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GENKImorimoriさんの夢と色でできているの長文感想

ユーザー
GENKImorimori
ゲーム
夢と色でできている
ブランド
feng
得点
71
参照数
397

一言コメント

良ゲー

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

背景として、
季節は冬(12月初め〜1月の終わり)、攻略可能ヒロインは5人、ルートは最終固定、feng解散前最後の作品

一言感想でも書きましたけど「良ゲー」です。

学園モノってのが表面にあるんだけど過去の思い出であったり、部活動外のシナリオだったりが中心だったように思える。特筆するべきはCGの質でもなくシナリオの出来でもなく「オープニングテーマ」だった。まじで曲がいい。作風とも相まってるし何よりも『ちいさな彼女の小夜曲(正確にはAA)』からの歴史の重みがやばい。
(上様は「op以外にも素晴らしいところはある」と言っているしその点にも概ね同意できるが、やはり作品の看板の一つであるOPテーマには惹かれるものがある)




各ヒロインについて
・姫色
作中でも言われてましたけど踏み台ヒロイン感が少し残念だった。
戦隊モノの中心であるレッドの役割を担う彼女は、明らかにメインのポジで私の記憶から消えることのない唯一無二のヒロインになるかと思っていたんですけれどもね… 彼女のパートでメインとなっていたのは「学力」「日本語の性知識のなさ」「ヒーローの意義」であり、彼女のひたむきで真っ直ぐな部分はかなり評価できるものの、この物語の構成要素になっている"過去"との関連が薄く感じてしまった(幼少期の別れ→鈴の交換くらい?)。個別√最後の山場である、彼女の「他人の全てを受け入れつつも責任を一人で背負う」性格によって生じる問題は、物語の途中でプレイヤーに違和感を与えることで伏線を敷いていたし、リーダー気質であることともうまく合致していた。afterの水着がエロ可愛いすぎる、救われました


・かもめ
普段は虚勢を張りながらもデレるときはしっかりデレてくれて、バブみがありつつも虐めたくなるようなキャラ。
何の色にも染まらないブラックを象徴とする彼女は、最初に攻略可能な3人(姫色, 紫織)の中で、最もこの作品のコンセプトと性格の兼ね合いがあるヒロインであったように感じた。共通ルートで"またみんなが集まれる場所"を求め、藍と誰かの恋路を応援するというスタンスを取りながらも、その葛藤、親からの期待、過去の藍に寄り添えなかったことに悩んでいるのが彼女のコスプレをする理由と関わってくることを納得させてくれた。気になった点はたび重なる妹への淫乱いじりでしょうか。あと、黒い鈴。これの所在があまり作中で重要ではなかった(世界線は違うものの恋√であまりにもあっさり返却されている)ことがあった。
水着デート中の立ちバックCGが一番よかった


・紫織
動物に嫌われる峰打ちおねえさん。
彼女が紫であることへの意味、作中での役割はあまり(にもすく)なかったように思える。また全体通して受験を控えた学生であることによる弊害がプッシュされすぎているように感じた。彼女が抱えていた問題は母親である理事長と地縛霊猫のミドリに集約され、藍との繋がりはあったものの(助けてもらうという経験)、最後の卒業シーンではあまり心を動かされなかった。彼女の魅力は全てを包み込んでくれそうな慈愛に満ちた性格と、武道に長けているけど精神は女の子で か弱いみたいなギャップ萌えだよ、うん


・雲
「夜の遊歩道は雪が降っていて、
無口な彼女は話し始める。」

っていうOPのワンシーンがなかったのが一番残念でした。

上記の3人のうち1人を攻略しないと攻略できない、この物語の核心に触れ始める不思議ちゃんキャラ。
超能力(危険予知とか蘇生とか)を使えるのは巫女で神社の娘だから、という設定は賛否ありそうですけど、こういうキャラが1人いるだけで作品が脚色されるのはありだと思います。だとしても、彼女が自殺する→山が規制される→みんな助かる!は繋がらなくない?
私がこの『夢と色でできている』で唯一泣きそうになったポイントは、小屋解体時の彼女の泣き顔でした。工事を止めるために重機に立ち向かっていった藍くんの行動は少し謎でしたけど、彼女の涙は本物で、
防衛軍が離ればなれになってしまっても小屋を維持し続け、周りのみんなが「私たちには場所なんて関係ない」と言っていたとしても自分自身を騙して堪えて、普段感情を表に出さない彼女が耐え切れずに流した涙にはかなりくるものがあった。
彼女だけエピローグがえちえちシーンでした


・恋
らすぼす
この物語の核心。防衛軍が解散する一因となった、親愛なる妹キャラ。
グランドエンドに繋がる全員集合のシーンがまさか彼女の自己犠牲だとは思わんかったまじで
攻略可能な5人のヒロインの中で差別化されるのは、「仲間を本当の意味で頼って巻き込んで、信頼しあうこと」を、家族であり恋人でもある藍に気づかせて考え方を変えたという点だったと思う。
過去の記憶に関する不安が、個別√前にも触れられていたってのもよかった(スマホ)。山での事件に関連することを除くと、(非抜きゲーにしては珍しい立ち位置の)母親への思い、親友との三角関係とかがあるでしょうか。
CGが一番安定しててとてもよかった


他こまかいとこ、
鈴の役割についてもう少し掘り下げてもいいのかなと思った。過去とは関係が薄いはずの猫と見知らぬメイド、保健の先生と理事長っていう登場人物全員を巻き込む形式は少し無理があったように思える (エクストラへのゲーム上の道しるべ、コンプリート要素として捉えさせてる)。
キャラがFDとかグランドエンドとかメタしてたのは好きですこういうの。

エクストラストーリーで曲の2番が使われてて歌詞の”重み”がやばい。
私がブックマークしてた佐咲紗花のツイートも見ろ↓
https://twitter.com/sasakiSSsayaka/status/1100380544200626176
https://twitter.com/sasakiSSsayaka/status/1141351109337833477
https://twitter.com/sasakiSSsayaka/status/1141358282524639232




良ゲーでした、ありがとう上様、feng