色々と中途半端で、作りこみの甘さが目立つ。それと双子メイドの妹が好きな人は要注意。
まずシナリオについて言うと、周囲の人の困りごとを解決するために下層街をうろちょろするだけで、
基本的に変化に乏しく先が気になる展開というのがほとんど無い。
クリア後振り返ると序盤から結構伏線が散りばめられていたりするのだが、
プレイ中は伏線と気づかないような些細なものも多く、しかも伏線の回収が物語の最終盤に集中しているため、
読んでいて驚いたり感心したりするよりも、置いてけぼりを食らったような気持ちになる。
ギャグシーンは好みによると思う。
本編はパロディネタや主人公のエロ発言にヒロインが暴力的につっこむ展開が多い。
バッドエンドなどや中途エンドは基本的に体験版と同様、脈絡も無くキャラが暴走して終わる。
体験版をコンプして最後まで爆笑できた人なら問題なく楽しめるだろうが、
自分のように最後の方になると若干しつこく感じた人は、マンネリ化する可能性が高いのではないか。
エロシーンは、まず何よりも妹の方のメイドであるメリーの扱いが酷い。
媚薬付けにされて浮浪者相手に処女喪失(その処女喪失シーンの描写は無し)、
それどころか主人公相手のまともなエロシーン自体存在しない。
サブキャラの中では気に入っていたキャラだっただけに、この扱いには不満が残った。
その他のシーンはやたら3Pが多いほか、ネーヴェの陵辱とモブによるメリーの輪姦、
触手プレイがいくつかある程度でほとんどはノーマルな和姦。
シーン数は38と若干多めだが尺はそれほどでも無く、
シナリオ上は何回も連続でやっているはずなのにシーン中の発射数は1回か2回で全体的に薄い。
下手に奇をてらったプレイを入れるくらいなら、
1回1回のシーンを濃くすると共に1対1のシーンを多くしてほしかった。
特にソースはメインヒロインにもかかわらず主人公と1対1のシーンは2個、
エロシーン全て合わせても4個しかシーンが無く、明らかに冷遇されている。
システムについては、まず戦闘システムがしょぼい。
戦闘の回数も少なく、こんなもののためにバッドエンドを回ってレベルを上げるのが虚しくなってくる。
またこの手のフローチャートがあるゲームの場合フラグ管理やルート分岐が複雑で、
鍵となるフラグを見つけ出して新しいルートを探し出す点に面白さがあるのが通常だが、
このゲームの場合選択肢を一通り選んでいくだけで全てのイベントが見れる上、
ルート分岐も最終章が2つに分かれるほかは基本的に一本道であるため、
フラグを探し出す面白さは無く全てのイベントマスを埋めていくという作業感しか感じない。
しかもフラグを開放して見ることのできるイベントも、
尺の短いバッドエンドやなぜこれで好感度が上がるのか分からない好感度上昇イベントばかり。
これでは何のためにマップやアイテムといったシステムを導入したのか分からない。
その他、戦闘中やバッドエンド時のエフェクトをカットすることができないこと、
選択肢や戦闘中にクイックセーブできないにもかかわらず
バッドエンド時に「直前の選択肢or戦闘に戻る」の選択肢が無いことも不満。
細かいことだとは思うが、何度も見ることが想定されている場面だけに
こういった配慮はしっかりしてほしかった。
またゲーム起動時のメーカーロゴが飛ばせないのも地味に煩わしい。
不満点ばかり挙げてきたが、世界観やテキストのテンポ、システムのアイディアは決して悪くないと思う。
ただ、個人的にはこの世界観なら色々な国を巡るRPGで作ってほしかった。
スタッフは原画家の名前と斬新なシステムだけで勝負できると考えたのかもしれないが、
ADVは競合作が多いのだから、きちんと中身にも力を入れて製作してほしい。