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ERSRさんのヤミと祝祭のサンクチュアリの長文感想

ユーザー
ERSR
ゲーム
ヤミと祝祭のサンクチュアリ
ブランド
あざらしそふと零
得点
62
参照数
550

一言コメント

森林など美麗な背景画、CVの良さ、プロットの良さといった美点を徹底して踏みにじる粗悪なシナリオにため息が漏れる凡作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

怪異やバトル、財閥のお嬢様、孤島の学園といった
プロットをがちりばめられ、ぱっと見は面白そうに見えるが、
どうにもそれらの要素うまく絡み合っていない。

全体的にスリルに欠けるため、怪異や特殊能力、主人公の体術が
安っぽく、つまらないマンガを読まされている気分になってしまう。

盗聴器の下りなどは面白かったものの、ミステリー要素は続かずに
安いバトル展開になり、安い伝奇風の展開になり…そのまま終了。

シナリオがつながっていないことによる消化不良感も多い。
例えば課外授業に多くのテキストを割いたのに、
その理由が数行で解説されるだけで終わっていたり。

会長については言霊使いの人魚という突飛すぎるプロットに加え、
動機についての説得力が無さすぎるため、
読者が置いてけぼりになってしまう。
会長自体は良いキャラなのに、描写不足が非常にもったいない。

人間の暗部や、厚みを持ったキャラを描けないから内容が薄っぺらい
というのはこのライターの平常運転だが、
特に今作はテーマ的なものが伝わって来なかった。

良い点については、まずCV。
クローデットの「外国の人が流暢な日本語を話している感」は本物だし
ユーリエについては歩サラの声の良さに加え
「日本文化に興味津々で少し勘違いしてる感」もかなりいい感じ。

また、美麗な背景画のおかげで全体的に開放感が出ており
普通の学園物的な閉塞感はあまり感じなかった。

そういった長所をことごとく消し去る
不自由な説明セリフの多さと、シナリオの求心力の低さ。

暇つぶしって、最低限、面白くないとダメなんだよね
という事実を再認識させてくれる凡作。