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Babayaganさんの源平繚乱絵巻 -GIKEI-の長文感想

ユーザー
Babayagan
ゲーム
源平繚乱絵巻 -GIKEI-
ブランド
インレ
得点
80
参照数
1073

一言コメント

引き込まれた1章2章からのガッカリ3章

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

忠臣蔵(武士の鼓動含む)、MIBUROはあまりスッキリしないビターエンドだったが、今作がハッピーエンドだったのは良いところ

1章は史実をなぞってるだけだがやはり面白い。というか面白さのピーク。ここがピークということは源氏対平家の物語が面白いだけなのかもしれないが…
四天王たちの魅力が存分に発揮されるのも1章がピーク。特に弁慶

2章はループして1章と同じ結末にならないよう史実をなぞらず行動したIF義経の物語。面白くはあったがオチが酷い。
敵だった平家と史実で裏切られた藤原家と義経一向が手を取り頼朝と戦うのかな?ってところまでは面白かったが、結局そうなることはなく、北行伝説をなぞる旅をするなかヒロインである楼子とイチャイチャ。
まぁそこまでは良かったが、突如現れる怪物と死んだはずの継信に襲われ終了。え?これで終わり?wとリアルに声が出る場面である。

3章は完全に期待はずれ。面白かったのも途中ぐらいまでで後半は酷い。
詳しく書くと長すぎるので悪かった点を簡単に

不満点1
水分さんがタイムスリップや鬼一やループやこれから起こることなど分かってること全部主人公たちに説明していればもっと簡単に終わる話だったのだが、なぜか最後の方になるまで説明しない。

不満点2
主人公とヒロイン二人が体の関係を持ち、なおかつ瀕死の時にキスをすると不死になるというよくわからない設定
そのよくわからない設定のために2回もループさせる水分さん。最初から説明していれば1回で終わったのに…

そしてそのよくわからない設定を活かすために主人公が死にかけるが、水分さんがちゃんと説明していれば死にかけることもなかったかもしれない。そしてせっかく不死になったのに不死が役に立つ場面はその一回だけである。

不満点3
敵が強大すぎるためか急に出てくるチート仲間キャラ源為朝。
個人的に3章最大の不満点

一応為朝が凄い人物だよ~という説明は2,3回あるのだが、それにしても出てくるのが急でしかも遅すぎるのでぽっと出キャラと変わらない。

主人公は度々出てくるキャラをガチャの星(ランク)で例えているのだが、頑張ってコツコツ育てた弁慶や三郎といった星4連中がゴミ同然となるほどの強力なキャラ。まさに星5。

こいつの格が違いすぎるせいで、弁慶や教経といった最強格がゴミ同然となり今まで頑張ってきた主人公も霞むほどでもうこいつ一人で良いんじゃね?状態。

まぁ、為朝も活躍するけど主人公たちも同じぐらい活躍する~というのならまだわかるのだが、鬼一達との最終決戦で活躍するのは星5である為朝と壇ノ浦の戦い以降出番がなく忘れ去られていた那須与一ぐらいなのである。

敵の弱点を考え、主人公たちに修行をさせ強化し、弁慶や教経レベルの敵を二人をほぼ一瞬で倒し、ラスボスである鬼一すら小者化させる程の活躍。もう主人公こいつで良いんじゃね?

不満点4
3章なのに全然活躍しない主人公達レギュラー陣。
主人公は偶然手に入ったラスボスを倒せる剣を偶然使えるようになり偶然見つけた敵の弱点に刺すだけといった偶然まみれ。大した活躍シーンでもないのにオープニングはちゃんと流れているので安心してほしい。

敵の幹部が丁度6人いたので、主人公たちの幹部でもある為朝、弁慶、三郎、教経、忠信、水分さんの6人が相手をするんだろうなと思っていたのだが、1人はモブ同然の那須与一が瞬殺し、2人は為朝が瞬殺。続編の布石なのか弁慶と教経と因縁のあった敵幹部2人は逃げていき、唯一活躍したのは(熱いシーンなどはなくただ弓を撃って当てただけ)忠信1人だけである。

それどころか今まで攻撃が通らなかったラスボス鬼一に唯一ダメージを与えたのも為則という。そういう活躍不足なのもあり忠臣蔵やMIBUROと違って熱いシーンが殆どない。

不満点5
エンディング曲が何故か英語
これは好き嫌い分があるかもしれないが、日本の歴史を題材に話を作っているのだから曲も日本語で良いじゃないかと個人的に思う。というかなんで英語なんだよwと思わず突っ込んでしまうほどこの作品にあってない。

不満点6
急に改心する源頼朝
ほぼ最後までずっと嫌なヤツだったのに何故か急に改心する。兄貴と瓜二つという設定を生かして改心するまでの話は作れなかったものなのか。

不満点7
最後の別れのシーン
今までさんざん世話になったし好意を抱いてくれてた藤原家との別れのシーンがない。帝とは約束を守り一緒に遊ぶくせに、助けた大姫や吉高と一緒に海を見に行くシーンはない。細かい事だがやはり気になる

不満点8
歴史を完全に変えてるのにパラレルワールド扱い

正史では死んでいる吉高、大姫、忠信、継信といったキャラがラストでは生きているが、その事で歴史はどうなるんだ?と思ったがまさかのパラレルワールド扱い。これはサラッと流されているがこの作品の話を根本的からおかしくしてしまう。
水分さんが主人公達をタイムスリップさせたのは、鬼一が蘇り日本を我がモノとするのを阻止するためなのだが、歴史が変わってしまうことがパラレルワールド扱いになるのなら鬼一が過去で何しようが未来にいる主人公たちの世界に影響は絶対にないはずなのである。

不満点9
エロシーン5個という少なさ
エロゲーだよね?抜きゲーじゃなくても5個は流石に少なすぎる。
魅力的なキャラが多いだけにそいつらとエッチ出来ないのは辛すぎる。
物語の都合上エッチできなかったのであれば、エッチできるヒロイン2人とのシーンはもっと増やしてもらいたかった。
忠臣蔵でも10以上あるというのに…



長々と不満点を書いたが良かった点もある。それが一番最初に書いたハッピーエンドであること
想い人と最終的に別れる忠臣蔵
親しかった者たちが次々と倒れていきよくわかずスッキリしない終わり方をするMIBURO
終わりよければ全てよしという言葉通りというか、3章はずっと不満しかなかったが最後のこう言うのでいいんだよ!って感じの終わり方で全てが許せた

総評
個人的にはMIBURO以上忠臣蔵以下。
悪かった点(特に3章)はたくさんあれど、オチがほぼ完璧という事もあり忠臣蔵ほど悲しみも無ければMIBUROほど不満感もなかった。
1章2章は面白く、そこまで文句もないのでせめて3章で主人公たちがもっと活躍してくれたらなぁ…