間違いなく良作(ファンの感想)。しかし、惜しい点も見られる。
総合的な評価は良作。立ち絵、CG、背景は最高峰です(個人的な感想)。エロはこれまでのシリーズよりも使えるようになりました。キャラもかわいい。ただ、シナリオ、戦闘には惜しい点が見られます。
全体的に言うと、「良質な燃えゲーを売りにしていたのに、蓋を開けてみたら良質なギャルゲーだった」・・・これつきます。
●シナリオ
まず、シナリオについてです。
シナリオについては、他の人も述べているように、不満を感じるところが多少あります。
女の子をかわいく見せるという意味での「シナリオ(テキスト)」は文句なしで、他のレビュワーでシナリオを褒めている人はそのテキストを褒めているのだと思いますが、物語の面白さにかかわる本筋の「シナリオ」は残念なところがあります。
・キャラの死に様の残念さ
一番大きいのは、「キャラの死に様の残念さ」。
これは鬼畜王など、過去のシリーズをやっているファンが特に感じたことではないでしょうか。
以下、残念な死に方をした3人を列挙します。
残念な死に方1人目はマイトレア。
ランスシリーズには珍しいショタで、実はミネバの妹・マハです。
マハと言えば、誤表記から生まれた「才能限界120」というおいしい設定があるのですが、本編中ではあっさり死にました。
ミネバとの関係の掘り下げがあるわけでもなく、ラストにミネバとの会話が用意されているわけでもなく、何の見せ場も無く、死にました。
残念な死に方2人目はアリストレス。
アリストレスは鬼畜王にも登場するシーラ愛の有能マンで、ランス9の設定ではパットンの親友です。
ヘルマン軍内の2軍の将であり、パットンやシーラとのやり取りが期待されましたが、ホントに登場して死ぬだけでした。
しかも、途中で革命軍に協力しているのがバレて、カラーの村までたどり着いて、生きると思ったら死ぬ。
そのあまりの意味の無い死に、「作者が殺したかったから死んだ」というのを感じてしまって、ガッカリでした。
残念な死に方3人目はフリーク。
まさかの腹パン死。ギャグじゃないんだぞ、ギャグじゃ。
今回、ラスボスがMMルーンなので、いくらでも聖魔教団のエピソードなどを描写して掘り下げが可能なのですが、
いきなり闘将バステトが現れ、腹パンされて死亡。なんだそれ。
・・・とまぁ、他にもステッセルやミネバ、バステトにパメラの死などいろいろツッコミたいのですが、
全体に共通していえることは「薄っぺらい」ことです。
別にキャラクターがバンバン死んでくれようがそれは良いのですが、薄っぺらさが彼らの死に不満が出る根本です。
キャラに「死にざま」だったり「見せ場」を用意せずに、しかも、生きていてまだやって欲しいことがあるのに突然死なれると、肩すかしを食らうんです。
どうせフリークを死なせるなら、浮遊要塞ごとラスボスに突っ込むなど、いろいろやりようがあるだろうと。
・ラスボス
ラスボスも不満の一つでした。
MMルーンがラスボスなのは(それと、攻撃時に謎の女性が出るのも)、ママトトのオマージュなのですが、
それはいいとして、聖魔教団の天才が作った闘神の倒し方が「パットンのブブランブ」。
パットンはゲーム中では攻撃力が低いので、「えっ、そんなんで倒せちゃうの?」とこれまた肩すかしを食らいました。
そんな必殺技でいいのなら、ランスアタックでもいいし、別に大したことじゃないですよね。
そう感じました。
・魅力の無い悪役
悪役も小物ばかりで盛り上がりに欠けたのも不満点の一つでした。
こういうものは悪が巨大で打ち倒しにくいものであるほど、倒した時のカタルシスがあると思います。
しかし、ランス9の悪役たちは揃いも揃って小物揃いです。
確かに、ヘルマン上層部には無能でいて貰わないと倒す理由が無くなってしまうのかもしれませんが、相手が「負けて当然」の小物だと盛り上がりません。
そこを補完するのがミネバの役割なのですが、ランス9のミネバはシリーズファンからしてみれば残念でした。ゲーム中のミネバはさして強くも無く、何故だかイライラしていてカリスマ性がありません。しかも、途中で仲間になるロレックスに一騎打ちで追い詰められる描写まであります。
そのシーンの前、ロレックスはランスに一騎打ちで負けていますから、「ランス>ロレックス>ミネバ」の図式が出来上がってしまい、ミネバが途中参加の仲間にも負ける小物になってしまってガッカリしました。
・テキスト戦闘
その悪役の魅力の無さに拍車をかけているのがボスとの戦闘がイベント戦闘では無く、テキストで済まされてしまう事です。
レリューコフ、バステトなど、どれだけ強いのかと思っていたら、クリックしただけであっさり死んでしまって、これまた拍子抜けです。
全編テキストのエロゲーでボス戦がテキスト、なら話は分かるのですが、
いままで雑魚とイベント戦闘で戦ってきて、さあやっとボスだ!
・・・と思ったら、クリックしただけでボス戦終了、というのはさみしくないですかね?
・パットンの丸投げ新婚旅行
終わり方も良いものではありませんでしたね。
ママトトオマージュと言えばそれまでですが、「民主化」してシーラに丸投げした挙句、自分は恋人のハンティと新婚旅行に出かけるかのごとく旅立ってしまうと。
まぁ、「民主化」というのはエロゲなので民主化がどうだのツッコミませんが、民主化する際に王冠を握りつぶしてしまうのが大変評判の悪いシーンです。
「その冠のために何人が死んだんだ?」・・・というね。
●戦闘パート
次に戦闘パートについて。
戦闘についてはママトト・改・・・なのかな?
まぁまぁです。いままでのランスシリーズに比べて、やり込みには欠けるが1周する分には悪いところも目立たない。
ただ、シンプルといえばシンプルです。
MAPも狭いですし、基本的に四種類しか敵がいない(軽装槍、重装鎧、弓、魔法)。
次々と湧いてくる雑魚どものうち遠距離系を挑発で潰し、ガード系で人の壁を作って、後ろから魔法を打ち込むことの繰り返しです。
また、成長システムですが、どうも成長を実感しにくい仕様となっています。
経験値を振り分ける形ですが、1周目は攻撃と体力以外は振り分ける価値なし。他は高コストで成長をかなり実感しにくい仕様です。
他に武器強化、防具強化があるのですが、武器強化は大半は失敗してしまうのですが強化費が増加していく仕様が勿体なさを感じてしまいますし、防具強化に至ってはほぼ使い捨てで強化費も高騰していくので強化する気になりません。
アイテム強化だけは1周目ですさまじい性能を誇るので、拾ったアイテムを装備させるのが成長の軸になってしまいます。
やり込みは延々と成長していくのを楽しむものですが、こうした成長を実感しにくい仕様が、
「ランス9はやり込み要素が足りない」とされる一因なのでしょう。
あ、ここまで批判しかしてないわ。
・・・どうにかしないと。
●CG、立ち絵の良質さ
一方、立ち絵やCG、これは大変良いものでした。
前作のランスクエストよりも良かったです。
前作のランスクエストは等身がTADA指定によって、上下に潰れた感じになっていましたが、それも解消されて本来の’(?)等身の立ち絵やCGが拝めることになりました。塗りも向上している・・・?
これでいいんですよね、うんうん。
背景も立ち絵が被っていて直接は拝めませんが、書き込まれた良い背景です。
●エロ&テキスト
また、エロですが、これも良くなっていました。
「ランスシリーズのエロは抜けない」というのは、今までの定番でありましたが、今回はランスモードというシステムで特定のキャラに焦点を当てて、エロのテキスト量も大幅に増加したので抜けるようになりました。
もっとも、ランスシリーズはいまのエロゲには珍しくボイスが無く、この辺りは抜ける、抜けないの判断が大きく分かれるところでしょうが、少なくとも、自分は抜けました。
そして、エロを支えるのが「キャラのかわいさ」でそれを支えるのがキャラの会話、すなわち、会話テキストです。
この点もランス9は満足のいく出来で、キャラのかわいさを出すような設定、テキストが随所に見られました。
実は、私はランス9まではチルディというキャラは好きでも何でもなかったのですが、調教によって「頭を撫でると発情する」という属性がついてからはかわいくみえるようになりました。
他にも、新キャラのミラクルの中二病と意地っぱりなかわいさ、かなみの「安さ」など、ヒロインたちは軒並みかわいくなっていました。
その他のキャラも、あれほどランスクエストで評判の悪かったクルックーもエロではもの凄くかわいかったですし、アルカネーゼも(中略)と、
この点に関しては、良いことづくめです。
分岐√でも、リアやナギがかわいいです。
エロ関連に関して、一つだけ難点を言えば、戦姫のエロでしょうか。
戦姫のエロはSMが中心で、挿入シーンがある場面も顔が見えない仕様でした。
他のみなさんも良く思ってなかったようですが、自分もSMは特に好きではないので低評価。
・表情差分の増加
このかわいさは「表情差分の多さ」が支えています。
表情に差分があるのは他のゲームでは当たり前ですが、ランスシリーズはキャラ数が多い分だけ、
表情差分が犠牲になっていた節があったので(戦国ランスは特に顕著)、ランス9で表情差分があったのはグッド。
・BADEND
BADENDに関しては、自分は耐性がありますが人によってはダメなようですね。
特に、チルディの身体が改造されて犬になっているBADは大変不評です。
耐性がある私としても、改造していく過程が見せられるならともかく、結果だけ見せて誰得なんだろうとは思います。
うん、人体改造はね・・・。
・特定のキャラ重視
なお、コンセプト上、特定のキャラにがっつりCGもテキストも配分されています。
それ以外のキャラは基本的に不遇です。それに、一発ヤリ捨てキャラが減ったので、和姦シーンと引き換えに強姦シーンも減りました。
また、特定のキャラを「コマす(?)」という方向性なので、ランスくんのセックスの上手さが向上していて、
戦国ランスの処女をズコズコ犯して射精するだけのランスくんでなく、処女をそこそこ絶頂に導くランスくんになり、和姦にシフトしています。
・分岐(ルート)
今回、各ヒロインにそれぞれ√があります・・・が、戦国ランスのようなボリュームのある√ではありません。
最終局面で分岐して、それぞれのヒロインがメインとなる√に分岐します。
そこにボリュームを求めていた層には概ね不評のようですが、ボリュームさえ求めなければ良い√分岐です。
展開が同じところはスパッと端折ってくれますし、√によってイカ博士が復活したり、英霊が敵の幹部に憑依したり、リアが攻めてきたりと違う展開が楽しめます。
●3Dモデルなど
まぁ、こんなもんじゃないでしょうか(何と比較したらいいのか分からない)
洋ゲーに比べたらお子様レベル、3Dエロゲとも比べるレベルでは無い。
しかし、デフォルメキャラのかわいい感じです。
モーションについては、エレナ・フラワーの待機モーションがかわいい、志津香&ナギのモーションがかわいい、ぐらいですかね。
●音楽
なかなか良いけど、こだわりが無いのでそこまで語れない。
HelmanBattle2、3やラスボスで流れるママトトオマージュは個人的に好きです。
●UI、その他もろもろ
UIは適所でオートカーソルしてくれる親切仕様で、特に不満になるようなことはありません。
不具合については目立ったバグはありませんし、エラーが起こったことは一度もありませんでした。
流石アリスソフト、と思えます。
NG集を見ると、デバッグ段階ではペルエレに「ペニス、状態はどうだ」と話しかけるような笑えるミスがあったようですが、
そういうミスはデバッグでキチンと取り除いているようですね。
さて、ここまで書いてメンドくなったのでまとめの一言。
(飽きたのが後半の文字数で伝わってくるでしょう?)
「"萌え"はランスシリーズの中では一番だった。しかし、期待されていた"燃え"はそこまででは無かった」
以上。