隙を全く感じさせない作品
先ずネタバレのあまりない範囲で軽く全体的な感想を述べますが、シナリオ,作画,音楽,キャラ,声優どれをとっても一流の素晴らしい作品でした。特にゲーム後半は伏線を回収しながら感動的なシーンが多かったのでCGの力も相俟って終始鳥肌が立ちながら泣いてしまっていました。
ここからはネタバレも含みつつ自分の解釈を書いていきます。
CASE1
下層に堕ちた自分と父を見捨てていった母親を追い求めて世凪と向き合ってくれない父を見て世凪が父にとって自分の存在が邪魔である思い、孤独を感じていた。そこに海斗が来て初めて自分と向き合ってくれて彼に惹かれていって嬉しい気持ちだったが、自分も父と同じ様に自分の記憶を覚えていられない状態にいつかなり、海斗の生活を壊してしまったり自分と同じ思いを海斗にさせることを恐れて海斗にそれを打ち明ける勇気が出てこずに別れようとした。大まかにこのようなことが反映された物語だったと思います。秋房が不幸の境地に向かっていると知りながら生きていくのは死を超える苦痛であると思い自死を選択したのは世凪の父が自分の記憶が次第に失われていく、つまり自分が自分であることを許されなくなっていく状況下において生きていく意味はあるのだろうかということとCASE0終盤で世凪が自分の自我が後少ししか保てないことを理解して、世凪が世凪であることを終える瞬間を自分で選んだこと,有島が自死を決断しながらも凛のメールによって死にきれれなかったのは遊馬が世凪を攫った後、海斗は深く絶望して死んでも構わないと思っていたにも関わらず本能的に食料に手が伸びてしまって何とか生きながらえて、世凪の思考空間の中で世凪の自我が微かに残っているという一縷の希望が見えたこと,凛が子供をおろせなかったのは世凪が自分を生んだ母親が自分を捨てた母親と同じことしてしまうのは避けたいこと,凛が秋房のことを高みにいるとは思えないと考えたのは自分たちを捨てて中層に残った母親が求め続けていた中層の暮らしがそんなに大切なものだとは思えなかったことがそれぞれ対応してると推測します。
CASE2
世凪の自我がいつか保てなくなり別れの時がくると分かっていながらも、それを海斗が受け入れその時が来るまで幸せに生きると決めた2人。そして、海斗の研究が実ればもしかしたら世凪と別れずに済むかもしれないという微かに感じる希望。そんなお話でした。オリヴィアが非処女だったのは研究に世凪の体を使われていること,マーロウが警吏にオリヴィアが女性であることを密告して一座を捕まえた後にオリヴィアが自分の身をスペンサーに差し出すことによって劇団の皆を解放したことは遊馬が世凪を攫い好き勝手に弄んだこととその後に世凪が自らを生贄にして世界になることにより街に住んでいた人わ救うこと,宮廷で演劇をしても結局オリヴィアとウィルが泣かないで笑って別れようと言いつつ別れたことは海斗が世凪を救うために3つの夢を見せても救えなかったことと世凪が世界になる前に泣きながら無理やり笑顔を作って最後の別れを迎えようとしたことが各々対応してると思います。後は自信はあまりないのですが、エドが処刑されるのをただ茫然と待っているしかなかったのは海斗の母が基礎欲求欠乏症により段々と死に近づいていくのを待つしかなかったこと,エリザベス1世が宗教的なことに対してはどうすることもできないと自らの無力感を示したのは海斗が世凪を使った研究を止められなかったことに対する無力感と世凪の唯自分が消えていくのを待っているしかなかったことに対する無力感と遊馬の基礎欲求欠乏症に対する無力感など様々な人の無力感が反映されているのではないかと思いました。
CASE3
CASE3も対応している事物はあると推測していますが、殆どそのままな気がするので短めに書きます。
海斗の母が死んでからの世凪と海斗の幸せな生活。しかし、世凪はそんな楽日々にもいつか別れが来ることを知っている。そんな下層でのささやかで儚い幸せが描かれたお話でした。ハチマルを直したのは壊された出雲を直して家族として世凪たちと過ごしたことが反映されてるのかなと思いました。
CASE0
最初に細かいところから書くと、海斗の母が世凪が来てから比較的早く弱っていき死んだのは世凪になら海斗を安心して任せることができると思ってしまい今まで海斗のために生きていなくてはならないという思いがあったのが薄れていき、最終的に世凪が海斗を引き受けると発言したから,シャチがオゾンレンズの上で死んだのは恐らく全能感に包まれて基礎欲求欠乏症になってしまったからなのではないかと思います。
最後に仮想空間上に現れた世凪については、海斗が仮想空間の住民たちに対して彼らを救うために世界となった少女がいると語り続けたことにより仮想空間の住民の殆どが世凪を認識しこの仮想空間上に顕現させたいと強く願ったから出現したのではないかと思います。そしてその世凪が確かに世凪たりえたのは海斗が持つ絶対的な記憶力により世凪の全てを細部まで描写することができたことと世凪が現れた仮想空間は世凪の脳であるため例えその領域が小さくなっていたとしても微かに世凪の自我が恐らく残っていたことが理由ではないでしょうか。CASE0終了時点では確かに基礎欲求欠乏症と世凪の脳に蓄積されたβアミロイドの根本的解決はしていませんが、仮想空間の終了は元々の世凪の寿命と一致する点と仮想空間の中では住民が世凪のことを認識し続ける限り世凪は世凪として存在し続ける点と仮想空間の中では下層で暮らしていた時のようにささやかな幸せを楽しめる生活が送れるであろう点を考慮して海斗と世凪のことだけを考えればhappy endに近いと思いました。人類全体の視点で見るとこれから問題が解決するかもしれないししないかもしれないのでどっちとも言えないがこの時点では長いトンネルの中にいてそのトンネルに終わりがあるのかどうかはわからないといったところでしょうか。
最後に好きなもの等を纏めておきます。
キャラデザと性格的には凛が1番好きでした。儚い美しさを持つ少女という感じがして外角いっぱいの直球をjust lookin'.オリヴィアも勝気で高飛車なところがあるのに時折見せる弱さがあったのでかなり好きです。すももは正直そんなに刺さりはしなかったのですけど元気なところは好きでした。世凪は凛とすもものいいとこどりしてオリヴィアに憧れてる少女と感じました。普通に好きです。好きなお話はCASE0は言うまでもないので除くとCASE2が1番好きです。CASE0ほどではありませんがCASE2も終盤凄く泣きましたし、瞬間的にはCASE0よりないたかもしれません。CASE2を終えた夜は目を閉じると涙で目が溢れて中々寝れませんでしたし。従って特に別れのシーンが好きでした。CASE0は特に後半は大半のシーン泣いてた気がするのでどこも大体好きです。
余談ですが今後、特に世凪と凛の個人的には儚く見える泣いてるCG思い出す度に泣いてしまいそうな気がします。それ位白昼夢の青写真のCGには人を泣かせる魔力があるような気がしますw
以上全体的に長々と書いてしまいましたが、これで終わりにしようと思います。読んでくださった方はありがとうございます。