優秀な妹ゲーには違いないんですが、自分には合わないと感じた部分もありました。楽しむためには"兄となる覚悟"が必要かも
先日プレイした原画とライターが同じの別作品が個人的に好印象だったので、過去作に当たる本作も興味を持っていた為この機会にプレイ。
妹の可愛さが存分に感じられる内容と、抜きに力を入れた構成とで、妹好きには間違いがない......ように思いますが、"妹属性が好み"な自分には合わなかった部分もあったのでざっとまとめます。
まずは良かった点から
・原画が良い。
→立ち絵もキャラデザも抜群に可愛らしく、それでいながら妹好きであれば性の対象としても意識できるような所謂膨らみかけの成熟度が絶妙に描かれていたなと。
・フェチ心をくすぐるCG。
→エッチシーンだけでなく、通常CGにも緩めの服の隙間からチラリと見える下着や局部が絶妙に劣情を煽ってきてよかったです。
・声優の演技。
どのキャラも違和感はあまりなかったと思います。
鶴屋春人さん演じるまひるの声が非常に聴き心地が良かったのと、鈴谷まやさん(さや)のロリ妹役が初めてだった事もあり、演技の幅に驚かされました。
・キスに重きを置いた構成。
→選択肢をキスにするという大胆な構成により、キスの後の妹のリアクションやエッチシーンにふんだんに組み込まれたキスシーンには拘りが感じられて良かったですね。
不満だった点(気になった点)
・ギャグが弱い。
→クスリとでも笑えたシーンがほぼ無かったので進めるのがちょっとしんどかったですね。
・キスに重きを置いた構成。
→拘りが感じられて好印象な反面、テンポの悪さやリアクションがワンパターンな印象も同時に感じられます。
また、家族としての親愛の証として何度もキスをする為、キスの有難みが薄れてしまっているのは個人的には大きな問題点。
・妹と兄の恋愛観。
→シナリオが進むにつれ、一部ヒロインは恋愛の対象として兄を意識するシーンがありその葛藤に苦しむ事になるのですが、本作のルートには恋人として付き合うルートは存在せず、あくまで兄妹間の愛情として片付けられてしまいます。
家族として好きで、異性としても好きで性の対象として見るけれど、でも兄妹として好きだからそこに恋愛感情は無く、だからハーレムも許容するという個人的にはちょっとモヤっとする展開。
「なるほど、これが"抜きゲー"なのか」と、思いました。
ですので本作は恋愛ゲームという括りは逸脱しているように思います、家族愛と恋愛は共存しないという描写をされた訳ですから。
しかしながら本作を抜きゲーとして見てしまうと、一部ヒロインの恋愛観での葛藤や、兄とのすれ違い、ギクシャクする謂わばシリアスパートが今度はノイズに感じてしまうんですよね。
そういった意味で本作特に良かったヒロインとシナリオは一貫して楽しい日々を過ごし、真っ直ぐ想いを伝えてくれた"さや"と、献身的で世話焼きで自身は甘え下手、常に(気まずくなっても逃げずに)兄を支え、癒される日々を与えてくれた"まひる"でした。
この二人は主人公との衝突といったヒロインの魅力を損なうようなネガティブな展開がほぼほぼなく、シナリオ上の申し訳程度のシリアスのヘイトもモブが買ってくれたのでストレスフリーで楽しめました。
・魅力はあるが魅力の感じられない妹ヒロイン達。
→個人的に最も重く見ている問題点。
キャラとしての可愛さは感じられるのですが、基本的な非抜きゲーの美少女ゲームのようなヒロインとの出会い→様々な側面を垣間見→やがて強い絆で結ばれるという王道である意味必須級の段階を踏んだ恋愛のステップは完全な妹ゲーである本作には存在せず、最初から好感度が振り切れている妹とひたすらいちゃいちゃ過ごすのが基本的な流れです。(一部ルートには軽いシリアスもありますが)
要は共通を30分程度プレイすれば妹達のキャラクター性やシナリオの流れといった、本作の全容がおおよそ理解できてしまうんですよね。
何ていえばいいんでしょうね、開幕からいきなりFD作品でもプレイしているような、既に完結してしまっているような心境とでも言いましょうか。
本作の主人公であるお兄ちゃんは妹達を世界で一番愛し、妹のありとあらゆる面を知っていますが、プレイヤーである自分はそんなことはありません。
そこに凄く温度差を感じてしまいました。
ヒロインのキャラクター性は伝わりますが、もっと深いヒロインのバックボーンであったり、これまでに至る兄との関係性が深堀りされる事はほぼ無かったので、シナリオを読み進めてもツンデレや天真爛漫等キャラ付けとしての浅い内面しか見えてこない為、プレイヤー目線では兄と異なり"可愛い"以外のヒロインの内面的な魅力を見出す事がなかなかできないんです。
好きなヒロインの属性の1つとして妹が入る自分ですら、本作のやよいはヒロインとしての魅力以前に面倒な性格が気になってしまってツンデレ属性にもあざとさを感じてしまいましたし、あさひのシリアスパートも面倒に感じてしまいました。
これはシナリオを通してヒロインの魅力を感じるよりもマイナス面の方が強く印象付いてしまった為に生じたのだろうと思っています。
兄になりきれる強い想い.....妹愛があればその辺りも寛容になり本作も神ゲーに昇華されるのでしょうが、自分はそのレベルには至れませんでした。
点数は個人的高評価のボーダーである75点か74点かで悩みましたが、妹の可愛さが伝わるCG、拘りと愛の感じられる豊富なエッチシーンと、抜きゲーとしては秀でたものを感じたので暫定ではありますが75点としました。
総評としては、可愛らしい原画とフェチ心くすぐるCGにより、妹好きの需要は満たせるかもしれませんが、「妹属性のヒロインが好みだからプレイしてみようかな」程度の生半可な気持ちでは合わない可能性があります。
「俺は兄としてこの妹達を愛して愛でるんだうおおおおおおおおおおおおお!!」くらいの強い心意気と妹愛がある方には是非ともオススメしたいです。