在りし日の楽園を思い起こさせる、笑いあり涙ありの学園生活。モロ青春って感じ?
<概要>
生徒数が減少していた高校は、ついに新しい第二校舎との統合となり古い第一校舎は廃校という運びとなった。
それと時を同じくして親友の転校が明らかとなり、色々な意味で最後となる今年、
最高の思い出作りをする為に夏限定の部活がスタートした。
<世界観>
現代日本。
<シナリオ>
気の合う仲間達と繰り広げられる、楽しくも切ない学園ラブコメディ。
一部の清々しい馬鹿のテンションの高さに周りが乗せられて和気藹々と部活を楽しむ姿は、
学園生活という在りし日の楽園を(色々な意味で)涙が出るほど楽しませてくれる。
現時点ではオールクリアしてしまっているが、今でもたまにカード一枚二枚めくってみたくなる雰囲気の良さがある。
<グラフィック>
かなりクウォリティの高い原画。
塗りも素晴らしく、特に不満な点は見受けられなかった。
最初私は絵買いだったが、予想を大幅に上回るシナリオの良さに嬉しい誤算だった。
良いシナリオに良いCGが上乗せされ、自分の中では名作級と言える。
<キャラクター>
ヒロインそれぞれキャラが立っていて、不快に思うキャラは一人もいなかった。
学生ならではの青臭い無鉄砲さがありながらも、それを不快に思わせないキャラ設定。
ほどほどに我の強いキャラ達が互いに会話をつむいでゆき、
それが部活動として良い雰囲気を作っていく様が心地良く、読んでいて楽しみつつも癒される。
一言でまとめるとシゲオ最高。
<システム>
前半の共通ルートはカード選択型のオムニバス形式。
選ぶカードによって内容の違うシナリオが楽しめ、その中での選択で個別ルートへ分岐する。
前半の選択からルートが自動選択され、後半の個別ルートに入ってからは一本道となる。
<サウンド>
耳に心地良い日常の曲から悲しく切ない曲まで、とても良くできたBGM。
不満な点はありませんでした。
<ヴォイス>
各キャラの気性に良くはまった良い配役で、声優さんの演技も申し分なく
楽しくも切ないシナリオにベストマッチしていて、物語に感情移入できました。
<総評>
ほとりルートのクウォリティが突出しているので、他のヒロインルートが軽く見られがちだが、他のルートも悪くはない。
学生ならではの友情と愛情を描いた物語は感動できるし後味も良いので安心していい。
それに学園生活を全力で謳歌するキャラクター達が作り出す雰囲気がとても楽しい。
自分もこんな学園生活を送りたかった。主人公が羨ましくて仕方がない。
ADV形式のソフトは共通ルートが一本道のゲームが多く、
一回プレイしたら次からは共通ルートはスキップで飛ばされる事が多いと思うが、
ナツメグは共通ルートもユーザーの自由に組み換えられるので、その点が優秀だったと思う。
それに、物語のテンションが高めで話にも嫌味が無く、
なにより、カードひとつひとつの物語の長さがほどよいので、プレイしていてダレない所も評価できる。
ただ唯一頂けない所が、プレイするには起動ディスクが必要である点。
会話が面白く雰囲気が良いので、今でもたまにプレイしたくなる事があるのだが、
いちいちディスク引っ張り出さないとプレイできない為、気軽に楽しめない。
今時起動ディスクをコピーガードに使うなんて時代遅れも甚だしい。
はっきり言って無意味。プレイに邪魔なだけなので、起動ディスク制は廃止すべきだと思う。
<≪プレイ前の諸注意≫>
注意点が二つ。
まず、パッチがあるのでプレイ前に必ず充てる事。
BGM管理にバグがあるのと、セーブデータに影響を及ぼすらしいので、プレイ前必須。
次に必須プレイ順があります。
他のレビュアーも書いているので今更ですが、重要な事なので一応書いておかないと。
「ほとりルートは最後に。」
プレイ前は他のレビュアーがほとり最後ほとり最後と連呼しているのが不思議だったが
プレイしてみるとなるほど、これはほとり最後だなと納得した。(もちろんほとり最後でプレイした)
ほとり以外は順不同で構いませんが、必ず一番最後はほとりで。
この順番を守らないと色々な意味で後悔すると思う。
<編集後記>
このゲームの成功はシゲオの功績がかなり大きい。
もちろんヒロイン達もそれぞれに素晴らしい少女達だったが、
今まで色々なゲームをプレイしてきたが、シゲオほど素晴らしい脇役は見たことが無い。
ナツメグの半分はシゲオでできていると言っても過言ではない。(バファリンっぽく)
最初はウザイイケメンキャラかと思って警戒していたが、開始3分で杞憂と分かった。
それからはもう楽しくて楽しくて何度か飲み物吹いたよ。ビバニアミスとかお星様とかもうね。
共通ルートを何度プレイしても飽きなかったのはシゲオの功績だと断言していい。
やっぱりADVゲーには優秀な脇役って絶対必要だよね。