グランドルートの好みは間違いなく別れる
個別ルートは複数ライターの関係上、キャラクターやライターにより話のテイストがかなり変わってくるので好みによる個人差はあれど、どのルートもシナリオの完成度が高い。過去のKey作品を一通りプレイしている人間なら既視感を感じるシーンが結構な頻度であると思うが、意図的に｢過去を超える｣名目でそうしているのだなと感じた。単なる焼き直しでは無い。過去作あるあるの究極進化のようなシーンで埋め尽くされているので、過去作に対して｢古すぎて無理｣と抜かす若者に｢じゃあこれだけやればわかるよ｣と言えるほどの作品。keyの本気が詰まっています。プレイ時間も基本的には１ルート10時間程度と手頃で遊びやすい。シナリオの好みの差はあるがどのヒロインも個性的で魅力的。特に登場人物に誰1人完全な悪人が存在しないのが心地良かった。この作品に登場する人物は島民も、それ以外もみんなみんな良い人であたたかい世界なのだ。そんな世界で傷ついた主人公が少しづつ前を向いていくのがこの作品の肝だと思う。グランドルートに入るまでは。
グランドルートに入ってから正直主人公があまりにも蚊帳の外過ぎて｢主人公＝俺｣みたいな遊び方をしている私のような人間的には｢俺ってなんなんだっけ…｣という気持ちにならざるを得なかった。また、これはまぁkeyあるあるなのだが、センターヒロイン以外のヒロインがまるで正史ではないかのような、オマケみたいな立ち位置なのも結構なモヤモヤポイントだった。
グランド自体の話の質は非常に高いので、厄介オタクほどモヤモヤし、真っ直ぐな人間ほど最高に大好きな作品だと思う。私は正直どちらとも言えないが、全肯定はできない。そういう作品です。
ただ本当に完成度は間違いなく今までのkey作品で1番高い。エンディングを見ながら｢こんなの作っちゃって次回作のanemoiのハードル高過ぎるだろ｣と思ってしまうくらいには凄かった。正直この作品を超えるようなギャルゲ、エロゲは向こう十年現れないかもしれない。と言うくらい完成度が高い。好みに合うかどうかが全てです。
ちなみに野村美希が1番好きです。可愛すぎる。