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ERSRさんのセミラミスの天秤の長文感想

ユーザー
ERSR
ゲーム
セミラミスの天秤
ブランド
キャラメルBOX
得点
76
参照数
342

一言コメント

爆乳幼馴染に営業研修を行ったりする打算的サイコパス(桐谷華)に翻弄されたい人向けの珍品だが、捻りのあるBADENDに苦味のスパイスが効いており、愛生BAD「幻惑の果て」や映瑠BAD「倫理の鉄槌」の味わいはなかなか。全体的に粗削りで、テーマに対して振れ幅が少ないオールドスクールな作りで価値を損なっている残念な作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想


シナリオを優先させるため、主人公を
いわゆる口だけ野郎で行動力に乏しい人間に
してしまっているのがまず失敗。

読んでいて爽快感が無いし、
肝心のテキストがクドいのも厳しい。

打算VS正義というテーマはブレブレで
サッカー部の輪姦事件のリアリティなど
薄いと言わざるを得ないだろう。

舞台の変化に乏しく、9割方学校というのがつまらない。
全キャラほぼ制服1枚しか着せて貰えず
愛生が自宅で常にシャツ1枚というのも違和感丸出し。

作品全体を通して原画の画力不足が大きく
足を引っ張っているのも明確な欠点。
怒りや悲しみに歪む表情を描けず、常に同じ表情
というのが声優の演技に追い付いていない感じ。

BGMは良いが、OP・ED曲は酷い。
挿入歌はまあまあ良い出来。
せっかくの独自性であるタロットカードのシーンが
1箇所しかないのも非常にもったいないと感じた。

キャラの人間性の描き方の幅が乏しかったりと
全体的にオールドスクールな作りが
評価を下げている本作だが、サブライター担当分では
芙美香ルートが人間ドラマとしては良かったし、
プロットも巧いと感じた。

嵩夜あや氏なので最低限の安定感はあるものの
総評としては粗削りで残念な作品。