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ERSRさんの花嫁と魔王 ~王室のハーレムは下克上~の長文感想

ユーザー
ERSR
ゲーム
花嫁と魔王 ~王室のハーレムは下克上~
ブランド
Escu:de
得点
76
参照数
867

一言コメント

異世界ファンタジー物の優れたシナリオに、執念のように延々と立ちふさがるゲームシステムが酷い作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本質は純然たるシナリオゲー+イチャラブゲー。
でも、さすがに設計が異常過ぎるんではないかと。
シナリオが良い異世界ファンタジー物に、不必要なバトルパートが延々と絡みつき
プレイする気をとことん削いでくれる。

そのバトルパートってのは何かと言うと、
①王位継承戦
といって4人のヒロインが主人公・魔王の花嫁候補となって争うんだけど
これが個別ルートに入っても普通に続く。これは必要ない。

②シナリオ上、敵キャラと戦う。
これはスパイスとしてアリだと思うし、まだ分かる。

③クエストを受注し、敵モンスターと戦ってスキルを覚えたりする。
これも取捨選択できるし、これ自体は良いと思う。

問題なのは、2週目以降、要は2人目のヒロインルートに入りたいなと思って
プレイしていくわけだけど、長めの共通パートの中で①・②・③を
繰り返さなくてはならない点。

結局、ヒロイン毎に得意な魔法の属性(4人=4属性)が違うわけで、
③を怠ってスキルを取らないでいると、②で詰む可能性があると。
おまけにその間も①は延々と続き、ここで敗北すると
お目当てのヒロインから外されてしまう。

そのため、シナリオを読み進めるためには①~③を延々とこなさなくてはならない。
なんという苦行、時間の無駄。というシステムになっている。
3周目あたりからはある程度楽になるけど、それでもかなり面倒かな。

そのバトルの(ほぼ不必要と思える)脱衣にしろ、
どうも「ソフト屋が技術を見せびらかしたい」って感じを受けてしまう。
それが残念だし、さすがに意識が古いと言わざるを得ないかなと。

良かった点としては、シナリオとTOY氏のBGM。
シナリオ的にはニア>セリカ=ルシエラ>十子という感じだけど
どれも筋が通っており、特にニアルートには涙腺が緩むシーンもあった。
家族や成長、信頼関係というテーマに
異世界、貴族というプロットを巧く絡めて成功していると思う。

細かい不満を言うと、重要なサブキャラに立ち絵が無かったり
ニアのキャラ付けでいまどき「にゃ~」はキツいだろう、とか
あることはあるけど、そこは許容範囲かなと。
まあ、ユーシスが悪役として便利に出過ぎだろうというのはあるかも。

イチャラブに関しては十子>セリカ>ルシエラという感じで
まぁどれもキャッキャウフフな世界です。
十子のポエムからの作家デビューは面白かった。

というわけで、シナリオ・イチャラブ目当てであれば十分良い出来だけど、
たどり着くまでのゲームシステムが…という、ライターさんが報われない作品。