんにちはしてるの、かわいいね」
「……っ」
ㅤ「はい、こんにちは……」
くすくすと笑う優しい声に最後はどうしようもなく導かれて、僕は射精を開始した。
・その3
ある有名な哲学者の言葉
“愛するもののために斃れたからその人は幸せなのではなく、幸せだったからこそ愛するもののために斃れる力を有しているのだ”
A. 三木清
「愛するもののために命を落としたからといって、その人が幸せだったわけではない。むしろ、彼らが幸せだったからこそ、愛するもののために命を捧げる力が湧いたのである。」三木清『人生論ノート』
🌼システム的なこと
▫テキスト
まこちゃんのテキストと、おかくんの心理描写のバランスが佳い……
彼女の年齢で書くことのできる漢字と“リョーリツ”のような人から教わった言葉。そこに挟まるのは柄木の心情と、彼女への意識。
(一箇所だけでしたが、「でも、正しいかうそかも、善いか悪いかも、明日がきてほしいっていう気持ちとは関係ないよ」というセリフの“善”というむずかしい漢字表記に作者の影を感じてしまいました。物知りまこちゃん?)(「善」を習うのはjs6ですが、年齢に関する記述はドコ…?)
▫「おかくん」
まこちゃんによる呼称「おかくん」がやけに耳に残りました。『安眠添い寝ロリータ』では登場しなかった彼ですが、どうやらおかくんとプレイヤーは別人のようです。
(作中で「主人公の存在を単なる “プレイヤーの擬似的な視点”」とするのか「主人公に意味を持たせてヒロインと交流する」のか。今作は後者で、お互いの“空洞”を埋めあって、子を成した。)
▫演出
- 頬を赤く染めるシーン
pic.twitter.com/4kZhhuUHxJ
- 「おやすみロリータ」
(ここの目を開ける演出やばすぎました。しかもそれはプレイヤーにしか伝わらない瞼の動きっていう)
◇終わりに
電話先のみでしたが、まこの先生(シスター) (ママ) が一瞬だけ登場しましたね。このロリータシリーズの最終章は『罪びと救済ロリータ』になるんでしょうか?続編をプレイするのが楽しみです。
『相思相愛ロリータとの生活』(https://erogamescape.dyndns.org/~ap2/ero/toukei_kaiseki/memo.php?game=23933&uid=GENKImorimori) で、あいましょう。