最高傑作
まず――シリーズ過去作とは別の熱さで魅せてくれた制作陣、世情が色々大変な中でも発売してくれてありがとう!
主人公の村垣伊織は勿論、出てくるキャラ一人一人に魅力があり、それを余すことなく作中で描き切ったシナリオに終始感無量だった。
その、メインとサブの別なくキャラを掘り下げ世界観や試合に活かす展開は、他ブランドだが『空に刻んだパラレログラム』を彷彿とさせる感動を年末のワタシに与えてくれた。
主軸の二本柱、紅葉と雪月花も家絡みという因縁から始まって、村垣先生の熱苦しさも手伝って友情を育んでいく。それはかつての村垣伊織と九鬼隆久のように。
だから、演武祭決勝後の“何でも”を賭けたケンカで、ようやく二人が腹を割った瞬間、ワタシは「ここまでエロシーン無いよな?」という淫念なんか吹っ飛ばして、ただただ感動に咽び泣いていた。
旭と梨々夢だって、ケンカする程仲が良いを地で行って心の友人となったし、その最後のひと押しをサポートしてしまった荒川園美パイセンにもちゃんと“想い”があって、単なるヒールじゃない生き様を魅せてくれた。
ヴィッキーや雫さんも魅力的で、二人が認めあった後の準決勝戦なんて、雪月花よりも先輩コンビの応援に熱が入ってしまったくらいだった。
個人的に今作は、村垣伊織が夢であった教師を母校で束の間だが叶えつつ、悔いてきた青春をやりなおす物語だ。そして年月は経ってしまったが、親友の隆久から“許され”、教え子達と未来に向けて歩き出す。
そんな彼らの行く先をどっかで見たいなと思いつつ、2020年最後にプレイした作品の感想を終えたい。
↓蛇足↓
結局、エッチシーンは本編が終わった『おまけ』で描かれたが、これはこのシナリオに合ってたと思う。文字通りの別腹って奴だ。往年のエロゲ像からすると邪道なのは解るが、だからといってこの流れにぶっこむのは不自然になるんだよなぁ~。
あと、蛍雪ちゃんにアンアン接待してほしかった。ちなみに雫さんに一杯鳴かされた人生だった。