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EmuGameさんの生命のスペア I was born for youの長文感想

ユーザー
EmuGame
ゲーム
生命のスペア I was born for you
ブランド
あかべぇそふとすりぃ
得点
100
参照数
143

一言コメント

限られた環境の中でこれほど心揺さぶられる作品は稀有

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

泣きゲーの中で結構多く取り上げられることが多く、随分昔から積んでいましたが、
自分が入院することになり、長くプレイする作品を遊ぶことが出来なかったことから、ちょうどいいショート作品に手を付けようということで始めました。

まず、ヒロインとその妹がものすごく魅力的。見た目も素敵でプロポーションも完璧。
あちこちで表情が変化するところも可愛い。第一印象はばっちり。
妹もちんまいキャラでかわいい声で最高にマッチしている。妙に若いお母さんと、がっしり構えた
お父さんという構図もわかりやすくはある。

桜紋病という死に繋がる病にかかり限られた人生をどう消化していくかというところが一番のコンセプト。
ヒロインも感染していて、なおかつ主人公までが感染している。
その病気を直すための心臓を作るために違法行為まで行った上で作られた妹ちゃん。

もちろん年頃の娘まで育っているので個々人の意志を持っているため最初からずっと妹姉との間は
意見がぶつかり合う。妹は姉に心臓を与えて桜紋秒を直すために生を受けた。
その堅牢な意志はどうにもこうにも簡単には動かない。重ねて父母が妹までちゃんと娘として
愛情を注がれて育っている。結論は、姉が自分の病に向き合って、自分が未練の残らないように最後の
命を散らすことのみ。そして主人公との出会い。

仮恋人から始まった縁は、そう簡単には受け入れられないままでしたが、たくさんのイベントやハプニング
発作に立ち向かう双方の姿を見て偽りのない愛情に育っていきます。

とかく、主人公とヒロインとの間の掛け合い、最後の最後の切ないエンディング。
こんなに泣きシーンが多く心を激しく揺さぶられる作品はホワイトアルバム以来です。

ホラーというか、悲しい物語に感情を持っていかれる人には向きません。
ある程度の覚悟を持って取り組む必要があるということだけは言っておきます。

やっぱり、名作には名優あり。
橘まおさんと、花澤さくらさんの演技力には圧倒させられました。
この人たちの熱演がひときわ世界観をわかりやすく切なくきれいに仕上げた。

泣きゲーの中では自分の中ではトップクラスに良かったと断言できます。
ここまで今年感情が揺さぶられたものは今のところ一番です。
覚悟がいりますが、是非泣きゲー好きな方には体験してほしい超名作です。