設定はよい。でも……
萌え要素はほとんどなく、エロに至ってはヒロインひとりにつき、一回のみ。それも取って付けたような感じで。
“エロゲー”好きとしては、もうちょっと頑張ってほしかったけれど、最近のシナリオ重視ゲーってのはこんなもんなのかな。
うーむ。
んで、肝心のお話のほうはというと、
『灰羽連盟』とか『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の世界観や雰囲気を現実に持ってきた感じ。
終末的な空気や、どこにも行き着かない停滞感はよく出てると思います。
主人公たちはある日を境にパラレルワールドのようなとこに飛ばされて、
今までいた世界に戻れなくなるわけだけど、そこで直面する様々な問題や事件を乗り越えても結局は救われない。
彼らの背中にはつねに絶望とか退廃、死というようなワードがこびりついていて、希望をことごとく塗り潰していく。
私は敗者の生き様とか、報われることのない人生とかにすごい惹かれるタイプなので、こういう作品は嫌いじゃない。
決してハッピーがないとわかっていても、それでも生き続ける姿ってのに人間味と美しさを感じます。
けれど、残念ながらあんまり引き込まれないんだよなぁ……。
好きなジャンルではあるんだけれど、話に起伏がなくてどうにも盛り上がりに欠けるのです。淡々と進んで淡々と終わっちゃう。
登場人物が基本的に受け身だから、起きた出来事にどう対処するかだけで終わっていて、
せっかくのよい世界設定があまり活かされてないのです。
物語の後半は、世界の謎に挑んだ上での敗北――というような流れだったら、また違った印象を受けたような気がします。