前作のハーレムルートのその後の世界線である点、本作は紛うことなき抜きゲーである点を念頭に置いてのプレイを推奨したいです。
美少女ゲームの基本的なFDは各々のルートを分離させて、各ヒロインのルートのその後が描かれる事が多いですが、本作に至っては前作のハーレムルートのその後の世界線という設定になっています。
ハーレムルートがTrue扱いになっているのはあまり類を見ませんが、そこは全ての妹を平等に愛するお兄ちゃんと妹達ならではの価値観といったところでしょうか。
シナリオのおおよその流れは前作と遜色ない為「わざわざ前作と分ける必要があったのだろうか」、「焼き直し感が否めず、本作ならではの強みが乏しい」といったネガティブな感想が浮かんでくると同時に、個人的には前作のマイナス点であるシナリオ上の恋愛観の葛藤描写とその終着点、キスの選択肢によるテンポの悪さ、冗長さは改善されており、"頭をからっぽにして妹とエッチな事をしながらいちゃらぶしたい"という目的を重視するならば本作の方がより高い水準に仕上がっていると感じました。
シナリオの結末は結構ルート毎にムラがありましたが、あさひルートの鑑定士、骨董品要素を絡めながら妹全員に指輪をプレゼントしたり、さやルートの大好きな母のように仲睦まじい一男四女の家庭を築きたいという願望を抱く流れはなかなか綺麗な締め方だったかなと。
一部シナリオにおいては前作よりも好みだったかもしれません。
しかしながらハーレムルートの延長線であることの弊害として、エッチシーンが前作以上にマニアックなものになっており、そのプレイのアブノーマルさ故に抜きゲーとしての需要を個人的には満たせていないように感じました。
端的に言うとフェチ感が強すぎて好みから外れました。
他にもハーレム後という事で日常シーンから兄と妹達、テキストから隠語が頻繁に飛び交うのがちょっとキツかった点、前作好印象だったヒロインのまひるが今作では淫乱化し、解釈不一致なレベルまで上り詰めていた点等、よりマニア向けな構成となるFD作品である点を留意しても尚、作品全体の性描写が盛り上がりすぎていて結構置いてけぼりな気持ちになりました。
前作も楽しむためには兄になりきれるくらい妹に対する強い想いが必要だと自分の中では結論付けましたが、本作も前作と同じかそれ以上に強い妹愛が求められる個人差の強い作品だと思いました。
点数はシナリオや選択肢の簡略化等加味すると前作と僅差、もしくは僅かに上回る評価ですが、肝心のエッチシーンがややアブノーマルで前作よりも刺さらなった点、総プレイ時間が5~6時間程度なのにミドルプライスは割高だと感じたので前作よりもやや低めの点数となりました。