プレイして一番感じたのは、でぼの巣製作所も思い切ったことをやるなぁ、と。設立当初のヒロインである「いぶき」「なずな」という二枚看板をあっさりと取り下げた姿勢は潔いです。神楽シリーズを道中記から始めた新米としては物悲しいことですが、前向きに評価したいです。作品全体としては、安定したヒロイン・男キャラたちの掛け合いが予想以上にかなり面白く、纏まっていてGOOD。ただ、二枚看板らが男主人公と安易にくっついてしまったことに賛否両論ありそうです。主人公自体は女誑しでカッコいいんですが…
「いまちょっと、ウチのクラスのM君とH君の熱愛発覚、みたいなのが……」
・ストーリー
弓橋市七ツ橋学園に通う女学生が殺害されるという事件が起きた
封鎖された現場で警察官に混じって佇む一人の巫女
一見場違いにも思える彼女・雷道なずなは、妖怪絡みと疑われる事件が起こると派遣される、退魔巫女なのだった
調査する内に、彼女は三船考太という名の学生にたどり着く
事件に関係すると思われる、他人の秘密を知る 『密告クラブ』。その部長が彼ではないかというのだ
それもそのはず、考太は妖怪 『サトリ』 の能力を有する半人半妖で、不完全とは言え他人の考えを読む力を持っていたのだった
考太への追求を強めるなずな
そんな中で、また別の女学生が肝試し中に失踪してしまうという事件が起こってしまう
さらに、転校生として現れた新たな退魔巫女・嵐山いぶき
「幾つも事件があるみたいやけど、これ全部七不思議で繋がってへん?」
いぶきの言葉に考太たちは一堂に集い、学園七不思議の問題を解くべく動き始める
攻略時間は12時間。攻略ルートはハーレム(?)→なずな→小春→いぶき
前作の神楽道中記をプレイしなくても話が理解できますが、ぜひとも道中記からプレイしてほしい一品です
小夜さんとかミシャグジなども出てくるので、わかっているとニヤニヤできます
今回は完全なAVGであり、ダンジョンを潜っていくSLG要素は無いので注意
話としては連続性のあるオムニバス形式といえばわかりやすいでしょうか?
事件ごとに1章で区切ると、ちょうど6章くらいのボリュームでサクッとプレイできます
短い割にはエロシーンもしっかりとあり、良い意味でコンパクトに収まっています(ただし、エロシーン回収がめんどくさい)
この作品の長所をあげるならば、キャラクターの良さです
いぶき・なずなコンビに加えて、ほんわか天然の小春が加わってバージョンアップしています
エロ丸出しでもカッコいい主人公・オバカ悪友の崇・すまし顔だがホモっぽい(?)星など、男キャラも合わさり最強に見えます
しかも男キャラもかなり重要な立ち位置であり、脇キャラの不可解な響部長などとあわせてキャラの使い方が非常にうまい
多すぎず、かといって少なすぎずのキャラクターたちの掛け合いが本当に面白かったです
個人的なキャラゲーとしては文句無しで、私はこの雰囲気のおかげで物足りなさは感じませんでした
大抵の退魔関係作品はひたすら凌辱が多いか、プレイヤー置いてきぼりのバトル展開があるのですが、学園記は違いました
割とアッサリ気味にもかかわらず、しっかりと芯が通っているためにスラスラと読めます
しかも章ごとに徐々に謎が明かされてくるので長時間プレイしても飽きません
なかなかこういう作品も随分と減った気がします
では欠点を。ずばりいぶきなずなコンビを主人公とくっかせたことです。これはメーカー側の大きな決断と言えるでしょう
私はいぶきなずなコンビを軸にもう2~3作、話を膨らませると思っていました
主人公がいてもくっつくのは小春のみであり、事件を解決させた後はいぶきなずなコンビは別の事件(次の作品)へ
あるいは主人公といぶきなずながくっつく√があっても、それは正史√ではない√として片付かれると考えていました
しかし、実際には小春をはじめとして、共通√の段階でいぶきなずなと公認三股を掛けるハーレム展開でした
これについての描写が少なくあまりにも急であり、最も重要なのがプレイヤーのいぶきなずな像との乖離が生じたのが問題でした
いぶきなずなコンビは、メーカーが思っているよりもプレイヤーは大きな存在だと感じているはず
特定の男性とくっつかず、妖怪退治の行脚を繰り返す新米退魔巫女2人という印象が強かったと思われます
主人公とくっつき、あまつさえハーレムになるとは誰も予想できなかったのではないでしょうか
最もこれは、メーカー側が新しい作品を作ることへの意欲とも読み取れます
今までの神楽道中記→追加パック→神楽学園記で区切りをつけ、全く新しい作品を作る表れなのでしょうか
ダラダラと引き延ばして、死に体シリーズ(EVEとかインフィニティとか)になるよりは……とスパっと見限ったのかもしれません
もしこの次の作品でキッチリとした物を作ることができるならば、でぼの巣製作所の実力はホンモノです
シリーズ好きだった私には残念ですが、ポジティブに捉えたいと思います
主人公もしっかりした奴ですしね(相当な女誑しですが…)。昔の作品によくいたタイプの主人公は嫌いではないですよ?
・絵、システムなど
やっぱり山本先生の絵は随分と可愛くなったなぁと思います
判子絵師と言われますが、個人的には良くなったのではないでしょうか?(ただ、男キャラの書きわけはまだかな…)
響部長・沙希は昔の山本絵って感じがします
システムは必要最小限ってところでしょうか。可もなく不可もなく
エロはやっぱりエロい。和姦強姦が揃っていて高ポイント
ただ、神楽道中記よりは減ったなぁ、と。脇キャラのエロもしっかりあるのでまぁまぁかな?
・総評
ローグ型ではなくAVGですが、予想以上に面白かったです。オススメ
ただ、話がしっかりとコンパクトにまとまっているもののフルプライスは少々お高いかも
良くも悪くもおそらく続編は新シリーズ(あるいは、違う主人公視点)になると思うので、次がでぼの巣製作所の正念場かと
SLG、AVGどちらでも期待できそうです。できればローグ型がいいなぁ
・一言感想の羅列
①公認でハーレム作っちゃう主人公が羨ましい
②崇……単なるバカキャラ要因だと思っていてごめんなさい
③Rirykaさんが歌う主題歌は隠れた名曲だと思います。凄く好き
④学園での猫かぶりなずなはファン必見
⑤響部長の立ち絵は出ないと思っていましたが、まさかいきなり出てくるとは。しかも可愛いし、良いキャラ付け
⑥実はこのゲームをインストールするまで、ずぅ~っとAVGと気付かずにSLGだと思っていました