萌えゲー的な居心地の悪さを排除した優れた日常キャラゲー
心地良いBGM、
フキダシ型の読みやすいメッセージウィンドウ、
とても自然な会話でクスッと出来る楽しさ、
突飛な設定を日常に溶け込ませる丁寧さが素晴らしい。
ひと昔前のマンガとかアニメの丁寧さを、良質なUIのPCゲーにした感じだろうか。
アニメ化しないの?とか思ったりした。
確かに開始30分くらいは退屈に思えるかもしれないが、
慣れてくると本当に心地良い空気感になる。
「萌えさせよう」「笑わせよう」「驚かせよう」
といったライターの意図を感じさせない空気と言えばいいのかな。
「ああ、そういう設定なのね、じゃあそれで楽しむか」という
プレイヤーのエクスキューズが一段階、要らない感じ。
そう考えると「無意識にプレイヤーへの無理強い」を要求する作品の
なんと多いことか。
竹井10日の「ひまわりのチャペルできみと」ほど爆笑はしないが、
間違いなく同じ系統のキャラゲー。
2部の話は意見や世界観の相違、主人公の取り合いによる口論。
それだけキャラクターが生きているということだと思う。
悪とは
「人がそうしたいと思うのとは違うやり方で
人がそうなりたいと思うことを実現すること」
要は少しひねくれてるだけ。照れ隠しだと思う。
家事全般、勉強をきちんとやる主人公の個性。
合わせて、比喩的にこの作品のことも指していると思われる。
ループひとつとってもかなり独特な設定だし、
お金持ちの上級生、ツンデレ幼馴染、天才の妹と
手垢の付きまくった設定のキャラクターが新鮮に感じられるのはなぜか。
日常を普通に描くこと、
キャラクターを無駄にカリカチュアライズせずにそこそこ人間的に描くこと。
例えば吹き矢を作ってるとか、普通に考えたら異常だけど彼女ならあり得るよね、
と自然に思わせることが出来る力量のキャラ造形。
美麗な絵、高品質なCVと合わせて
萌えゲー的な気持ち悪さ・居心地の悪さを排除した
ごく正統派なキャラゲーの傑作。