世間で言うほど悪くはないが、ブランドのイメージを著しく落としてしまったと言う点で非常に残念な作品
内容自体は『朱 -aka-』がモデルにあるので、そこまで悪くない。
片岡とものテキスト能力も、フルパワーに活かされてるとは言わなくても十分魅力的である。なのだが、やはり商売スキルに関してはせいぜい二流がいいところというねこねこの体質というか、彼等の永遠の同人感というか、「ぶっちゃけ作れれば売れなくてもいっかー」のノリが確実に悪い方向に作用したのが本作。
正直な話、自分は完璧に信者なので、一作ダメだった程度ではどうとも思わない。
そもそも10年以上もやってれば地雷の一つ程度あって然るべきであり、同じく老舗の戯画や紫に比べれば遥かに安定している。
しかし、ねこねこ復活前最後の作品『scarlet』の出来の良さが、本作では背負いきれないほどの期待を生んでしまい。そこに他ブランドの作品を揶揄するネタであったり、ライターとユーザーとの【妹】に対しての認識の違いといったマイナス要素が絡んでしまったお陰(そもそもねこねこにおいて実妹のの関係が出てきたことは殆ど無い。どうあがいても恋愛関係とならない九郎としずかですら義理である)で、おそらくねこねこ未経験者からも「前は良かったブランド」と言われる始末にまでなってしまった。
確かに雑なメーカーである。『scarlet』でのOP入れ忘れもそうだが、現在もホームページの契約更新忘れて移行中というほど、彼等の制作以外の仕事ぶりはブリブリウンチとしか、信者たる私でも思わざる得ない。ぽんこつヒロインを推すねこねこだが、一番ぽんこつなのはどう考えても彼等自身である。
だが、それでも、この過酷な業界で20年続いてるブランドなのだ。
近年の『すみれ』も『ルリのかさね』も良作以上の出来といって言い。2回目のエッチシーンなのにCGだと処女膜から出血していようが、シナリオに関しては本当に日本人のオタク遺伝子に響くものを持っているメーカーである。
片岡氏が現在中国の開発者とともにNekodaysとして同人制作してる『Christmas Tina -泡沫冬景-』も、体験版時点ではあるが驚異的なクオリティを誇っている。Twitterではねこねこ残党などと言われていたが、れっきとした今なお続く老舗である。本来ならリスペクトされて当然であるほどの歴史を持ちながら、そのようなことを言われてしまうのは非常にファンとして悲しいが、「まぁ仕方ねえな」と思ってしまう自分もいるのであまり気にしない。
実際現在のねこねこは中国人気のがあるので、中国オタク兄貴達が守ってくれるだろう。先日、秋葉原で談笑する中国オタク二人組を見かけたが、大学にて中国語を履修していた自分でも聞き取れたのは「ねこねこ」だけであった。心配はない。
ぶっちゃけ作品の批評そっちのけに、ここまでダラダラと長文を記してしまったことは本当に申し訳ない。しかし、現状イチャイチャチュッチュといった見てくれだけに囚われた美少女ゲーム業界の中で、数少ない【“ヒロインと過ごした、他人から見れば何でもない、しかし自分から見ればかけがえのない日々”を根源とした古の萌え】を貫こうとしている彼等を、「Whiteがダメだったしな〜」と言わずに見てやってほしい。