「調教物」と書いてあるのれんをくぐった。えっ?あれ?そこには王城、反乱軍、クレイモアといった言葉が舞う硬質なファンタジーの世界が…良質なBGMに、ミニマムだからこそ光る部分のあるテキスト。フルプライスでシナリオゲーとして楽しみたかった、と思える作品だった。
全3部構成。
「河原崎家の一族2」など過去の名作をヒントにしたのだろう、
同じ輪郭のストーリーを3周することで、徐々に明かされなかった謎が明らかになる仕様。
1週目は、単なる凌辱調教物。正直面白くはない。
2週目は、主人公サリオンによるクーデターが成功する展開。
3周目は2週目の要素に加え、ついにナオ=シルヴァーブレイズ=ハイランドの正体と
過去のサリオンとの関係が明らかになり、アイシャENDとナオENDが選択可能に。
この作品の良かった点として、2週目以降の予想の付かない展開と
アイシャENDとナオEND、どちらも読後感が良く
サリオンの成長物語という王道かつ、納得の行く展開を楽しめる点が挙げられる。
クレイモアを長刀と書くのは疑問だが、その辺は許容範囲かな…と。
あとはもう少しシナリオを練り、3部構成を物語にうまく組み込めていれば、
さらに完成度は上がっていただろう。
作品としては、1週目こそがただのIF展開だったというのが面白い。
企画と内容のミスマッチ(?)とも思ってしまったが、
フルプライスでシナリオゲーとして楽しみたかった、と思える内容であり
楽しめた作品だった。