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BeeFさんのスワローテイル -あの日、青を超えて-の長文感想

ユーザー
BeeF
ゲーム
スワローテイル -あの日、青を超えて-
ブランド
NIKO
得点
75
参照数
327

一言コメント

エロ良し、音楽良し、シナリオは物足りなし

長文感想

・シナリオ
 テーマは良いが各ルートが短く描写不足で物足りない。
青春時代特有の悩みや三角関係といったテーマ自体は非常に良いのですが、
それに対してシナリオが短く描写不足である為にキャラの行動と心情に理解が追いつきませんでした。
いわゆる階段分岐となっておりそこから各個別ルートへと分岐する訳ですが、
個別ルートに分岐してからが特に短く(中にはほぼ同じ展開で結末だけ変わるキャラも居るほど)物足りませんでした。

また主人公の良い点が「顔と頭の良さ」ぐらいしか語られておらず、
それだけでどのヒロインからも好意を向けられているというのは違和感がありました。
せめて幼馴染キャラだけでももっと過去のエピソード等で別の魅力をしっかりと描いていれば
印象も変わったのではないかなと思うと非常に勿体ないなと。

シナリオ全体としての伏線については良くあるネタなので予想がつく方も多いと思いますが、
細かい突っ込みどころはありますが短いながらもきちんと回収されて締められていると感じました。

・エロシーン
 数は多く無いものの、美麗かつ長尺でしっかり「使える」エロシーン。
全体的な分量自体は決して多くは無いんですが、
一度エロシーンに突入すれば4シーンほどに渡る長尺なエロシーンが展開されるので十分満足感がありました。
また、美麗なグラフィックだけでなく体位やフェラの構図も非常にエロく、
これは雰囲気ゲーである前にエロゲーなんだぞという気概を感じられます。
特に後背位のエロさに関しては中々横に並ぶものはない素晴らしさです。
後背位好きな方なら是非ともやって欲しい出来となっています。

・音楽
 量より質ということを実感させられるクオリティ。
VO曲2曲を含めても全16曲と数は少ないものの、
そのどれもがゲームの雰囲気とマッチしている上に使い方が非常に秀逸で盛り上がりに一役買っています。
この作品のメインテーマとも呼べる「空」をはじめ、淡い青春時代の想いを表現したような「離心率」や
心をざわつかせながらも核心に向かっていく感のある「イオンの尾」と好きなBGMを挙げていったらほぼすべてになりそうです。

・総評
 名作になり損ねてしまった佳作。
雰囲気ゲーながらもしっかりと抜き応えのあるエロシーンとシナリオをきっちりと盛り上げてくれる音楽。
この2点が秀逸であるだけに、シナリオの分量を増やして主人公を含めた各キャラの描写がしっかりと出来ていれば
名作となったのではないかという確信があります。
MORE系列は他ブランドも含めてこれが初プレイ作品なので今後に期待したいと思っていたのですが、
ブランド自体の最終作との話を見かけてしまい非常に残念な気持ちです。

間違いなく好きな部類の作品であったのでこのゲームシステムではないですが、
過去に遡って前作のゴールデンアワーをプレイしようと思います。