ストーリー“は”文句なしの群像劇。
・まずは良いトコを。
シナリオは、敵味方を含めた徹底的な心理描写を軸にしたルクル流王道スポコンもの。演出面は最低限を下回っていたが、その分回想を中心としたキャラの掘り下げでカバーしており作品世界に入り込むことができた。
キャラもメイン・サブを問わずに立っており、試合やテレプシコーラそのものにかける思いが伝わってきて、真にその人物が生きていると感じた。
・そして悪いとこ。
肝心のテレプシコーラが想像つかない。架空のスポーツなら作者以外の誰も知らない筈――なのにその説明が疎かになっている。フィールドの絵図を一つ入れる、実況の合間に各選手の現在地を印す、だけでもプレイヤーの我々は今よりも容易く試合運びを想像できただろうに。
い つ も の 誤字脱字の雨あられ。せっかくパッチを配ってもタイトル画面でバージョン確認できなきゃ意味ないよぉ。――デバッグをしっかりしてからマスターアップ報告を上げてほしいな(あれ?前作でも同じようなこと言ってないか、ワタシ)
・総評
青春スポコンものとしては合格点。(シナリオだけで80点、後の20は演出やシステム等々ユーザーへの配慮不足)
ルクル氏が雑誌で『ウグイスカグラは鬱ゲーメーカーと思われているが、メーカー・ライターとしてそれだけでは終わりたくない』的なことを仰っていたが、その想いはひとまず成功したと言える。少なくともワタシは「ルクル氏青春ものも描けるのか、しかも“らしさ”を殺さずに」と思ったから。
だが氏には悪いが、王道青春スポコンも面白かったが、やはり陰鬱としたシナリオが好みだなワタシは。
次回作があるのなら、今回の経験を活かしてシナリオ・演出・世界観をもう一段上げたモノを届けて欲しいものだ。