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Fatmanさんの牝アイドル ~デビューした彼女が、男たちに密着マークされている件~の長文感想

ユーザー
Fatman
ゲーム
牝アイドル ~デビューした彼女が、男たちに密着マークされている件~
ブランド
Frill
得点
55
参照数
4738

一言コメント

点数をつけづらい。低調な前半部と寝取られ的に光る後半部

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず、プロローグに関してひと言。
ここまでテキストが合わなかったのは久々です。
キャラ同士の会話がものすごくつまらない上に、意味もない。
それと、文章が理解しづらいので、プレイヤー置いてけぼりでどんどん話が進んでいく感があります。
はっきり言えば、プロローグ部の担当ライターはエロゲの文章を書くのが下手。
小説とは違いエロゲの文章(とくに抜きゲでは)ってのは、
文末まで読んだ段階でスッと頭に入ってくるくらいの平易さじゃないと、
いちいちクリックが止まり、プレイテンポがすごく悪くなる
――難しい言葉が頻出するわけじゃない。もっと簡単に言い換えられる文章なのに、
言葉の組み立て方が悪いせいで引っかかる的な。単純に説明不足(唐突に出てくる固有名詞が多い)って面もあるけど。
読み手のことをこれっぽちも考えてない、ひとりよがりな文章はいけないよ。

あと、キャラの魅力のなさが酷い。とくに顕著なのが主人公の親友の砥馬。
「ゲームでは~だからな」、「ネットでは~だ」みたいなことを偉そうに語るヤツで、ウザさがハンパない。
コイツとの会話シーンになると、こめかみのあたりがヒクヒクしてくる。
次にメインヒロインの久音の言動も、私にはちょっと理解できなかった。
最初の出会いの場面なんだけど、ゲーセンの格ゲーで負けたからって文句言って絡んでくるとか、相当ヤバイと思う。
頭のイカれたクレーマーのオバちゃんじゃないんだから。
それに、初めの印象が最悪なのに、“幼なじみだった”ということが判明した途端、好感度MAXになるのにもついていけない
――幼なじみといっても小学校に上がる前、一カ月くらいいっしょにいただけらしいし。
さらに、主人公も主人公で大概。砥馬から、「久音のことが気になっている。彼女が好きだ」と相談され焦った彼は、
翌日、砥馬の目の前でいきなり久音に告白します。えっ……親友なんじゃないの? 黙って抜け駆けとか最低じゃね……。
砥馬はちゃんと筋を通してるのに、それはあかんで。
普通だったら、殴り合いのケンカが始まるか一生絶交とかになってもおかしくない場面だけど、そこはエロゲ的ご都合。
神は天にいまし すべて世は事もなし、です。

久しぶりに、開始30分でギブアップしそうになりました。読み進めるのが、苦痛で苦痛で……。
ただ、本作は複数ライター作品なので、プロローグ部さえ抜ければマシになるんじゃないかという期待と、
絵の良さ(いいムチムチっぷり。塗りも○)もあり、なんとか乗り切ることができました
――購入を考えている方は、事前に体験版をプレイしといたほうがいいかも。

その後の寝取られ展開について。
まず、久音がチャラ系のプロデューサーに、ちょっかいを出されるところから始まります。
P「ステージでの羞恥心に打ち勝つために、Hな特別レッスンをしてあげよう」→
久音「は、はい……これは仕事と主人公のため、裏切りじゃないんだから」→
久音「ああ、感じちゃダメ……我慢しなきゃ……」→P「社長に枕営業しないと、グループを解散するぞ」→
久音「わかりました、カラダは差し出します。けど、心は渡しません」→社長「げっへっへ、淫乱なメスに調教してやろう」~
ここまでが共通した流れ。思っきしベタベタで、何のひねりもない脅迫堕ち系のテンプレ(エロゲ的フィクション)です。
「はぁ……こりゃ、この先も期待できねーかなー……」と思い出したところで、出ました。逆転ホームランです。
以降の個別寝取られルートに入ってからが、序盤とは一転してよくできてるの。
大まかには、“社長の性奴隷ルート”、“プロデューサーに和姦寝取られルート”、
“不良に輪姦→キモオタのペット化ルート”の3つがあって、さらにそこから、8つのエンドに分岐していきます。
なかでも秀逸だったのが、プロデューサーの女になり進んで枕営業をし出すエンドと、
不良に犯されたあと風俗嬢に堕ちる展開。前者エンドでは、久音の男に対する媚びっぷりが凄まじく、
本作のいちばんのウリである“アイドル”っていう設定を素晴らしく活かしています。
「ねぇ、カメラマンさぁん、他の娘より私のグラビア推してよぉ♥ そしたらぁ……い・い・こ・と、あるかもよ♥」みたいな。
たっまんねーっ! 名作グラドルゲー『姉はグラビアアイドル』でも、ほんのり匂わせておきながらシーンがなく、
私自身めちゃんこ懊悩させられた“人気アイドルの下半身事情”ってヤツを、ついに目にすることができました
――声優さんの演技も上手い。男心を擽るちょい鼻にかかった猫撫でボイスにチンコ、ビンビン。
あと、このエンドへの過程では、自分の元彼女がどんどん手の届かない存在になっていくことからくる、
喪失感や敗北感的なものもよく出ていました。真剣に歌手を目指していたはずの恋人が、
いつの間にかエログラビア系アイドルになってたとか、どんなご褒美ですか。グッジョブ!
それともうひとつ、久音が箱ヘル嬢になる展開も属性持ちにはたまらない
――仕事に慣れてくるにつれ、スレていく彼女に超萌え。
「手か口でだったら抜いてあげたのに」とか「時間がもったいないわよ?」とか、いかにも嬢っぽいセリフを吐くようになります。
ただ、キモオタのペット化エンドへの過程として描かれているため、実際客と絡むシーンは3つほどしかない
(うちひとつはキモオタが相手)。個人的には、その後、キモオタのチンポ狂いになってアッヘッヘーになるよりも、
No.1フードルになった久音(源氏名・かのん)がいろんな男に抱かれまくったり、
数年後、たまたま風俗店に行った主人公が彼女と再会するものの、
完全に客と嬢の関係でヌキヌキ(超絶テクニック)されたりする展開にしてくれたほうが、はるかに楽しめたなぁ。
……やべ、『サキュヴァス』やりたくなってきた。

んで、もうひとりのヒロイン・蜜柑のほうの話は、まあ……キャラを気に入れば――ってところでしょうか。
チア部で幼なじみの蜜柑は、最近流行りのオタク趣味に理解のある美少女ってヤツ
――「オタってキモーイ」とか絶対に言わず、一緒になって楽しんでくれるような……肉とか桐乃とか――で、
こう……なんというか、都合のいい感じはよく出ています。類型的なオタクの願望を具現化したヒロインって感じ。
腐女子ではなく、男オタの趣味を持ってるってのがポイントなんだよな。
私としては、自己を否定される恐怖から逃げ、
その上女よりも優位に立ちたいっていう下衆なマッチョ思考が裏に透けて見えるので、
そーいった性質を持つキャラはとてつもなく苦手です。
寝取られルートに関しては、“白沢の陰謀でサッカー部の性処理便器になるルート“、
”砥馬に蜜柑と久音をまとめて寝取られるルート”、”趣味の合うキモオタになびいてそのまま奪われるルート”の3つ。
Hシーンの内容はコスプレシチュと複数プレイが多めで、どのルートでも蜜柑は寝取り男にメロメロ。
ちなみに、Hシーン数は久音の半分以下です。

どちらの話でも主人公は基本弱々で情けないヤツだったり、
ヒロインの堕ちる理由付けが甘かったり(mielゲーのヒロインに毛が生えた程度)、
一部のHシーンの尺が極端に短かったりと、個別後にも不満がないわけじゃない。
それでも、序盤でヒロインの魅力(とくに久音の)をちゃんと描くことができていたら、いい感じのNTRゲーになっていたと思う。
「オレはこの娘が好きなんだ」と自分に思い込ませることが必要。
う~ん……なんとも微妙だ。

寝取られ興奮度:2
(※自分がどれくらいドキバクしたかを5段階で評価)