初心者に遊んでほしい気持ちとそうでない気持ちが交錯するモヤモヤ感
だいぶ前からパソコンに入っていてようやく遊ぶ機会を作って一気にクリアしました。
自分にありがちな中だるみもなく、比較的早く終わらせることが出来たのは、紛れもなく作品的には
魅力あふれるものであったということ。
ヒロイン的には、これだったら絶対にハズレがないというような見事なものでした。
キャスティング的にもお見事としか言いようがない。このキャラならこの人というようなきちんとした
確信があって選ばれたといえるような素晴らしいものでした。
キャラクターと声は脱帽レベルで満点。ヒロインや主人公を支える立ち位置のサブキャラクターも満点。
特に双子ちゃん、大人サブキャラは素晴らしすぎてヒロインとしても十分存在感を示せるような
誰もがもったいないと思えるレベル。お母さん的なお姉さん役が遠野そよぎさんなんて当たりしかありえない。
小鳥居さんはどんなキャラでも当たりにしてくれる。むすびさん、恋羽さんも素晴らしく溶け込んでいる。
これが大賞に選ばれたのもこんなバックボーンがついていれば納得せざるを得ない。
自分的にもこれだけ一気に夢中になって読み込めたのも珍しかったような気がします。
とにかくヒロインと素晴らしいサブキャラたちが作っていく世界が心地よすぎる。見た目的にも
声的にも心地よさが一歩抜きん出ている。それなのに
これだけの要素があるのにも関わらず、クリアした人たちはどうにも「良かった」というような
言葉を出してくれない。「良かったんだけど・・」というような話しかない。
全部読んでその理由が理解できたように思います。
まず、今どき作品のとおり「共通ルートが長い」というのは仕方がないことではあるのですが
面白いと思ったのは第6話まで。第7話から何となく暗雲が立ち込めてくる。
ぶっちゃけたところ、共通ルートでヒロイン全員に好かれるフラグを立てるという主旨は他にもある分
十分理解はできるのですが、どうにも後味が悪すぎる。
ゆめみちゃんがどうやって好きな気持ちに昇華したのか。
エレナは一回主人公と別れたのにどうしてあそこまで好きな気持ちが浮き上がってきたのか。
どうもそのへんが曖昧な感じで、好かれているというのは理解が出来るのですがもうちょっと
わかりやすい表現ができなかったのかが惜しかったと思います。
反面、桐葉と逢桜の心情変化はわかりやすくてとても良かった。特に桐葉の自分から主人公を振ったのに
後々創作作品を通じて主人公に徐々に惹かれて自分自身の気持ちと葛藤するところは凄く作品的に
綺麗でした。逢桜の気持ちも同様。ヒロインルートに入るとほんのり自分自身の気持ちが残っている
ことをほのめかして、三角関係になりそうなところですっと身を引くところも不快感もなかった。
そして、「良かったんだけど・・」の肝心なところ。
1,主人公が「ジゴロ」になりきっていない
これだけヒロインに好かれるんだったらもっと好かれる行動を取っても良かったのでは?と。
肝心な所でヒロインへの気持ちに揺れ動かされて、判断に困って優柔不断に走る所、シナリオでも書かれているくらい
「鈍感すぎるところ」そのへんが特に第7話あたりから如実になってきて、読破するのに心を削られてしまいました。
かわいいヒロインに多方面から好かれるからこそ迷う気持ちはわかるとはいえ、ところどころで煮えきらないせいでいろいろとかわいそうな目に遭ったりする状況はさすがに見てていたたまれない。
2,逢桜の境遇が予想しやすすぎた
ちょっと慣れている美しょゲーマーであれば、簡単に次の展開というか、逢桜の秘密が普通に透けて見えてしまう。
ルートに入ると明らかになるところではあるのですが、もうちょっと面白みのある展開にできたんじゃないかなと思ってしまった自分がいる。
おなじあかべぇ系列に「生命のスペア」という作品がありましたが、壮絶に自身の最期まで表現して終わったような結末を見てしまうと、まだまだ表現のしようはあったんじゃないかなと。
難病であるのに「朝までエッチ」もこなしてしまう。エロゲーだからしょうがなくね?なんて思う人は玄人。
あと、普段のキャラクターの立ち絵と本人イラストがちょっと差が大きかった。フルプライスならもうちょっといろいろな絵を見たかった。クリアした後のCG集を見ると、どうにも他の作品と比べて少なく感じるんですよね。
世界観はどっちかというと狭い方ではあるので、さほど画像はいらないのは承知の上なのですが、あそこまで魅力的な環境と魅力的なヒロインがいるのに、もったいない気がします。逢桜が強力すぎた上での弊害がいろいろな方面で出てしまっているせいで、どうにもスッキリと「良かった」と言い切れない自称玄人。
逢桜のアペンドもいろいろと物議をかもすような感じでした。
キレイな形で「実はこうだった」という表現をして一応いい形でのエンドを作りたかった気持ちはわからなくはないのですが、逢桜のルートエンディングでは、誰もが「いなくなった」のを予想していた。
そこをひっくり返してこう持っていくのはいろいろとシナリオ展開難しかったのかなと考えてしまいます。
改めて考えてみると、キャラやイラスト、シナリオ、CVなどは、どこかが飛び抜けていると悪い部分が目立ってしまってそのへんが目立ってしまうというのは、自分が慣れすぎたダメな所ですね。
そういったところで初心者向けな作品ではありますが、シナリオゲーみたいな見た目ですがこれは明らかな
「キャラゲー」です。多少は目をつぶって素晴らしいヒロインとサブキャラに頭をからっぽにして
とろけるのが一番の楽しみ方だと思いました。
・・お金出してもいいから、サブヒロインのルートアペンドを待っている。というか次作それでもいい。
こんなにサブキャラが魅力的すぎる作品はそうそう多くは存在しない。メーカーさん無料であそこまで気前よく
ヒロインアペンド作ってくれたから、それを回収しても構わないからもうちょっとだけ他の子に光を与えてほしい。
あと、Ayumiさんのエンディング曲非常に良かった。予想の遥か斜め上行ってた。
所々に名前があるということは、この人がきっといろいろとキャスティング的なところで尽力していたのでは
ないかなというふうに考えてやまない。もっと盛り上げていい曲と作品提供を頑張ってほしいと思いました。