ぐぬぬぬぬ……。
あー、なるほどね。
シナリオ担当の草刈さんの特徴がだいぶわかってきた気がする。
・ミスリード好き
例えば、冒頭に捻ったシーンを持ってきたり。
話を進めていくうちに、「あのシーンにはそんな意味があったのね」と気づく感じ。
・多角視点を多用
あるひとつの事象や物事が、
主人公の立場とヒロインの立場ではまったく違って見える、あるいは違った意味を持つ。
・起承転結のメリハリが利いてる
上のふたつにもかかっていることだけど、全体的にみてもお話に抑揚がある。
前提なり導入なりを描いてから、落とすところはしっかり落とすみたいな。
NTRシナリオの重要な要素のひとつに、意外性ってのがあると思います。
プレイヤーが予想していなかった展開でヒロインが唐突に奪われると、ズキュンとくるアレです
(場合によっては、不意打ちNTRと言い換えられることもあると思います)。
そう考えてみると、上記のような草刈シナリオの特徴はNTRと相性がよいと言えるんじゃないかと。
とくに最近のロープライス帯(同人ゲー含む)は、形式的なNTR作品が増えていますし、
目新しさやちょっとした捻りのある作品は、それだけで好印象です
――本来なら、商業ロープライスや同人は、フルプライスではなかなかできないマニアックなエロや
一発アイデア勝負的な作品が中心であるべきだと思うんだけどね。
ただ、いくらお話の作り方がNTRと相性がよくても、それが必ずしも結果に結びつくとは限らないのが難しいところっすな。
ここでいう結果とは、もちろんNTR的な興奮を覚えられたかどうかってことです。
本作の場合だと、主人公には幼なじみの彼女がいて順調に愛を育んでいます。
ただ、ふたりには共通の悩みがあって、それは主人公の双子の兄が引きこもりだってこと。
双子の兄は半年前に母親が病死したショックから立ち直れず、他者との関わりをほとんど絶っちゃってる感じです。
ふたりは何とかして兄を社会復帰させようと、卒アル写真の撮影係に彼を抜擢します(細かい流れは省略)。
撮影係の仕事を通して兄は徐々に周囲の生徒とも打ち解け始め、主人公の思惑どおり、社会性を取り戻していきます。
しかし、すべてが上手く行き始めたと思った矢先、新たな問題が発生します。
いわゆる学校裏サイトに、主人公とヒロインのニャンニャン写真(顔にモザイク処理がしてある)が流失。
幸い大事になってはいないものの、主人公は誰が盗撮したのか、ということに頭を悩ませ、
また、このサイトの存在をヒロインが知って傷つくことを恐れるのでした。
そして、主人公の様子がおかしいことに気づいたヒロインは、彼にこう言うのでした。
「ごめんなさい……もう気づいてるんだよね、私が他の男と寝たこと……」
気づいてるもなにも、まったく寝耳に水ですよ!?
「他の男と寝た? えっ、えっ……どういうこと??? 俺は裏サイトのことで悩んでただけだけど……」
ってな風に主人公はなるわけですね。
ここまでが導入編。
そのあと、ヒロイン視点や兄の独白で真相が明かされていきます。
導入編であった何気ない出来事のひとつひとつが伏線になっていて、
お話としてはよくできているなぁ、と思います(ロープライスの限られた尺のなかで、と考えればホント頑張ってる)。
ただ、ストーリーに引っ張られすぎて、ヒロインの性格というか人格が大変なことになってしまっています。
要するにキャラクターが主体ではなく、お話のほうが主体になっているってこと。
ヒロインのセリフや行動のすべてが、ストーリーを破綻させないため、
また次のシーンに繋げていくためのものとしか作用していないのです。
だから、全体的な話の流れとしては筋が通っているものの、「えーこの場面でそんなセリフ言わないだろ」とか
「普通だったらまずそんな行動取らないよ」みたいなヒロインの言動がすごい多い。
それじゃあ、ヒロインに魅力を感じられないよ。
断っておくと、股ユルのビッチだとか、おバカキャラとかそーいうんじゃない。
言うならば「こんな女世の中にいねーだろ!」って感じよ。
登場人物の言動に説得力を持たせることって、本当に大切です。
いくらお話がよくてもキャラに説得力がないと、NTR感はめちゃんこ希薄になっちゃいます。
具体的なことを言わせてもらうと、ヒロインに中途半端な貞操観念を持たせたことが失敗だったと思う。
それが原因で、心変わりするシーンで歪みが出てきちゃってる。
このお話で、ヒロインの言動に説得力を持たせるには、もう根っからのビッチ(ナンパされたらホイホイついて行くような)するか、
『それ妻』のヒロイン・ななみみたいに最後まで決して堕ちないキャラにするか、そのどちらかしかなかったと思う
――ビッチとななみタイプは両極端だけど、双方とも立場は一貫しているので、心変わりの描写を挟む必要がない。
誰にでも股を開くヒロインorずっと拒み続けるヒロイン……それはそれで人を選ぶ作品になりそうだけど、
きれいに纏まるとは思う。
本作は企画書やプロットレベルでは、面白いNTR作品だったんだと思う。
だけど実際仕上がった作品は、ツギハギだらけで「ありゃりゃ!?」ってなっちゃってる。
ぱっと見はよさ気に思えても、じつは無理があったってことでしょう。
今後はストーリーありきではなく、キャラやNTRシチュ優先で作品作りをしていただきたい。
もちろんストーリーも大事ですが、NTRエロの観点から見れば最重要ってわけではありません。
極端に言えばそれがクソでも、ヒロインとNTRシチュがよければ余裕で使えるので。
前作の『玲奈の浮気告白』がいい例です。
これは不可逆です。
あー、最後にひとつ。
今回の絵師さん、キャラのお顔は悪くないんだけど身体の描き方が微妙。
恐らく女性の方なのかな? 少女マンガとかでよくあるマッチ棒(または鶏ガラ)体型なんです。
もっと丸みを出さないと、全然エロさを感じられませぬ。
むっちんぷりぷりを所望します。
寝取られ興奮度:1
(※自分がどれくらいドキバクしたかを5段階で評価)