セックスじゃないエッチなシーンの使い方がうまい・あと文章力が高い
セックスじゃないエッチなシーンの使い方がうまいと思いました。
氷室先輩のとこは本人の性格説明になってたし、
羽矢のは違和感を覚えつつも「はいはい、サービスシーンね」って思ってたら、
その心理を突かれてやられた!って感じでした。
天童さんはヒロインレースを考えると能力がチートだし、義姉と性格が被るとか強すぎる。
ただ、思ったより計算高くてしっかりしてるとこが良かったですね。
ほわほわしてるだけじゃなかった。
個人的には羽矢ちゃんに好感を持ちましたが。声の演技が面白い。
氷室先輩は危うすぎて卒業後が心がまた壊れそうで怖いんですけど……。
それだけにセックスシーンの導入が違和感ありまくりなのがもったいない。
氷室先輩のはASDの人にまれにあるやつだからわからないでもないけど、
悪意のある彼くんに会ったら、悲惨なことになるやつじゃん。
ミステリとしては文章がわかりやすくプロットも整理されているせいか、
私でも謎を解く感覚がわかって心地いいですね。
むしろ、登場人物の心理に焦点が当てられていて、そこがミステリの核心ですね。
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余談:
【重箱の隅】
・ライターさん文章力高いですね。スッと読ませるし、プロットのよく整理されてます。
バタフライ・シーカーというタイトルに色々意味をもたせたり、筆力が本当に高い。
ただ、語彙力高いのもわかるんですが、少し難しい言葉を使いすぎかも。
「喪神(そうしん:気絶。」「絡婦人(じょろうぐも)」とか京極夏彦読者じゃなければ読めない気が……。
また「喪神の闇の狭間に沈む」という表現が何回か出てきますが、言い換えて、
「(心神喪失・気絶)の闇の狭間に」とすると個人的にはしっくりこない表現だなぁと思ってしまいました。
「却って」とか助詞系のワードもひらいていいんじゃないかな、と思いました。
完全におせっかいですが。
・また、ミステリものを結構手掛けてる方なのに一部だけ警察組織への造形が浅いような気がしました。
知識はあるんだけど根本にある組織原理とかを理解していない感じ。
冒頭の刑事は拙速を尊ぶ的なことを言いましたが、基本、警察の捜査は地道に事実を積み重ねるものですし、
実際、他の描写ではそのようなことも言われます。
警察の行動原理に矛盾が見られるので警察に詳しくなくても混乱する人がいるかも。
あと次男以外エリート的な記載もありますが、長男はまったく当てはまらないでしょう。
キャリアならヒラの看守(刑務官)にならないし、
正直、キャリア組で刑務官になる人はかなりの傍流だと思いますし。
そういう知識がなくても「看守ってエリートなの?」って思った人多そう。
ただ、ここらあたりは本当に重箱の隅をつつくもので、基本的な描写は説得力もあり、
わかりやすいです。また、赤色だけが見える事に関するテクニカルタームも
ググっただけでは出てこないので、いろんな方面への知識があるんだなと尊敬しました。
【透子さん】
・本当に妄想に囚われてただけだったってオチが結構好きです。
真実がくだらないからこそ透子さんの悲劇性が増すというか。
【黒幕】
・作中では心を殺したなんて言われてますが、お父さんの方は結構救われた気がします。
やべー奥さんと子供に囲まれた日常見てみたかったw
・子どもたちは最後の描写があっさりしすぎてちょっと不満。
てっきり蝶の特性を知って意図的にシリアルキラー生み出してるのかと思ってて、
最後は自分たちが蝶に飲まれて悲惨な結末をたどる……とかを妄想してたら、一発殴られただけかよ!
羽矢ちゃんじゃないけど、おさまらねー!ってなりました