異世界ファンタジー物の優れたシナリオに、執念のように延々と立ちふさがるゲームシステムが酷い作品。
本質は純然たるシナリオゲー+イチャラブゲー。
でも、さすがに設計が異常過ぎるんではないかと。
シナリオが良い異世界ファンタジー物に、不必要なバトルパートが延々と絡みつき
プレイする気をとことん削いでくれる。
そのバトルパートってのは何かと言うと、
①王位継承戦
といって4人のヒロインが主人公・魔王の花嫁候補となって争うんだけど
これが個別ルートに入っても普通に続く。これは必要ない。
②シナリオ上、敵キャラと戦う。
これはスパイスとしてアリだと思うし、まだ分かる。
③クエストを受注し、敵モンスターと戦ってスキルを覚えたりする。
これも取捨選択できるし、これ自体は良いと思う。
問題なのは、2週目以降、要は2人目のヒロインルートに入りたいなと思って
プレイしていくわけだけど、長めの共通パートの中で①・②・③を
繰り返さなくてはならない点。
結局、ヒロイン毎に得意な魔法の属性(4人=4属性)が違うわけで、
③を怠ってスキルを取らないでいると、②で詰む可能性があると。
おまけにその間も①は延々と続き、ここで敗北すると
お目当てのヒロインから外されてしまう。
そのため、シナリオを読み進めるためには①~③を延々とこなさなくてはならない。
なんという苦行、時間の無駄。というシステムになっている。
3周目あたりからはある程度楽になるけど、それでもかなり面倒かな。
そのバトルの(ほぼ不必要と思える)脱衣にしろ、
どうも「ソフト屋が技術を見せびらかしたい」って感じを受けてしまう。
それが残念だし、さすがに意識が古いと言わざるを得ないかなと。
良かった点としては、シナリオとTOY氏のBGM。
シナリオ的にはニア>セリカ=ルシエラ>十子という感じだけど
どれも筋が通っており、特にニアルートには涙腺が緩むシーンもあった。
家族や成長、信頼関係というテーマに
異世界、貴族というプロットを巧く絡めて成功していると思う。
細かい不満を言うと、重要なサブキャラに立ち絵が無かったり
ニアのキャラ付けでいまどき「にゃ~」はキツいだろう、とか
あることはあるけど、そこは許容範囲かなと。
まあ、ユーシスが悪役として便利に出過ぎだろうというのはあるかも。
イチャラブに関しては十子>セリカ>ルシエラという感じで
まぁどれもキャッキャウフフな世界です。
十子のポエムからの作家デビューは面白かった。
というわけで、シナリオ・イチャラブ目当てであれば十分良い出来だけど、
たどり着くまでのゲームシステムが…という、ライターさんが報われない作品。